第12話 初顔合わせ。

 僕は何もない空間に漂っている。

 僕以外に何もなく天も地もない。

 僕自身という意識と体が浮遊しているだけの空間だった。

 あまりのショックに憤死でもしたのだろうか?

 ぼんやりと思っていると遠くから声が聞こえてきた。


「やあやあ我こそはこの世界の神様である。頭が高い。控えおろう!」

「……………」

「いや、そこはこう、ははーっとだね」

「………はぁ」


 ぷかぷか浮いてるこの体勢で?

 無理でしょ。

 って言うか、大体さどうして僕が落っこちるはめになったのかなあ?

「なんで僕はここに来ることになったんでしょう?」

「え、ええーとだね、それはつまりそのぉ」

 ちょうどいいやと疑問をぶつけると、神様は指を絡ませもじもじしながらちらちら僕を見て口ごもった。

 女の子や小さな子がやったら可愛い仕草だと思うけど、この神様立派に成人男性だから全然かわいくないんですけど。

 むしろ長身で筋骨たくましいガテン系のイケメンだ。

 金髪碧眼で真っ白な一枚の布を巻き付けている。


 浮いているのをいいことに少し上からその碧眼を見下ろして更に問う。

「つまり?」

「えーお昼寝してたら寝ぼけてこう、穴を作っちゃってまして…」

「…ふうーん。その穴に僕が落ちてしまった、と」

「そうなんだよね。我、めっちゃ強いからちょーっと寝返りうったら世界の境に穴ぼこできちゃってぇ。あはは、アハアハ」

「あははそうなんだー、ですみませんよ!?何してくれてんですかあああ!!」

「すいませんでしたああ!」


 初めて見たわ神様のスライディング土下座。

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