第93話:描写の書き方~要点を押さえる

 描写文は、伝えるのではなく想像させると言いました。

 しかし、ある程度の情報を伝えないと想像も難しい。

 しっかりした説明文も必要なのです。


 広義の意味で描写とは、描写文と説明文で構成されていると言えるでしょう。


 だから、互いに補いながら構成されます。

 説明文で状況説明されて、それを元に描写文で想像が促されるわけです。

 ですから、少なくとも最小限の情報は、地の文に存在しなければなりません。


 これに関して、よくあるミスが、「作者だけがわかっているシーン」です。

 簡単に言えば、説明不足です。


 この対策は簡単で、誰かにきちんと読んでもらうということでしょう。

 口頭の説明なしで、そのシーンを理解してもらえば、成功していることになります。


 もし、読んでくれる人がいないなら、自分でシーンを分解してみることです。

 状況を説明している単語を並べて、そのシーンが構成できるかどうかを考えます。


 ただし、説明しすぎてもいけません。

 なぜなら、最初に書いたとおり、説明してもすべてが伝わるわけではありません。

 多くの情報は、処理されずに無駄になります。


 ですから、「伝える説明」は「最小限これだけはわかって欲しい」という部分にしておきます。


 シーンで言えば、5W1Hがどこまで含まれているのかチェックします。

 そこにあるべきオブジェクトが表現されているかも大事です。


 しかし、そのオブジェクトの細かい形までは伝えられません。

 たとえば、「先端が丸く、下方の右から三本、左から五本の触手らしき物が伸びた銅像」など書く必要はなく、「タコを思わす銅像」でもいいわけです。


 描写は細かくすればいいと思っている人もいるかもしれませんが、そういうものではないと思います。

 ある程度は、読者の想像に任せないといけません。


 必要最小限を伝え、あとは想像に任せるために促す。


 これを目指すといいと思います。

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