第100話 消臭ふぁ○魔法。
朝日がキラキラ海面で反射するんで明るくてけっこう早く目が覚めちゃった。
なので少し手をかけたご飯を作ろうかな?
亜空間収納に入れといた貴重な野菜をさいの目に切って、昨日も作った魚の擂り身団子も作って。
先に団子を鍋に入れて小さく泡がたつ程度で灰汁をとりつつ出汁と味が染み出すように煮ていく。
そこにさっきの野菜たちを入れて煮汁の旨味を吸わせながら煮て柔らかくなれば出来上がり。
味付けは好みで醤油でも塩でもトマトでもいいけど朝だから薄目の塩味で!
スープはこれでよし。でもこれだけじゃ足りないよね。んー、あ、すいとんにしよう。小麦粉に水を入れて練って薄く伸ばしてちぎって煮ればおっけい。
お腹もふくれるしスープにとろみがついて煮汁をたっぷり吸ったすいとんは更に美味しい。
具の煮え具合を確かめスープを一口味見。
「…ん、よし。出来た」
「もう食べれる?いい匂いがして目が覚めたよ」
「わ、おはようございます!どうぞ、食べてください」
「おはよう、いただくよ」
起き抜けでも食べやすいし美味しいと言ってもらえて満足したよ。
カインさん、すごくほめてくれるから嬉しくなっちゃう。作り甲斐あるなあ。
モリーもその体のどこに、ってくらい食べてくれるけど。
野生では生肉や生野菜(野草?)だし難な時は魔力だけでもいいらしいのに人間用に作ったものあげたらはまっちゃったみたいなんだよね。
まあ一緒に楽しく食べられるのが一番かな?
ドラゴン(精霊)もモルモット(魔物)も人間もみんな一緒の朝食を済ませるとテントやかまどの始末をして片付ける。
ほとんど亜空間収納に入れちゃえるから楽でいい。
「じゃあ行こうか」
「あ、待ってください。ひとつだけ」
「…ん?」
消臭ふぁ○魔法!作ったんだよねー。
試さず次の町へは行けないでしょう!
「え゛」
「さ、行きましょう!」
とりあえず悪臭を防ぐってことで漢臭だけ弾く結界かな?
食べ物が腐ってるのに気づかないで食中毒になったらダメだと思うので限定して弾く設定にしとこう。
あと臭いのもとを消すパターンもありかな。
こっちは魔拳銃の弾に数種類追加ね。無臭の消臭抗菌とフローラルと殺菌で!
このくらい対策すればカインさんもあの町を歩ける…よね?
「じゃあカインさん、消臭魔法かけますね」
「あ、ああ…」
魔道具を作るには魔石がないので普通の(?)魔法だ。
無詠唱でできるけど一応短く唱える。
『その身に纏え 消臭ふぁ○りーず!』
「ふぁb…?」
小さな魔方陣が頭上に発生し緑の雪のような光がカインさんの周りに舞って魔法が完了する。
臭いの魔法だから見た目に変化はない。
「どうですか?体に違和感とか…」
不具合はないか確認するとカインさんは自分の体を見下ろし腕を回してみたりしてから頷く。
「うん。なんともないね。臭いは…まだよくわからないけど」
「そうですよね。じゃあ行ってみましょう」
「………本当に行く?」
「行ってみなきゃわかんないじゃないですか。さあ行きましょうカインさん!」
というわけで再び僕らは漢の町ラーシェイに行くことになった。
………人体実験じゃないよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます