第1章~【逢】~
1-1:夢・・・始まりの森
1章タイトル…I meet a destined girl when I come back to the hometown.=「故郷に戻ると運命の少女に出逢う」
*1章プロローグ…?視点
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(はぁ、はぁ、逃げなきゃ。また見つかったら、捕まったら…)
薄暗い森の中で一人のフードを被った橙色の髪をした少女は自分を追ってくる人間から必死に逃げていた。
少女は頼まれた薬草の収集の為、集落を出て森に取りに来たのだが、偶然にも甲冑を纏っており、その腰に剣を携えている明らかに友好的とは言えない2人の人間の男に出くわしてしまったのだ。
少女は慣れ親しんだ森をうまく利用して2人の男の内、1人はその少女を見失ったようだが、もう1人の男に気づかれ追われているのが現状だった。
「どこに行きやがったぁ!このガキィがぁ!」
近くから追ってきている男の叫び声が聞こえた。
少女は超感覚が近くまで迫っていると告げていた。
(はぁ、はぁ、近くまで…こんな事なら杖くらい持って来るんだった…)
少女は、薬草を少し採取した後すぐに戻るつもりだった為と、摘みに来た場所には魔物がいない、護身用の杖を置いてきたことを今更ながら後悔した。素手では武装しており恐らく訓練を受けた人間に敵うとは思えなかった。
あと少しで集落に辿り着く距離まで迫ってきた。集落まで辿り着けば少数で多数の人物がいる場所までは追って来ないと考えたのだ。
(はぁ、はぁ、もう少しで、村まで、辿りつければカンスさん達がいるはず…?)
あと少しと集落に着く、着けば頼もしい兄貴分であるカンスとお姉さんのように慕っているシーラに逢えると言い聞かせようとした時だった。
少女の持っている超感覚がこの森の中で、しかもそれ程離れていない場所に何か違和感を伝えてきた。
(なに、今の?)
少女は何故か気になってしまい感じた方に意識を向けてしまった。少女はその一瞬足を止めてしまった。
その瞬間だった。
少女の直ぐ傍をナイフくらいの大きさの短剣が右足を掠めていった。
少女は急だったこともありその短剣に驚き、ドサ!と、膝をつく様に転倒してしまった。
そして転倒した際に被っていたフードが外れた。
その少女の頭には猫型の耳があった。
「へっ!散々手間かけやがって、ガキでも獣モドキだろうが女だろう?クク、相棒には悪いが少しは楽しませてもらうぜぇ!」
少女は体を起こすと目前に嫌悪感漂う顔で少女を嫌らしく見つめている男が立っていた。
追っ手の男は腰の剣を鞘から抜くと、少女が抵抗できない様に足を軽く裂いて動けなくするつもりだったが、少女には「此処で殺される!?」と映っていた。
少女はこれから来るであろう死を感じて涙ながらに目を閉じた。それと同時に(“誰か助けて!“)と少女は心の中で誰かに助けを求めた。
そして一つの絶叫が森に響いた。
少女ではない絶叫が…
少女はその悲鳴にゆっくりと目を開けると、先程まで目前にいた人間の男が近くで血を流して倒れており、その男が立っていた場所には1人の血の付いた剣を右手に持っており今まで見た事のないような不思議な服装を纏う人間族と思われる、黒髪に深い黒の瞳をした不思議な感じが漂う少年が立っていた。
そしてその者は聞きなれない、でもなぜか理解できる言葉を少女に向けて紡ぐのだった。
「大丈夫か、生きてるか?」
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