第59話 補助魔法は不遇?

 洞窟に入ると細い通路になっていて迷路のように分岐が沢山あった。

 しかも分岐の度に兵隊蜂に遭遇する。

 僕の魔拳銃は音が大きいので全部カインさんが倒してる。

 潜入戦には向かない武器だったなあ。

 サイレンサーとかあればいいのに…。

 …もしかして土魔法なら作れる?


「どうかした?」

 つい足を止めて考え事に夢中になってしまって、カインさんの声で我に返った

「あの、ちょっと思い付いたことがあって。少しだけ待ってもらってもいいですか?」

「…………何をする気?」

「えっと、土魔法を少々…うーんと硬い鉱石とかの方がいいのかな…」

 銃と言うと昔は鉄から鋳造してたはずだからこの辺の土でも魔力で硬化すればいけるかな。

 いやでもそれならまだ魔導石を持ってるからそっちを使うべき?

「でもなあそれだと失敗したとき怖いし実験を繰り返しできるほど余裕はない…もうとりあえず土でいっか!」


 とにかく一度作ってみようと一掴み土を拾って意識を集中する。

 強度を上げるように硬化するイメージを描き、発射音を消す効果を付けるように魔力を手のひらに込めていく。

 土の粒が磁石に引きずられる砂鉄のように集まりだすと見ていたカインさんが驚いた声をあげた。

「何を言って…ってえええ!?」

「カインさん、しーっ」

「あ、う…」

 更に分子と分子がしっかり結合するようイメージして魔拳銃の先に着けやすいチューブ状にする。

 本物の拳銃の構造なんて知らないので本当にイメージだけだけど、これならいざってときにカインさんだけに負担かけなくていいはず!

「できました!」

「ちょ、君、それは一体…?」

「これはサイレンサーです!(多分)これをこうして魔拳銃の先に着ければ、発射音を消してくれます」

「お、音を消す?」

「はい!これで僕も援護くらいはできます」

一応サイレンサーは補助魔法に当たるかな?

ホント魔法って便利だよね☆

「………、……………うん。万が一の時は使って」

「はいっ」


 意気込んでみたもののその後もすべての白蜂はカインさんが切り捨てていた。

 だって反応速度が全然違うんだもの。

 僕が気づいたときには既にカインさんが倒していると言う有り様だ。

 カインさんお強いです。

 途中で薬の材料になる苔や草も採取して進むこと一刻、お昼御飯は街で作った豚汁擬き。

 豚の代わりに魔物肉だけど。魔物さんごちそうさまです!

 周りを警戒しつつ食べたあともしばらく分岐で蜂を(カインさんが)倒して、今多分洞窟のもっとも奥まで来てます。


 あれ?サイレンサー必要なかった?

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