第20話
「
「咎って言うのは?」
「・・・好意を。恋愛感情を持った相手の精神を狂わす」
「だから君は、僕に目のことを聞いたのか」
「咎が解けるかもしれねぇと思ってな」
「・・・委員長、大丈夫かい?」
「だからいっつも見張ってんだろ。それにできるだけ感情動かさないようにして、規則正しい生活をしていれば少しは抑えられるんだ」
「小学生みたいな?」
「・・・まあ、近いか。何時に起床、食事、帰宅、就寝、禊って決まってんだ」
「だから
規則正しくな。ともう一度言って、嘲笑を浮かべた彼は、どこまでも自分を呪っているようだった。
君が悪いわけじゃない、生まれたところが悪かった。そういう言い方もできるのだろうけれど。嘲笑してなお、家族にはそれを向けない彼は家族を大切に思っているのだろう。
でもまあ、いいことを聞いた。
「話は変わるけど、君魔女のうわさって知ってる?」
「あ? 知らん。なんだそれ」
「この話を委員長と話したことは?」
「一回もねえ」
「そっか」
ちょっとお茶買って来るねと手を上げると、軽く振りかえしてくれた。
そうして重い鉄の扉を開き、それが閉じる寸前に思い出して、彼に告げた。
「ぼくの名前は全てが終わってから教えるね」
「は?」
唖然とした彼を残したまま、パタンと案外軽い音を立てて扉は閉まった。
2階まで降りて、自動販売機でお茶を買う。ごとんと落ちてきたそれは350mlのアルミ缶。今度は飲まれても大丈夫なように大きいものを買った。
友達ってこんな心配しなくちゃいけないんだなあと思いながら、屋上へと上る。
鉄扉の向こう、彼はむっつりとした顔でぼくを見ると、ふてくされたように口を開いた。ちなみに、横につまれていたパンの山はなくなっていた。
「絶対教えろよ」
「うん」
「そういや、あんた。ここでの仕事が終わったらどうすんだよ」
「また次の仕事に向かうよ」
「そうか、また会えるといいな」
「ちょっと難しいかな?」
「は? なんで」
「だってぼく、14歳だもの」
「・・・はああああー!?」
絶叫が屋上に響き渡った。
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