ジャンルについて考える(その3)
2 舞台設定に関するジャンル名(「現代ドラマ」「歴史・時代」)とテーマに関するジャンル名(「恋愛・ラブコメ」「ミステリー」「ホラー」)とその両方を表しているようにもとれるジャンル名(「ファンタジー」「SF」「現代アクション」)とそのどちらでもないジャンル名(「エッセイ・ノンフィクション」「その他」)が混在しているがどう考えればいいのか?
という問題について考える。
まずそれぞれのジャンル名について見ていく。
「現代ドラマ」「歴史・時代」は、それぞれ現代の世界を舞台にした小説、過去を舞台にした小説である。
「恋愛・ラブコメ」「ミステリー」「ホラー」はそれぞれ、舞台ではなく、テーマとかイベントとか状況とかそういったものを表している。
だから例えば、「現代ミステリー」とか「歴史ミステリー」というふうに両者をくっつけて言っても変ではない。分け方が違うのである。
「ファンタジー」は空想の世界という舞台を表しているという言い方もできるし、「人間が想像力を働かせてファンタジーの世界を創る」という心の働きをテーマにしているとも考えられる。
「SF」は、未来の世界とか現在では忘れ去られている実は現在以上に科学技術が発達していた過去とか地球以外の惑星など、「現代及び現在歴史学上知られている過去ではない世界」を舞台にしているとも言える。が、超能力とか未来世界の発達した科学技術とか地球以外の惑星が有する科学技術などをテーマにしているとも考えられる。
「現代アクション」というのは、現代とアクションの複合語である。
「エッセイ・ノンフィクション」というのは、小説に対するノンフィクションとかエッセイ。ということだと思う。
「その他」というのは、「小説でもなければ『エッセイ・ノンフィクション』でもないもの」ということだろうか。そうすると、詩とか短歌とかそういったものなのだろうか。今の投稿されている作品を見ると、厳密にそうはなっていなくて、別のジャンルにあってもおかしくない作品が結構ある。
こんなふうに、現状では違う分け方のものが一緒になっている。
きちんと整理するのはかなり難しい。不可能と言ってもいいかもしれない。
とりあえず現在の一番大きな課題は、よく投稿されるようなタイプのものがどこに入るか、だいたいのところを決めるなり、共通理解をできるようにすることではないだろうか。
例えば一番すぐに思いつくのは、「異世界転生ものの中でだいたいこんなタイプのものがファンタジーであんなタイプのものはSF」などといったことである。
文学とか小説のジャンルというのは、昔からしっかりと決まっていて、みんながそれにそって「これこれの分野のものを書く」なんて意識して書いてきたのではない。
個人個人がその時に書きたいものなどを書いて、後で学者とか評論家的な人たちが「どう分類しようか」と考えて分類し、その後また従来の分類ではどこにも入らないものが書かれるとそれに適当なジャンル名をつけたり、というふうにしていろいろなジャンルの名前ができてきた。田舎の旅館が、お客さんが増えるたびに無計画に建て増しを繰り返したりしたのと同じような経過をたどっているようだ。
そういったこともあって、なかなかうまく整理するのは難しいのだろう。
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