第17話:経営のプロ

私は前のお世話になった店を訪れた。

そこには実は経営のカリスマとも思われる「プロ」がいたからだ。

私ももっとも尊敬している人の1人だ。

いつも通り店舗の少し離れた駐車場に止める。元上司の店長の車は、今日は止まっていないな。ということを確認したりしている。

入口から入ると店内のBGMが聞こえてくる。この日は昼のパートナーさんがレジを打っている。

もちろん顔なじみだがレジが忙しそうだ。私はそのまままっすぐ突き進んでいく。

プロの方は接客中だった。終わるまで機会を待つとしようとプロモーションに影を潜める。

終わったと同時に声をかける。「あら大島さんお久しぶりね。元気していた?」と声をかけられた。

「私は元気ですよ。先生も相変わらず元気ですね」と話をした。

「今日もまた売り場視察にきたのかい?」そう言うと私は「もちろんそれもありますが先生の仕事プリを勉強にきましたよ」と伝える。

お互いに笑いながら会話をすすめていると、別のパートナーさんが通りがかる。「あら大島君久しぶり、今日は休みなの?」と質問がある。

「今日は休みですが、先生が出勤されてるタイミングを見計らってきました」と伝えると「そうなの。まあゆっくりしていってね」と仕事に戻った。

休日出勤のようにも思えるが、これがなぜか楽しくて仕方が無かった。

やはり私自身も経営者を目指していたからだろうか。そういった経営のプロの目線というものを感じてみたい、そう思ったのだろうか。

不器用な私だからなかなかうまく伝えられないが、おそらく「商売の鏡」そういったものを間近で見て、そしてそれをいつか自分も出来たらいいなと考えていたのかもしれない。

2時間もいるとその店の店長が休日だというのに買い物に来ているではないか。赤ちゃんを抱いて登場。私は軽く会釈をし、店を後にする。

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