大爆発! 研究所最後の日
――うーん、神経接続が上手くいかないなぁ。
この誤差は無視できないし、やっぱり致命的な精神負荷を受け入れるしかないのかなー。
開発班が採用した分散処理システムは結局こっちに丸投げしますってことだし、過剰なエネルギーの放出方法を未だに確立してないみたいだし……
これじゃ第II相試験が思いやられてイヤになっちゃう。
そろそろ負荷テストを始めて52時間経過……もうすぐ夜明けかぁ。
研究室でパソコンの前にずっと座ってるのは慣れっこだけど、流石に目が疲れてきちゃった。
ブルーライトを軽減してくれるっていうメガネをずっと掛けっぱなしだったから耳が取れちゃいそう。このメガネは本当に効果あるのかしら……なんか首も凝っちゃったし。
もうやだー! ちょっと早いけどメガネ外して休憩しちゃおー!
そもそもコンタクトレンズしてるのにメガネ掛けるってのも変な感じだし。
……あーぁ、ゆぅくん今頃何してるのかな。教官さんにイヂメられてなきゃいいけど……
「いっくみー、そんな顔してどうした? しかめっ面じゃ可愛い顔が台無しだぞ」
ノックもしないで私の研究室に入ってくるなんて『千景』らしい。
同じ白衣でも彼女が着ると地味な印象がしないから羨ましいなー。茶髪のセミロングが似合ってる上に、胸が私より大きいし……
「おつかれー、ちか。どうしたの?」
この時間は、確かトップダウンテストやってるんじゃなかったっけ?
「おっつー。ちょっと『丹野教授』に用があったんだけど留守でさー。待ってる間やることないから、おまえの様子を見に来てやったんだぞ。感謝しろよ、コイツー」
「うん、ありがとー」
千景は爽やかな笑顔で、いつも私を癒してくれて本当に感謝している。
「そんなことより何か困り事? アンタがそんな深刻な顔してるってことは……まさか、また『狂信野郎』が――
――「い、郁美……もう少し上げてくれないと見えないぞ」
この男は……そんなんだから研究所の女子達に変態扱いされるのだ。自覚は無いのか? 全く……
「一理ある。みぃちゃん、もう少しだけ頑張ってみようか」
おいおい、どこの馬鹿がそんな不埒な事を言っているのか……って俺かよ。
「あ、そうだった? ごめんね。ほらスゴいでしょー。取り外しがちょっと面倒なのが玉に瑕だけどね」
俺達の邪な考えなど露知らずと言った風に、彼女は無情にも裾を更に持ち上げてしまい、愛らしい『おへそ』まで露になってしまう。
「郁美、良いぞ! 最高の眺めだ! 生きてて良かった!」
デズモンドは鼻を押さえ、感激の余りに涙を流しているが泣きたいのはこっちだ。まぁ欲望に支配されている俺には叶わぬ夢なのだが……
「すげぇ……やっぱり『白』なんだね。しかも実物だと迫力が違う」
「そうだよー。パールホワイトって言うのかな、カラーバリエーションは他にもあったんだけど、私って優柔不断でしょ? 迷っちゃうからポピュラーな白にしてもらったの」
「まぁ、白は郁美に似合うからな」
その点に関しては同感だ。純白は穢れを知らない彼女にピッタリだ。
「みぃちゃん、触っても良いかな?」
あぁ、俺は何を言っているんだ……意に反して言葉を紡いでしまうとは情けない。誰でも良いから俺を止めてくれ! 全てが終わってしまう前に!
「何言っちゃってんだ、兄弟。んなの許される訳……」
流石デズモンド。素晴らしい援護だ、感謝する。俺の暴走もここまで……さぁ郁美、いつもの『えー、やだー』を言ってくれ!
「うん、いいよー」
郁美は俺の提案を、あっさり受け入れてしまった。
「やったぜ」
いやはや何事も言ってみるものだな……いやいや『そうじゃない』だろ!
「それじゃ、お言葉に甘えて……」
そう言うと俺は、逸る気持ちを抑えつつ郁美に近づき、軽く屈んで彼女の滑らかな『内腿』へ手を伸ばすのだった。
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