何処より生まれ出る

梅戸藤花

prologue

一体この、曖昧模糊とした、存在の認識とはなんであろう。未だによくわからない。

記憶と呼べるのかさえ分からないおぼろげな過去のことを辿ると最初に覚えていることは雨の降るにおいと雨と名乗る大きな白い犬のことだった。

 白い犬によって見出されたこの存在は、誰の何の意図があり形作くられたのか、正体は何なのか、どこからやってきてそしてどこへ行けばいいのか。濃い霧の中を夢うつつにさまようように日々を過ごしていた

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