2月18日 夏秋友哉(営業課窓口係)「たまに憂鬱」

 来週の頭から隣の収納係は停水期間に入る。だから今日から週末まで停水予告のビラ配りで忙しい。

 ――いや、しかし、先月の二十五日に予告状郵送してだよ? 今月八日が停水予告の期限日で、また今週頭から予告のビラ配りって。それもビラ配りは実際に対象世帯を回って配るんだよ。何かていねいすぎるよなと毎回思うんだけど。

 水道使用世帯数が多い局はそこまでしないらしいし、ていうかそもそも停水自体が半年に一回だったりするらしいけど、うちは妙にコンパクトだから。

 まぁそのおかげで収納率は結構いい方みたいだけど、現場は苦労が多いこと忘れないでほしい。

 予告状の時もそうだけど、ビラが配られたら必然的に窓口に人が殺到する。支払えないから延ばしてくれと言いに来るわけだが、老若男女問わず態度悪い奴に限って着ているものがよかったりするのはどうしてだ?

 善人か悪人かはっきり見分けて指摘することなんて鈍感らしい俺には無理だから、とっくの昔に諦めてバシバシ捌いているけれど、でも、全然ヤル気がなくなる瞬間があるんだよな。

「おい夏秋! 溜息ついてる場合じゃないだろ! 電話電話!」

 ――地味に増え続けてる滞納者やらクレーマーやらに比例して局内で密かにメンヘラ増殖中ってのわかる気がする今日この頃。

 今のうちに有休まとめて消化しようかな……。

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