第5話 公務員試験総論
公務員は、
①国家公務員
②地方公務員
③その他
に大別される。
①国家公務員には、国家総合職(旧1種)、国家一般職(旧2種(大卒)、旧3種(高卒))が存在する。
国家総合職は、つまり官僚を指し、そのほとんどが高学歴、主に東京大学出身者で占められている。中には、法務省などの不人気省庁もあり、そこはむしろ東大出身者が行くのは珍しい(法務省は、裁判官や検察官などの司法試験合格組が法務官僚として最終的には出世競争に勝ち残るため、あえて行政職として法務省へ入省しようとするものが少ないからだ)。
国家一般職というのは、官僚が霞が関で仕事をするのに対し、いわゆる出先機関と呼ばれる地方支分部局で勤務することになる。
官僚は政策立案を、出先機関では国と自治体の調整などを主に行っている。
ちなみに出先機関の親玉は、さいたま新都心にあるため、研修などは、さいたま新都心で行われることが多い。
②地方公務員には、都道府県庁職員、基礎自治体職員が存在する。
県庁といえば、「県庁の星」という映画が有名だが、実際には県庁職員にはあまりエリート意識はないように思われる。
そして、やはり予算規模の大きい都道府県は人気がある。
一番人気は東京都庁だろう。やりがいがあり、東大でなくとも出世が期待できる。日本の首都、新宿西口の一等地のビルで勤務しているとなれば鼻高々だろう。
また、東京の場合には、特別区(23区)が存在し、特別区も最近では人気が高い。特に、開発が進んでいる区(墨田区や江東区)については、政策論文の試験や面接も回答しやすく、イメージもある程度想起できることから人気が上がってきている(ただし、特別区は都庁と試験日がかぶっているためどちらか一方しか受験することはできない)。
基礎自治体には、市役所、中でも政令指定都市、中核市、特例市などのランク付けがあり、町役場や村役場になればなるほど、人気は下がる。
特に、上位の政令指定都市、たとえば横浜市や千葉市や大阪市などになると、神奈川県庁や千葉県庁や大阪府よりも人気がある(給与はもちろん政令市のほうが上になり、独自の権限やひも付きでない財源が政令市には認められるため、県庁などと比較してやりがいもあるように思われる)。
橋下大阪府知事が大阪市長へ鞍替えしたことは有名だが、背景にはそういった権限などの問題がある。
③その他には、国家専門職、衆議院参議院、裁判所事務官、法人職員、警察消防自衛隊、教員等々さまざまだ。
国家専門職というのは、身分は国家公務員だが、試験形態が上記の国家一般職とは異なる。財務専門官、国税専門官、労働基準監督官などを指す言葉だが、それぞれ独自に試験を行っている。通常の一般事務を行う国家公務員とは異なり、多少の専門性を要求されるため、試験形態を別にしたと考えられる。
すべてを解説するには枚挙にいとまがないため、最後に法人職員について解説を加える。
法人職員は、各区域ごとに採用を行っている。関東在住であるならば、関東甲信越地区国立大学法人等職員の筆記試験を受ける必要がある。
筆記試験に受かれば、各大学や法人に個別に面接を受けに行くことになる。
基本的に、国立大生は自分の出身大学を受けることが多く、また自大学の採用枠も存在しているため、採用面接が有利に働くことが少なくない。
大学に限らず、財務経営センターや放射線医学総合研究所、東京は上野にある博物館などでも面接を行っている。そういった意味では、他の公務員試験と比べてバリエーションが豊富といえる。
試験の難易度でいうと、おおざっぱだが、①②③の順番で筆記試験は易しくなる。①はかなり高度な知識を求められ、また政策論文についてもクオリティが求められる。他方、③についは、法律や経済などの専門的な試験や論文試験などはなく、大学受験レベルの択一問題しか出てこない。そのため、何が何でも公務員になりたい!けど、法律も経済もやりたくない!という人にはオススメだろう。
とまあ、そんなこんなで、漠然と僕は公務員という複雑怪奇な職種を目指すことになった。
もちろん、受験を志したその時には、公務員がどんな仕事をするのかなんて、全く想像だにしていなかった。
おそらくは、僕以外の受験生もそうだと思う。
それほど、公務員というのはわかりにくい。
「まずは、予備校に行かなくちゃな・・・」
一抹の不安を覚えながらも、僕は、公務員試験予備校の門を叩いた。
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