第10話 バレちゃった。

 口に出ていたらしくまじまじと見られてしまった。

 あわわ、スイマセン。

「知らないの?」

「…はい」

 恥ずかしくて小声で返事したが呆れるでもなく店主さんが説明してくれる。

 ええ人やー。

「この色のついた石は魔導石といって、魔力を溜め込んだ石の事です」

「魔力を?」

「それぞれの色は溜め込んだ魔力の属性を示しています。例えばこの赤い石は火属性。石を握って念じることで魔法が発動するのです」

 へーそうだったのかー。


「これをどこで…拾ったのです?」

「………荒野で」

「…荒野?」

「えっと、この街に来る前の荒野で拾ったんですけど…」

 荒野と言ったら唖然とされたよ。

 ええっ、僕、何かおかしな事を言いましたかね?

 挙動不審に視線をうろうろさせていると彼らは気を取り直すようにエヘンエヘンと咳払いする。

「あーっと、そうだな。金額についてはもう少し詳しく話した方がいいんじゃないかな?」

「ええそうですね。こちらに、ついてきてください。二人とも番を頼むよ」

 後半を護衛さん二人に向けて言い、店主さんはカインさんと僕を促し奥へ戻った。


 掘っ立て小屋に見えた買い取り屋は意外にも広かった。

 買い取りカウンターの奥の部屋の一つへ入っていく二人を追いかけ僕も入ると、出入り口の左の壁際に大きなソファが据えられ、奥の窓際には黒っぽい重厚な木の机があった。

 その机の脇に立つと店主さんは僕を振り返って、

「…貴方は、異世界から来たのではありませんか?」

 と言った。

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