第1話:節約

まず私がしたことは節約だ。

これは誰でもよくやっている、特に家計簿をつけている主婦などもそうだ。

しかしこれだけでは貯金は増えても収入が増えているわけではない。

結果年収は上がらないことには変わらないだろう。

でも少しでも多く貯め込んでおけば将来への不安はなくなるだろう。

結婚もしたいし、好きなこともしたい。お金はあって損はしない。

出来ることはとにかく自炊、男性で独身と言えばコンビニ弁当か外食のイメージだ。

でも私はどちらかというと自分で料理したものか家族が料理したものが好きだ。

面倒な時は外食するが、常に考えているのは出費だ。計算するのは大変だが、慣れれば簡単だ。経営者のような感覚で自分の家計を計算すればよいだけだ。

私は毎月の給与を楽しみにしていた。今月は「〇万円貯金できる!」と感じたからだ。

そして毎月使うお金を考えてみた。いくらまで使えばいくら最終的にプラスになるのか。

当初の私は毎月5万円で生活し、残り10万円程は貯金を頑張るぞと意気込んでいたのだ。


小売業に入社したての頃の話になるが、両親とあるスーパーに行ったときであった。

「卓郎、あそこで水が無料で汲めるわよ」と母は言う。専用器を500円で購入すると5リットル分の水が毎回無料で手に入るのだ。

私は思ったのだ。「毎回水なんて汲みにこめるだろうか?」すると母がこう言った。

「自分の職場の隣なんだし、勤務が終わってから汲んで帰ればいいでしょ。とにかくこれを活用して毎月の飲料代を節約しなさい」

結局購入することにしたのだ。まあ入社したばかりはお金も何もないのだから、少しでも食費を浮かせれたらいいかと感じたのだ。

そして2リットルの水を一度買い、その容器が空になる度に汲んできた水を入れて飲み水にした。容器が汚れた時が買い替え時だ。これが私の最初の節約スタートだったのだ。


職場でパートナーさんと話をしていた時にその話をしたのだ。

「大島君てマメね。私も見習わないといけないわ」と関心の声が上がる。

「でも自分たまにジュース飲みたくなるんですよね。炭酸飲料とか好きなんですよ」と私が伝えると、パートナーさんは少し心配したように

「でも若いうちはいいけど、年を取る取るとそういった生活は控えた方がいいかもね」と言うのだ。父親も同じことを言っていた気がした。

仕事をしている時はなぜか水でも大丈夫だった。慣れないうちだから緊張しているからだろうか。私はジュースもお菓子もあまり食べたくはなかったのだ。昼ご飯でさえあまり食べなかった。いつもチラシのパンを食べていたのだ。

そんな中職人さんが言う。「あんたそんな食事で夕方までもつのかい?」と。私は「お腹もそんな減らないし、気合で乗り越えますよ」と言う。ホント仕事に夢中だったからなのか、食費は入社1ヶ月はそんなにかからなかったのだ。毎日がいきいきとしていたからだ。

私は最初の初任給15万円を全て仕送りした、初めの1~2ヶ月ぐらいは入社前の貯金を切り崩して生活しようと考えたからだ。

節約していたおかげでまだまだ余裕資金は残っている。職人さんやパートナーさんにその話をすると「親孝行だね」と言ってくれた。

私の学生の頃からしていた節約術は社会人になっても延長され、それはずっと続くものだと考えていた。それが私の社会人になってからの始まりであったのだ。

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