第65話 遂に念願のお風呂完成!
翌日。
自警団のみなさんに混じってカインさんガザシさんと食事を摂りながら切実に思った。
…お風呂入りたい…!
昨日は土いじりして泥だらけになったのを魔法できれいにしたけど、やっぱりお湯に浸かるのとは違うんだよおおお。
「はあ…」
「どうしたの?」
「さすがに疲れたか?」
「あ、いえ…」
「大丈夫かちびっこ」
「ちびっこいのに頑張ってたからな」
「新人なのに目一杯働いてんもんなあちび」
「………ちびちびうっさいわー!」
「「「ちびが怒ったー!」」」
「あんだってー!!」
二人から三人一組で動くルールな自警団で交替時よく喋ってて、カインさんガザシさん以外に仲良くなった三人組とじゃれていたら、ふっと笑われた。
「元気になったね?」
「あ…」
気がつくと見守っていた目に出会い、はっとする。
心配かけちゃったんだ。
「…何か悩んでるなら言って欲しいな。わからなければ守りようもないし何より…もっと君のことが知りたいから」
「は、…はい、実は」
と、言うわけで今日は街の中心部に来ております。
「じゃあ木材をこっちに寄越してくれー!」
「「「ウーッス!」」」
非番だった三人組も協力してくれてガザシさんの指示に従って木材を運んでいる。
カインさんはその剣の腕で木材を伐採。
僕は…。
「うんせっ、うんせっ」
「ほいよー、頑張れ兄ちゃん」
「ふぉう、うんせっ、うんせっ」
子供らに混じってバケツリレーで水汲みです。
いやあこの街こんなにバケツがあったんですねえ。
水の重さで持ち手が食い込む…ッ、だけどお風呂に入るため!
「うんせっ、うんせっ…」
土魔法の使える大工さんが基礎工事をして、その上に木材を組んでいく。
今度は風魔法の使い手が運ぶ補助をしていた。
風って目に見えないから地味だけどみなさんが素晴らしい早さで仕事するんでマジパネェッす。
湯船はまた土魔法と木張りでしっかりと頑丈に!
水漏れしたりしないようにかたーくなるように魔法を使うんだとか。
浴槽になる板は水に強い素材を隙間なくピッチリと張り合わせて、さあみんなで運んだバケツを一斉に大きな浴槽へダバーッと!
そしていよいよ僕の出番。
両手を水面に向けて魔力を込める。
温かいお湯…四十度くらいが適温かな?
心地よいお風呂になりますように、願いを込めて集中すると水面がきらきら光だす。
「「「おおお…」」」
「こんなもんかな…?」
そうっと手を入れると。
「…っ、くーーー!できたあああ!」
「おおお!?」
「出来ましたよ!お風呂!これがお風呂ですっっ」
まずは働いた大工さんたちから入ってもらい、なかなか好評のようで良かった!
後から僕もカインさんやガザシさんたちと入ったんだけど、真っ赤になったカインさんに目を逸らされちゃった。
しかもみんなに見えないように壁になるってどういうこと?
そんなに僕貧相な体してます?
容姿平凡なのは自覚してるけど、ちょっとショックだよ…。
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