3-2.Ⅳ:冒…どこにでもある格差(ヒロイン視点)
アルトが食材を買いに出掛けた。
ミュリアは「ニャフフ♪」と笑みを浮かべていた。
(アルトが自分の好物を作ってくれる♪)
アルトの料理はどれも美味しい。
特にリガの実(林檎の様な果物)を使った甘い御菓子(アップルパイ)。
パンの生地の中に甘いリガの実が挟んであるだけ。
アルトも簡単に作れると言っていた。でも正直自分に作れると言えば無理だと思った。
アルトが今まで作ってくれた中では一番のお気に入り。
あとは猫族故か魚料理も好き。ムニエル?と言うのが現状一番好き。異世界には美味しい食べ物や料理がたくさんあっていいなと思ったりした。
楽しみだ~。すごく楽しみ~。
思わず涎が垂れそうなのを何とか我慢する。
「…だらしない顔になってるとこ悪いけど?ミュリア、アルトが帰って来るまでにお風呂を浴びましょ」
そうシルフィに言われそうだったと思い出す。
あと誰がだらしない顔……してたかも?
だって美味しいんだもん!そう美味しい料理を作るアルトが悪いんだもん!
……。
シルフィと一緒に部屋に備えられている入浴室に入る。
お風呂は二人でも一緒に入れる大きさだった。
アルトもそれほど時間を掛けずに帰って来るらしいので、シルフィと一緒に入る事にした。
うん。この時に直ぐに気付くべきでした。
世の中の、どこにでもあるアルトがゲーム機?をやっていた時に言っていたヒロイン?同士による格差をまじまじと知らさせれることになるから。
「……どうしたの、ミュリア?」
「…ムニュウ…」
脱衣所で入浴する為に服を脱ぐ。
服を脱いでいて気付いた。
シルフィを見て気付いた。
(なんでこんなにも違うのだろう?同じくらいの身長なのにどうして違うのだろう?――どうしてシルフィの胸はあんなに大きいのよぉ!?)
自分の内なる魂が叫んでいた。
どうしてこうも差がついたのだろう?
数年前は同じくらいだった。なのに……。
ジト目で見つめる。
シルフィの胸は大きい。気のせいだろうか、前よりも少し大きくなってる気がする。
正直ささやかな大きさの自分はただ羨ましいと思ってしまう。
だって…
(だって男の人って大きい胸が好きってカンスさんも言ってたもん!)
それにアルトも最初の頃にシルフィの大きな胸をじっと見ていた。
つまりアルトも好きなのだろう。
(うぅ…どうしたら大きくなるんだろう?…)
ポンポンと自分のささやかな胸に敗北感をただ寄せる自分に、ゆさゆさと揺らす不思議そうに首をかしげるシルフィ。
うん。お風呂に入ってる間に何か秘訣があるのか聞いてみよう。そう心に決めた。
そして結果は……『自然にこうなった…』、らしい…。
「ミュリア、ガンバ…」
「……ムニュウ…」
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