2-EX②:翼…シルフィと目覚めた特性

私はお父さんとお母さんに、私が寝むっていた時に体感したことを話した。


私が話終えると、お母さんが目を丸くし驚いていた。

確かに私の髪が、今では伝説と化している白銀の髪をしている。しかし、母も娘はただ【神子】としての特徴を持っただけの普通の子だと思っていたらしい。



翼人族フェザーフォルク】。

翼をその背に持つ一族。

その身に秘められた魔力は闇夜族の中でも【幽角族ダークマター】に次いで高い。

その身の魔力によって、その身の背に2対の翼を得る。

つまり魔力が高まる程その背の翼の枚数が増えると言う事だった。

と言っても今の時代で翼人族フェザーフォルクの殆どは二翼で、生涯を二翼で終える。

シルフィの母も二翼。

シルフィも現在は髪の色と同じ白銀の二翼である。母によればシルフィは潜在魔力が高く、今後も魔力が上がる可能性があると考えている。つまり翼の枚数も増える可能性を秘めていると言う事だ。


翼人族フェザーフォルクは高い魔力を用いた魔法を得意としている。中でも【風】の属性に秀でており”特殊技能”として”翼・覚醒タイプ・ウインド”を有しており、この力により【風】の魔法を行使する際には詠唱無しでしかも一段階上の位に底上げして魔法発動が可能なのである。

魔法が得意な代わりに翼人族フェザーフォルクのほとんどは身体能力が低い。


翼人族フェザーフォルクの背の翼は常時展開しているわけではない。

いつも翼を背中に背負っていて、狭い所を通ったり、人混みの中、そして寝る際に翼が邪魔をしてしまう。

それに翼が見える=自分達の種族が露見するという意味がある。

今の時代において翼人族フェザーフォルクの種族数は少ない。人間の中には、特に帝国の者達は闇夜族の者は人間の下の存在と見ており、特に帝国なんかは、捕獲し奴隷とするのも少なくない。

そう言った者から目を眩ませると言う目的もあり、翼人族フェザーフォルクの翼は、その背中の内に収納することができる。ただ、翼を収納した状態の場合、翼は魔力や魔法を制御する役割も秘めている。収納状態の場合は当然だが、翼の制御を行う事が出来ないのだ。

それに背中に翼を収納すればその分背中に重みが加わり、背が重いと感じるのだ。


これまでは一般的な翼人族フェザーフォルクの特徴である。

1000年以上前。

その時代の翼人族フェザーフォルクの中には、特殊な能力を有している者がいた。

その者は特別な”固有技能”を持っていた。

それは”夢想”と呼ばれ、アストラルの創造主である【精霊王】と対話しその声を聴く事が出来ると言う力だった。他にもその者の声に力を有し、その声を歌うことで効果を発揮させる事が出来る者もいた。

その多くが二翼以上の翼を有している者が多く、髪が銀に近い者が殆どであった。

そしてその者達は『神たる精霊王に選ばれし巫女』と周囲からそう呼ばれていた。

つまり、巫女とは女性。つまり特別な翼人族フェザーフォルクは女性と言う事だ。



私は母から改めて説明を受けて『……眠い』と思っていたが、真面目に母が話しているので、欠伸をしないように頑張りながら聞いた。


闇夜族の者は自分のステータスを表示する機器を持たない。

人間は、闇夜の魔王を討伐し周囲から英雄と呼ばれた少年が”創造クリエイト”を用いて創り出したアーティファクト、ステータスプレート、今ではギルドカードとも呼ばれている物があり、それを用いる事で簡単に確認する事が出来る。

なので闇夜の者は”鑑定”の技能を持つ者か、自己申告する方法しかない。


私は母から今持っている技能を教えてほしいと言われ、私は自分の内に秘められている才能と言える技能を確認する。

目を瞑り両手を胸に手を当てる。

そして私は自分のステータスを確認して驚いた。

今までよりも技能の数が増えている。

しかも”固有技能”が増え、特殊技能も2つ増えていた。

以前はこんな感じだった……


========

シルフィ

固有技能:なし

特殊技能:翼・覚醒タイプ・ウインド…種族特性

    :闇夜…種族特性

    :発情…種族特性

基本技能:魔法適正【風】、収納【翼】、魔力放出、魔力強化

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で、今自分の内に秘められし能力はこんな感じ……


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シルフィ

固有技能:夢想…固有特性

特殊技能:祝唄シュカ…特殊特性

    :鎮歌レンカ…特殊特性

    :翼・覚醒タイプ・ウインド…種族特性

    :闇夜…種族特性

    :発情…種族特性

    :夜氷フィンブル…特殊特性

基本技能:魔法適正【風】、上位魔法適正【氷】、魔力浸透、空間浸食、魔力強化、魔力放出、収納【翼】、飛翔

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固有技能も特殊技能、基本技能も増えていた。

これには私も驚く。

そしてほんの少しだけどなんとなく複雑な気がした。

だって寝て精霊王様と会話しただけでこんなに変化するなんて。……なんだか~って気がする。


私がこの内容を母に話す。


「…そうなの。あははっ、巫女の特徴を持って生まれた時にもしかしたらと思っていたのだけどね。まさか【巫女】よりも希少な【神子】に目覚めるなんて……」

「…お母さん?私が目覚めたらどうなるの?」


母の様子から私の扱いが何かしら変わる感じを受けた。

そしてそれは正解だった。

私はこの日から【巫女】として、まだ6歳の子供ではあるが、満月の森の族長が他の集落に訪問する際に付き添ったり、闇夜族の者が亡くなったり、人間に家族怒りの気が強い者を【鎮歌レンカ】を用い治める役目を受けることになった。


私は正直面倒だなとしか思っていなかった。

だって【巫女】として族長が他の集落の視察に行く際には、なぜか私も同行しなくてはいけなくなった。正直な気持ちはそんなことより御昼寝がしたかった。


それから、私は集落の者達から今までも特別視はされていたが、特に【巫女】として崇められる事になった。

私は【巫女】と呼ばれるようになったことで、少なからずいた親しい友達の子達が、まるで崇拝するべき者と、恐れ多いと言う様に離れていった。


私に友と呼べるものが居なくなった。

少し寂しい。



そんな日々が1年が過ぎたある時だった。

私は、とても大事な親友となる一人の猫耳の少女と出会った。


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