第11話 異世界ミストリップ。

「い…せかい?」

 一瞬なんだかわからなかった。

 異世界。

 そうか、こちらから見ればあちらも異世界なんだ。

 理解すると自然に僕は頷いていた。


「そう、です。僕はいつの間にか荒野にいて…歩いていたら急にこの街に…」

 ボソボソと話すと二人は真剣な顔で聞いてくれた。

「君が最初にいたという荒野は恐らく神の創った不可侵地帯サンクチュアリだ」

「さ、サンクチュアリ聖域…?」

 なんにもない荒野だったけど。

「何者も侵すことの出来ない場所。神に招かれし者以外には」

 え、召喚キタ━(゚∀゚)━!?

 でも僕誰にもあってないけども。

 そんな期待した顔されても王道展開は皆無ですよ…?

「だ、誰にも会いませんでしたよ?」

「………誰にも?」

 文字で表すならwktkって感じだった二人がきょとん顔になった。

 間抜け顔でもカインさんはイケメンでしたこんちくしょう。

 店主さんは丸眼鏡キラーンって感じだったのが柔らかい感じになった。

 これ誰得?


「まさか…しかしあり得るのかそんな…」

「どういうことだ?」

 しばし時が止まったけれど店主さんが我に返ると思い当たることがあったのかぶつぶつ呟いて唸る。

 カインが促すと迷いつつ考えを口にした。

「間違って落ちてきた…と見るべきでしょうね」

「………」

 二人の視線が揃って僕に向く。


 え、間違い?

 まあ僕みたいな平々凡々を絵にかいたようなやつが勇者召喚なんて絶対無いとは思ってましたよ。

 けどチートなのに召喚でもなく間違って落ちただけとか。


 ホントに神様僕をどうしたいんですかアアアア!!?




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