第21話 解放
板熊達に騙された事をようやく悟り、自分は行動に出ます。
その行動とは、ひたすら無視。なんもやってねーじゃあねぇかと思った貴方。これでいいのです。
奴らは行動をすぐ起こすタイプ。悪く言えばせっかちです。
なので必ず向こうからまた『愚行』をしてくるのです。それを待ってました。
そしてそれは思いのほか早く来ました。凝りもせず奴らは職場に現れました。そして遠慮知らずでまた金をせびってきました。言い訳は相も変わらずヤクザの脅し、誓約書書いたから無しだろと言いましたが、ボコにされたと苦しい言い訳をしてきました。何の為の誓約書だよ、ボケェ!?
仕事中なので騒ぎを起こさない様、その場は適当に収めました。正し、仕事が終わったら速攻電話掛けてやりました。
奴らは自分の事をまだ頭の悪いカモと思っていたので、電話は直に繋がりました。その声は実に明るくはきはきとしていて、はしゃいでるクソガキの様なウザさでした。
「もしもしー和大雄。早速だけど、今回はまた50万用意して欲しいんだよ」
クソガキテンションのまま、配慮皆無で額を提示してきました。
「ああ、それだけど、俺払わねぇから」
向こうの舐めた態度にもイラついたので、冷たい言い方で返しました。
当然板熊は激怒。そして「ヤクザヤバイ」の繰り返し。呆れるネタ切れ具合ですわ。
当然自分は誓約書の事を話しましたが、呆れた事に「無くした事がばれた」と言ってきました。無くしたんじゃなくてオメーらが燃やしたんだろアホ。
燃やした事を突っ込んだら「そんなの知らない」とほざきました。だまし取る経緯を作るまでは、詐欺師ながら巧妙だと思いましたが、完全に馬脚を現した状態です。見苦しいなんて物じゃない。
ヤクザの事は大嘘だと、更に確信したので、自分は強きに行きました。
「あのさ、誓約書貰ったんだから、もう払う理由ねーから」
「でも無くしたのバレたから、攻め込んで来るよ。ヤバイって」
「なら警察呼ぶよ、だって完全に恐喝だろ。支払う理由が分かんねぇーよ」
あまりのしつこさに自分は『警察』というワードを叩きだしまた。すると奴らは「俺らが捕まる」と言ってきます。なので強く言いました。
「そんなの何とでもなるだろ。もう額的にも圧倒的にヤクザ共の方が罪重いし、それになぁ、誓約書焼いたのオメーだろ。なんならお前の事を告訴してもいいんだよ。寧ろテメーも一枚噛んでんだろ!!」
強く言っていくと決め、言っていく度に声量や声質、言葉使いが荒々しく汚くして問いかけました。話している内にテンションが上がっていき、怒りがメラメラ上がっていったのを覚えています。
「……」
板熊は黙り込んでました。ゆうてもこいつは今まで、強気な返しにはとりあえず煽ててその場を収めて来ましたので、一歩も引かず、強気に脅すつもりで攻めました。
「何黙ってんだよ!? やっぱお前俺の事騙してたんだろ!? 今から警察に駆け込むからな」
警察に通報すると言って脅しをかけました。これでまた適当に言い訳して、丸く収めようとするなら、ガチで警察に行こうと決めてました。なのでその真意を確かめる為に、更に攻め立てました。
「勿論詐欺なんてしてないよな。なら警察に駆け込んでも問題ないよな。そうだ、詐欺被害にはお前もあってんだから証言になってよ。勿論問題ないよな?」
あえて同じ被害者だと言って、警察に行くことを正当化させました。これの反応1つで、今後どうするかを決める攻めです。
板熊は流石に今までとは違う雰囲気だと理解したのか、しばらく沈黙しましたね。まぁ以前誓約書を焼却するという愚策を取っていたので、限界を感じていたのかもしれません。その為今までとは違う対応をしてきました。
「ちょっと待って、今電波状態悪いからかけ直すわ」
なんと板熊はそれだけ言って、一方的に電話を切ってしまいました。今までとは違う対応で、ちょいと驚きましたね。
勿論直に電話をかけ直しました。しかし……
「ただ今電話に出る事が出来ません」
音声アナウンスが流れるだけ。そして何度掛けても一向に繋がりません。間違いなく着信拒否されましたね。
確定的でした。詐欺がばれて、逃げる状態に入ったのが。
当然自分はこのまま警察にタレこみに……行きませんでした。
自分はようやっと本当に開放された事に喜び、それと同時に以前奴らに書かされた誓約書を思い出し、自身の保身に走り、警察に行くのを躊躇ってしまったのです。強姦罪で捕まるのは嫌だなと……
そして詐欺被害にあっておきながら、金が惜しいと感じませんでした。それ以上に解放された事が勝っており、しばらくの間は平穏な日常を謳歌してました。ただしあくまでもしばらく。平穏に暮らしている内にドンドン金が惜しくなっていましたね。
ですが、誓約書が健在なので攻め込めずにいました。しかし、ある事を境に攻め込む事にしました。
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