第21話 傍に居てくれますか?

「じゃあこれで俺を雇ってくれるかな」

「…でも、僕異世界人で、あてもないし。とりあえず生活できればいいかなって」

「うん」

 魔法で儲ける算段だったけど、大っぴらにすると危ないし。

 今ある麻袋ひとつで暮らしていけそうではあるけど。


「カインさんには旨味がないっていうか…」

「俺が、勝手に心配してるんだからそんなこと考えなくていいよ。普通に雇ってくれればいいから(むしろ半分以上傍に居たいってのが目的だし)」

「普通…ですか?」

 その普通って言うのもわかりませんが。

 元の世界で中学生だった僕は当然雇用契約なんてしたことないし、異世界でとなればなおさら。

 それに思い当たったらしいカインさんは苦笑して麻袋を開けて金貨を取り出して僕に見せる。

「例えば金貨一枚で某かの事件に対しての護衛一回ぶんになる。十枚あれば半年は雇えるかな。この場合終生雇用と考えて…」

「ま、ままま待てクダサイ?終生って…!」

 思わず片言になるほど慌ててカインさんを止めた。

「終生ってい、一生ってことです、ヨネ?」

「うん、君を放っておくと価値もわからないまま魔導石を売ったり、よく知らない人間に声をかけたり、どうも行動的過ぎるからね…?」

「あ、あぅ」

 なんもいえねえ。


「お目付け役とでも思ってくれるかな」

「…ハイ」


 笑顔のイケメンに凄まれるとか誰得ですか?

 たぶん僕じゃないです。



 ×××××



 拝啓、お母さん。

 お目付け役と言う名の頼りになるお兄さんができました。

 エガオガチョットコワカッタデス。

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