3-2.Ⅱ:冒…商人は未知の物に興味津々です
豚の顔に二足歩行人型魔物のオークに襲われていた商人達。それらを助けるため(アルトは助ける気はなかったがミュリアが飛び出したので仕方くである。)オークと戦闘を開始した。
そして、『バシュー!!』と『ブギッ!?』と、アルトの特殊属性である”雷”で強化された
アルトは構えていたバリスターをホルスターに戻す。右眼の”碑眼”で周囲に敵の反応もないので問題ないと確認したので。
すると、バリスターをホルスターに戻したらなんだか旅商人共から「あぁ!?」とどこか残念そうな声が聞こえた気がした。気にしない。
”炎”魔法を駆使し彼らを一番に助けに行ったミュリアがアルトの下に戻る。
「ミリー。大丈夫かどこも怪我とかしてないか?」
「うん。大丈夫だよ。オークとは距離を取りながら魔法を撃ってただけだから。シルフィは……大丈夫そうね。にゃはは…」
「まあ見ての通りだ。まったく器用な寝坊助姫さんだな」
「スースー…それほど…でも、です…ZZZ…」
器用に立ったまま寝てるシルフィに苦笑するアルトとミュリアだった。
御互いの無事の確認をした後、結果的に助けた事になる旅商人達が近づいてくる。
そして代表と思われる中年の男が、
「この度は助けて頂き誠にありがとうございました。あなた方がいなければ我々はあのオーク共にやられていたかもしれません。本当にありがとうございました」
そう頭を下げて感謝してくる。他の者も頭を下げ感謝してくる。
助ける気が本当はなかった気なので、アルトは少し、ほんの少しだけ居心地が悪い気がした。
商人達の感謝にミュリアは「良いことしたにゃ」と嬉しそうだった。
「感謝は必要はない。ただ俺達はアンタらに用が出来て、その過程で助ける結果になっただけだからな」
「それでもですよ。どの様な過程であれど、我々があなた方に命を救われたのは間違いないのですから」
そうです。と他の者も頷く。
「あぁ、そうでした。先程私達に用があったとのことでしたが、どのような御用だったのですか?」
「それは俺達を近くの街に案内、もしくは同行させてもらいたいと思ってな」
「近くの街、ですか?」
「ああ、俺達は辺境の田舎から出て来たばかりでな。地理も詳しくないんだ。どこに街があるとかあまり知らない、と言うわけだ」
「辺境の田舎……」
アルトの説明になんだか胡散臭さを感じたのだろうか。辺境の田舎者が未知のアーティファクトを所持しているのが不思議でならないのだろうか。
とりあえず此方に視線を向けてくるミュリアに”念話”を行い、自分に話を合わせる様に伝えた。
「ああ。俺達はずっと田舎でアーティファクトの研究をしていてな。ある程度の成果が出せるようになってな。コイツを生かしたいと考えて何処かで冒険者登録をしたいと思っていたんだ。ただずっと田舎に籠っていてどこに街があるのかとか正直いまいち分からなくて途方に暮れていたんだ。そんな時に偶然襲われているあんた達に遭遇したってわけだ」
「なるほど…そちらのお嬢さん方も冒険者志望で?」
「ああ、そうだ」
アルトの肯定の言葉に、初耳ですよ?と少し驚いた表情のミュリアがアルトに”念話”を用いて確認した。
(”そうなの、アルト?私達、冒険者になるの?”)
(”ああ、一応そのつもりではいた。冒険者になって登録しておけば、一般では手にしにくい物や場所、あとより多くの情報を得たりできるからな。今の規約がどんなものかは分からないが取っておいて損はないと思う”)
(”なるほど。わかった”)
(一番は俺のステータスにある鬱陶しい
アルトの求む情報。
それは自身の内にある”魔呪”と言う
そして今後挑む事になる【三大迷宮】についての情報。
先の説明通り、冒険者に登録していればある程度の優遇が保証される。
「なるほどです。しかし困りましたね…」
商人の男が言葉通りに困った表情で言う。
「困ったとは?」
「いえ。冒険者の登録をされたいと言う事でしたが、この王国では冒険者登録は王都にある冒険者ギルド本部か4つある本部支部で行うのですよ。私共がこれから向かう街、ルーテと言う街なのですが、ルーテには支部はありますが本部支部はないのです」
(……本部と他4つの場所でしかできない、か。……まあ、良いだろう。一度王都の今の様子も見ておきたいと思っていたからな…)
「そう言うことか。それに関しては別に気にしていない。今すぐに冒険者になりたいわけじゃないからな。ただここしばらくずっと野宿が続いていてな。落ち着いた場所で休みたいのと、食料とか他の必要な物とかを買いたいんだ。…そうだ。街ではそのギルド支部とかで買取をしてくれるとかはあるのか?」
「買取ですと!!」
そう告げると商人の男はギラッとして目を向けてきた。いや、他の者達も同じようである。商人故に買取と言う言葉に魅かれるのだろうか。
「…ああ。正直俺達あまり手持ちが少ないんでな。これまでに集めた魔石とかを売って金に換えたいんだ」
「むぅ。売るのは魔石だけですか?その、アレは売られないのでしょうか?」
商人達の目線はアルトの足。正確には太腿に巻いているホルスターに納められた【バリスター】に向けられている。
欲しくて仕方ないですぞ!と言う欲のある視線を向けられる。
とりあえず忠告しておくとしよう。
「…言っとくが
そのアルトの威圧感を含んだ言葉に商人達は一斉に大人しくなる。
殆どが未練たらたら感がある様だが、これ以上は本当に自分達の命の危険に当たると思ったのだ。
アルトの目が冗談ではない本気だと伝えて来たからだ。
皆諦めがっくしと落ち込んだ。
その様子に「にゃはは…」と苦笑するミュリア。そしてグーグーと器用に眠りについている
+
あの後、倒したオークの死骸を素材と魔石に解体した。
アルトの解体作業を見ていた商人達は『おぉ、なんと素晴らしい手捌きか!』と称賛の声を零していた。
そして解体作業を終えたあと、商人達の馬車に乗せてもらい、彼らの向かう予定の街【ルーテ】まで同行させて貰うことにした。
道中襲ってきた魔物の類は倒して素材に、馬鹿そうな野党の類はアルト達が後悔させる様に追い払った。
それ以外での暇な時間は馬車の中で
(馬車での移動も考え物だな。ゆっくり過ぎて暇を持て余す。…移動手段。そうだな地球のバイクなんて良いな。ルーテの街に着いたら作製してみようか。………しかし、いい加減ウザいなこいつ等の視線はっ!)
視線の主はむろん商人達である。『大変興味があります!』とバリスター同様に熱い視線を向けてきていた。(こいつ等、ちょっとイッてるのでは?)と感じさせられ鳥肌が立った。その視線に仕方なくだが貸してやることにした。
勿論貸すだけである。このゲーム機は貴重なあちらの世界での思い出の品の一つなのだ。
そうだな。もし盗もうなんて真似した瞬間、そいつはこの世から去らばする事になるだろう。
「ほら貸してやる」と言うと、「おおっ!!」と良い大人が、まるで子供の様にキラキラとした表情で燥ぐ姿にアルトは軽く引いていた。貸すのやめた方が良かったか?と考えてしまうくらいに。
ただ、
(……構造は理解してるし、素材があれば作って売ってもいいかな?)
なんて頭の片隅で思った。
そして人間国初めての街に着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます