第一話
目を覚ますとそこは冷たいコンクリートの上だった。
空は暗くなり始めていて、陸にかけて綺麗なグラデーションを作っていた。
雲がその色を反射して、なんとも幻想的に浮遊している。
「ここは・・・」
身体を起こすと、目に映ったのは見知らぬ街だった。
ここはどこだろう、いつの間にこんな所に来てしまったんだ・・・
とりあえず事情を聞けそうな人を探すべく、僕は人通りの多そうな広い通りを探すことにした。
それにしても、静かな街だ。
ビルがたくさん建ち並んでいるのに人の声が全くしない。
車の音もせず、都会にしてはここまで物音がしないのは珍しいかもしれない。
だが僕はこの静けさを心地よく感じた。
街の雰囲気なのだろうか、とても落ち着いた感じがする。
ここは何処だか分からないし、どうしてここにいるかも分からないけど
息を大きく吸うととても綺麗な空気が身体に浸透して
なんだか気持ちがよくて、なんとかなる気がしてきたんだ。
ひつじの街 @toumei_biyori
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