1-2.Ⅱ:夢・・・出会いと運命の邂逅

まったくいきなり敵意なんて向けてくるなんてな…相変わらず物騒な世の中だ。

そんな風に思いながら俺は今し方、俺の全力の腹パンを受け昏倒している男に近づいた。

多分感じからして人間族だと思ったが一応確認して見たが、やはり普通の人間族の様だった。

取り敢えず男が持っていた剣と持っていた金品を迷惑料代わりに奪った後、見ず知らずの人にいきなり敵意なんて向けてくるような奴は大抵が外道なので、当然奪った剣で止めを刺した。

気絶したままこの世からさようならしてもらった。俺も優しくなったものだ。


俺は取り敢えず、この周囲に先の騎士風の男のようないきなり殺気をぶつけてくるような奴ではない、他のまともな人間がいないか確認する為に“気配感知“を発動した。

ついでに”王権律“も発動させた。

引き出すのは自身の気配を薄くする事が出来て感知能力に引っ掛かり難くする事が出来る “気配遮断“を得た。さっきはいきなり敵意を向けられたからな念の為だ。

…しかし、”王権律“は相変わらず便利な能力だな。まあ今は特に魔法関連の能力は得られないが…


俺は “気配感知“を発動して見ると現在地から少し南側の先に人間くらいの2つの気配を感知した。

それ以外には魔物と言ったモノは感じられなかった。

“気配感知“で感知した反応の1つは先程の男と似た感じなので人間と思うのだが、もう1つの気配に「まさか」と思った。

取り敢えず俺は感知した方に走り始めた。……そのまさかを確認する為にと…。

感知した周辺に着くと、もう一度“気配感知“を発動し、周囲を調べ始めた。すると二つの足音がすぐ近くで聞こえてきたのだ。

聞こえた足音のした場所に到着すると、へたり込んでいる橙色の髪の少女と、今まさにその少女に剣を振り下ろそうとしている、先程の男と同じ鎧を纏った男が見えた。

俺は発動維持していた“気配感知“を解くと同時に“縮地“を足に籠め全力で発動した。

そして、少女に気を取られこちらに気付いていない男の間合いに一瞬で入りその男を背中から切り伏せ蹴り飛ばした。


男は絶叫を上げて倒れた後、俺はこの男に襲われてへたり込んでいる少女に視線を向けた。そして剣を鞘に納めると目の前の少女に「生きているか?」と問うた。

問うた後、こちらをじっと見ている少女をよく見てみた。

年は俺よりも下だろうか。橙色のクセのある長い髪をしており、服装は着物のような民族衣装にフード付きのコートを纏った格好だった。顔立ちは幼そうな風貌だがある程度整っており客観的に見ても美少女に入るかと思う。

だがこの少女が人間ではないとわかる。それは本来人間にはないはずで、この少女の頭には髪の色と同じ猫のような耳があった。


それを確認して(やはり感知したのは闇夜族だったか…)とアルトは思った。

そう、目の前にいるのは俺が2年前に“精霊王”との契約で倒したあの【魔王】と同じ『闇夜』と呼ばれる種族の女の子であった……


そしてこの出会いが俺とこの娘との運命の出会いの始まりだったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る