第18話:優待券
初めて優待券が届いた日のことを覚えている。
1通の郵便がポストに入っていた。大き目のA4サイズ程の緑の封筒。
中を開けてみると配当金と優待券だ。
これで自分の店舗で買い物券として利用ができる。嬉しい限りであった。
あまり周りの同期には見せびらかせないようにしようと考えた。
色々と茶化されたり、資産がばれてしまうのはあまり嫌だからだ。
なるべく気づかれにくいように自店では使用しないように注意をした。
それでも噂と言うものはすぐ広まるもので、結局それも意味をなさなかった。
「大島が優待券使ってたぞ、あいつ株主だ」みたいな感じで言われていた。まあばれたところでどうというわけでもないが、なんだか資金がばれるのは嫌な感じがしたのだ。
しかし株主になるだけで一気に心に余裕ができたものだ。
それ以降は色々とあってもくじけることも特にない感じだ。なんせ自分はもう1人ではない。2人いるんだ。そんな感じだ。
でもどうせなら優待をさらにもらいたいから3人目を作ったりしたいなとも考え、また新たに100株に向けてコツコツと給与天引きから持株の購入をすすめているのだ。
貯金300万をキープし続けるとお金が入ってくる流れもできた。
いよいよ私は3人目を作る決心をした。株主とはまた別の3人目。
「個人投資家」としての自分を作るため、まずはスキルアップがてら本を大量に購入しまくった。
個人投資家ともなると株主と違って副業に近いようなものだ。(正式には副業扱いではなく、投資と言うことになるらしいが)
それでもその分野に足を入れるためにはまず本業を力を入れていかなければいけないと考えた。
投資家のリスクとしてはマイナスを被った時に心が乏しくなる。
それを補うための強い信念を持つ必要がある。
たとえ投資家としての自分が挫折しても、オリジナルの私と株主の私の2人がプラスのストロークを出していれば自然に投資もうまくいく。そう考えたからだ。
私の社会人人生はこれからが正念場となっていくのであった。
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