2-EX⑤:翼…シルフィと悲しみ
そんなこんなでミュリアと出会い友達となってある年。
私が10歳の時だった。
夜国と帝国の境、つまりは私達満月の森の近くにて大きな戦が起きた。
攻めてきたのは帝国の者達からだった。
帝国の軍隊に対して周辺集落の者達も協力し迎え討った。
結果はなんとか帝国の兵を押し返すのに成功した。
ただ今回の戦で多くの闇夜族の同胞が命を落とした。
その中には、戦士であった私の両親も含まれていた。
両親が亡くなった事実に私は悲しんだ。
【巫女】となってからは何処か線を引いた様に私に接する父と母。
それでも、やはり家族が居なくなるのは悲しかった。
けど、私には悲しんでばかりもいられない。
私はこの戦にて亡くなられた者達に”
私が【巫女】となった際に得ていた
私の”
そして戦で同胞を、親しい者、大事な者を失った怒りを”
その中で両親を失った私自身も少なからず救われた筈です。
+
それからは特に戦もなく、穏やかな日々が続きました。
私は15歳になった。
サラサラの白銀の髪はショートで整え、数年で身長も150㎝に伸びた。身長はミュリアと同じくらい。ただ、スタイルはミュリアが嫉妬するくらい成長した。何処と言うと胸でしょうか…ふふん。
ある日、私は不思議な波長を感じたのです。
それを感じた時、何かが起きる様な気がしました。
そして私の感じたその予感は当たりました。
それから暫くして私は、精霊王様の導きもあり、人間族の男の人と出会うのでした。
その彼との出会いは、満月の森の集落に突如襲撃して来た帝国の兵が発端となった。
それなりに私も有名になっていたようですね。
どうもその者達の目的は私だったみたいね。
私は襲撃時に侍女であるエトを下がらせると、風魔法を不躾に現れた人間の男達に当ててやろうと魔法の行使を始めようとした時でした。
私の頭に”夢想”の中で聞こえていた“精霊王様”の声が響いてきた。
『!?』
“フフ、やめておきなさい。…ここはそこのウサ耳ちゃんを、あの子のところまで逃がしてあげなさい”
『…どういう事?…どうしてミュリアの処に?』
“それは直ぐに分かる事だよ。今は兎に角、そこのを逃がし素直に捕まっておきなさい。やっと貴女の今後を変える者が現れるから”
『何だかわからないけど…分かったわ』
“ふふ、懸命ね”
私は精霊王様の告げた通りにした。
風魔法である程度相手を蹴散らした後、エトにこの集落の座標情報を籠めた“結晶石”を持たせると、クリスタル・オベリスクを起動させ、エトをミュリアのいる新月の森の集落に送った。
それと同時に魔力を籠めてクリスタル・オベリスクを悪用されないようにと、エトに渡した座標以外では起動出来ない様にした。
その時そういえばと疑問に思った。どうして魔除けの結界や警告が機能しなかったのだろうか?と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます