2-EX④:翼…シルフィとまた夢想
ミュリアと出会い初めての友達が出来たその日の夜。
私は昂揚感の中自室のベッドに横になる。
私達
まあ、如いて言うのなら収納時は体と言うか背中が重く感じるくらいかな。
横になった私は直ぐに眠り入った。
+
『………これは』
“ハロハロ~こんちわぁ~
違和感とあの時の感覚。そしてあの時の聞いた声と同じ…何だかフレンドリーな感じに声を掛けて来たのは”精霊王”様で間違いない様だ。
この時点で私はこれが”夢想“である事が分かった。
『はろぉ~?ですね、精霊王様…』
“おぉ、そう返してくれるですかぁ~やはり良いですねぇ~次からはもっとはっきりと『ハロー』と返してねぇ~”
……ふむ。今度ミュリアに試してみよう。
さて、私に何か用なのだろうか……用もなく話し掛けるとは思えないから…
“ん?特に用はないよぉ~なんとなく人の声が聞きたかっただけだからねぇ~”
…特になかった。
…眠たいので早々返ってもらおう。
“ふふ~。なるほどぉ、眠いからサッサと打ち切りたいのかぁ~”
『…えっ!?』
…読まれた!?私の考えを…
“当然だよぉ~この空間内では、
…む、なんだか面白くないな~
“まあまあ、膨れないでよ…面白いな、やっぱりィ~”
なんか最後に小さく本音を零してる気がする。
『……それで、本音の本音は?…何かあるのでしょ、本当は?』
“おや、感付いたのかな?ふふ、実はそうなのだぁ~”
『…なら、早くして?いい気分で寝ていたいのだから』
折角初めて心から楽しく、私が意識せずに笑みを浮かべられる友達を得た日なのだから。いい気分で寝たいものだからね。
“なるる~じゃあ、本題。――あの子にはもっと近づき、色々教えてあげなさい”
ん、何だか途中から雰囲気が少し変わった?それにあの子ってもしかしなくてもミュリアの事?
『…あの子の事、知ってるの?』
“ええ、知ってるわ。あの子はいずれ、あの子も知らない力に覚醒する。彼の
なんだかよく解らない事を言われる。ミュリアが何に覚醒をすると?それに彼の者って、誰の事?分からないことだらけだ。
『…どういう事?』
“アナタにはまだ知る必要のない事よ。必要な事は、今後アナタは彼女と対話を行い、彼女の可能性を示してあげる事。そして、アナタ自身も力を伸ばす事よ”
『……意味が分からない』
“今はそれでいいわ―――じゃあねぇ~伝えたしねえ~”
最後には最初の感じに戻った精霊王様の気配は消えた。
そして私もよく意味が分からない状態で目覚める事になった。
(ぅう、寝たりない…)
~
あれから私は暇を見つけては新月の森に赴きミュリアと逢った。あれから私の表情、つまり感情の機微に変化が生まれた事に両親は喜んでくれた。ただ、ほかの集落に転移できるからと言って一人で行くのは心配と渋られた。仕方ないので私のお世話をしてくれる年上の兎獣人のお姉さんのエトと一緒に行くことになった。もちろんエトは空気を読んでミュリアとのふれあいを邪魔する事なく見守ってくれている。
遠慮のない友達として楽しく会話したり、一緒に御昼寝したりと、周囲の人からはまるで姉妹の様と微笑まそうに見える様に過ごした。
そのふれあいの中で私はミュリアの事を知った。
ミュリアには本当の家族がいないらしい。今は族長である長老さんの家で一緒に暮らしているみたい。
それから新月の集落にはミュリアと同年代の子があまりいないから寂しかった事とか話してくれた。
知り合いの双子のお兄さんとお姉さんが良くしてくれてはいるらしい。
私はその中で、あの日、”夢想“の中で精霊王様に言われた通り、ミュリアに私が気になっていた事を伝えた。
「たぶんだけどミュリアには、普通の獣人族の人とは違う可能性があるわ…」
「えっ!?…他の人と違う可能性?カンスさんやシーラさんと違う?」
「…うん。まずだけどミュリアには普通の獣人族の人なら持ち得ない程の潜在魔力を有してるわ。…正直、私と同じくらいはあると思う」
「シルフィと同じ…ふふ、何だか嬉しいなあ~」
うん。私も嬉しいけど、今は隅に置いておきましょう。
ミュリアは普段しっかりしているけど、親しい者に対して抜けた所がある場合があるのです。
正直そう言うのは居眠り娘の私の領分と思っていたのですが…
「…その他では、何だか複雑な魔力の属性を感じるのです」
「複雑な魔力属性?」
「…うん。私にもよく解らないのだけど…特別なものと感じるのです」
「うぅ~ん。よく解んないかなあ~」
まあ難しいと思うかな。この時は私達はまだ子供なのだから。
…私も魔法をお母さんに教えて貰ってはいるけど、全て理解しているわけではないから……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます