　本作のどこかで、「物語と小説はイコールではない」という話を書いたと思います。

　そして、小説は「描写されている物語」であるという話も書きました。

　では、描写とは何かと言えば、これも本作のどこかで書きましたが、「見えない物を見せる文章」だと定義しました。

　もう少し言えば、「心に描き写す文章」だから描写なのでしょう。

　ところで。

　たまに上手い描写の小説の感想などに、「その情景が伝わってきました」というような感想文を見ることはありませんか？

　これは正しくは、「その情景が浮かんできた」と言うべきなのだと私は思っています。

　なぜなら、「情景は伝わらない」と思っているからです。

　……意味がわかりませんね（笑）。

　少しずつ分解して話していきます。

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