第29話:描写を省く(1)

 前に書いたとおり、牛丼小説は地の文を減らすことができます。

 また、共通認識のある読者に、余計な負荷をかけないという効果があり、それにより親近感に近いイメージを与える効果があります。


 ただ、これは地の文で最初に書くことが減るということだけで、全体で地の文が減るわけではありません。

 あくまでイニシャルの話で、ランニングでの量も考えなければならないのです。


 その中で一番多いのが、「描写を省く」という小説としてのアイデンティティを削る行為です。

 個人的に、ラノベはこの「描写の量がライト」な物だと認識しています。

 ただし、これをやりすぎると、小説ではなくなります。


 では、どんな描写を削るのでしょうか?


 これに関しては、いくつかの実験を行ってきました。

 一つ、面白い実験結果を書きたいと思います。

 実は、拙作のいくつの作品で意図的に共通して描写を省いてみたものがあります。


 それは――


 「主人公の容姿」


 ――です。


 そして、どの話でも、これに関してご指摘を受けたことがありません。

 感想でも、触れられたことがないのです。

 「主人公の見た目がわからない」という話が、欠片も出ません。

 つまり、ほぼ気にされていないという、面白い結果となりました。


 特に一人称では、省きやすくなります。

 ですが、拙作レムロイドは一人称単視点シフト型ですが、これも指摘されていません。

 主人公の容姿について書かれているのは、ボサボサの頭、鍛えられていない体、たいしてかっこよくない……という説明ぐらいです。


 いったい、皆さんはどんな主人公像を持っているのでしょうか。

 ぜひお聞きしたいところです。

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