第20話 ひと財産。

 ひとしきり取り乱したあとは賢者タイムですありがとうございます。


「つまり、君には危機感をもってほしいってこと…それから、俺を護衛として雇ってみない?」

「…えっ?」

「君に声をかけられたときに俺が言った事、覚えてるかい? 」

 騙されやすそうとか言われちゃったんだよな。

 カインさんだけじゃなく他にも昔言われたことがあるし。

「危なっかしいからついていきたいんだけど、どうかな」

 正直ありがたい。

 だけど。

「僕、お金が無いんですけど…」

「それならさっき魔導石を売ったお金がある。俺が代わりに受け取っておいたんだよ、ほら」

 カインさんが僕に差し出してきたのは金貨の詰まった麻袋で、成人男性の胴回りぐらいの大きさの袋がぱんっぱんになったものだ。

「これで屋敷が二軒ぐらいは余裕で建てられる。ひと財産だね」

 元の世界でも見たことがないほどの大金ということですねわかりま…せん!

 なんじゃこりゃあああ。

 ドウシテコウナッタ!


 目を見開いて固まった僕にカインさんがさもありなんと頷く。

「さっき君が出した魔導石ひとつでこれだけのお金になるんだ。…凄さを実感できたみたいだね」

「…はい」


 下世話な話ではあるけれどもお金って分かりやすいと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る