0-3.Ⅰ:現・・・初めての学園

初めての学園編。

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学校に入る。

園長先生からの提案を受けた後、今まで以上に勉学に勤しんだ。

学校に入るには試験を受けないといけないので、優菜から集中して教わった。

この世界の【国語】【社会】。この二つを兎に角教わった。

記憶がない。そして、やはり………。

僕はこの国の人間ではない。

だからこの日の本と言う名の国の歴史や、漢字を教わった。優菜、教え方が上手くて理解しやすかった。

倒れていた僕を見つけてくれたり、生活に慣れるまで世話を焼いてくれたり、今回の様に勉強を見てくれたりと優菜には感謝しきれないな。

あと他の【数学】【理科】【英語】に関しては問題なさそうだった。記憶がないはずだが、こう、閃く様に答えが出てくるのだ。優菜や園長先生も呆気に取られていたな。


そして、そろそろ暑い季節に差し掛かる時期に編入試験を受けた。どこにも学園に行ってない僕が編入って変な気がしたが。

結果としては問題なく合格する事が出来た。

その日は施設の皆、特に優菜が喜んでくれささやかなパーティをしてくれたりもしてくれた。まあ料理を作ったのは園長先生と僕だけど。


僕が通うのは【黎明学園】と言う共学の全寮制の学院。

学院では基本、寮生活になる為、数か月程過ごした施設を後に寮へと引っ越す事になった。

引っ越しの際、皆引っ越す事を惜しんでくれた。

週末はここに帰れる様に御願いが許可されたのでそう伝えると「ぜったいだよ!」と涙顔でいる子供達に僕は優しく抱きしめ約束した。

数ヶ月の中で僕を慕ってくれた皆に感謝した。



今日から学園生活が始まる。

未知の空間。

そう思うだけでなんだかワクワクしてくる。

そう優菜に伝えると「変わってるね、アルトは」と返された。普通の編入、転校生は緊張しているものらしい。よく判らんです。


さて、僕は編入性なので、今日から所属するクラスの前に立っている。

先生(若く凛とした女性)に呼ばれたら入って自己紹介を済ませる。


「では、君入って来なさい」


呼ばれたのでドアを開けて入室する。

入ると一斉に皆の視線を集める。

その中には優菜もいる。

あらかじめ、試験の面接の際に、自分が記憶喪失である、と伝えた事もあり顔見知りが近くにいる方がよいだろうと気を回してくれた。


(まあ、僕も優菜と一緒なのは助かるかな)


そう思いながら黒板の前に立つとチョークを渡される。黒板に自分の名前を書くらしい。


『呼ばれた後は教室に入る。入ったら先生の隣に行く。チョークを渡されたら黒板に名前を書く。書いたら自己紹介。って、感じだと思うわよ』


うん、優菜に聞いていた通りだな。

サクッと書いてしまうか。


【シン アルト】


うん。問題ないな。

字の練習もしたし綺麗に書けたと思うな。

漢字だけでなく文字も解らなかった部分もあった。何度も何度も書き取りの練習をしたな。

……子供達と一緒に。

文字が分からないのに言葉は理解できる。不思議だよ……。


(ん?…なんだろ?皆の顔、不思議そうな表情浮かべてる?…僕と言うより、黒板の名前にかな?)


その後は先生に促され席に着く。席は優菜の横にして貰えた。

席に着くと笑みを浮かべている優菜に、


「隣、よろしく、優菜」

「うん。こちらこそ宜しくね、アルト」

「では、授業に入ります。彼に質問したいことはあとにして下さい。教科書57ページを―」


こうして僕の初めての学園生活最初の授業が始まった。



授業の後、僕はクラスメイトに囲まれ質問を受けていた。

殺到するクラスメイトに驚く。そんな僕を『がんばれ』と微妙に心配そうな顔をしながら応援してくる優菜。


「なぁ、つと、お前をなんて呼んだらいいんだ?シン?それともアルト?」

「えっと、アルトって呼んでほしい。皆にもそう呼んでもらってるから」

「じゃあ次は私よ。アルト君って出身は何処なのかな?名前がカタカナとか雰囲気が私達と違う気がするし、もしかして外国の人?日本語上手いね」

「そうだよ。少なくともこの国ではないよ?語は頑張って覚えたよ」

「よし、次は俺だ!アルトは何でこんな時期に転入して来たんだ?あと数週間で夏休みなのによ?」

「それは、決めたのがこの時期だったからだよ。僕的に特に考えてと事情があるとかはないよ」

「ボクッコキター!あっごめんね!いきなり叫んで」

「…変かな?僕って?」

「ううん。むしろ合ってるからいいと思うわぁ」

「そっか……ありがと」

「アルト君は編入試験ってどうだった?確か編入試験ってうちらの期末より難しいって聞いたけど?」

「試験?…えっと、確か……【数学】【英語】は満点だったかな。【理科】は解り難いのもあって90点だったかな。【国語】と【社会】は不慣れなとことかあって70点だったよ」


試験の点数を告げるとクラスがシンと静まり返った気がする。

変なことを言ったのかな?


「す、すごいんだね、アルト君。頭いいんだ」

「ん~、よくわからない、かな。此処にはいる為に頑張って覚えただけだしね」

「どうしてこの学園に編入しようと思ったの?」

「それは、優菜がここにいるからだけど?」

「ええぇ!?」


なんだかみんな驚いているな。何度驚くのかな?


「アルト君って優菜ちゃんと知り合いなのかい?どういう関係?」


僕は優菜との関係を聞かれ、優菜に視線を向ける。言ってもいいのかな?と確認する。

優菜は頷いてくれたので僕は説明した。僕と優菜のこれまでの事を。


「そうなんだ…記憶がなく倒れていたなんてなぁ~漫画みたいなことってあるんだなぁ」

「それで優菜ってば寮から帰ってたんだ?」

「ええ。アルトが慣れるまで傍で手伝いをしたいと思ってねぇ」

「感謝してるよ、優菜には」

「えへへ」

「よぉし!今日からアルトもうちのクラスメイトだ!何か困った事があったら俺達に聞いてくれよ!」

「そうね。同じクラスになったのだもの。助け合いは大事ね!」

「みんな……ありがとう」

「良かったね、アルト」


今日であったばかりの僕を気にかけてくれるすごく良い奴等だな。そう思う僕だった。

このクラスで良かったと思い、その日々を過ごしていくのだった。

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