第17話

いつくに:あの礼拝堂は何なのでしょうか


草もち :おや、あの場所にお気づきになられましたか


いつくに:とぼけないでください。それに、調査書には重傷者2名と書いてあり、死傷者がいることなんて書いてありませんでしたが


草もち :そこまで見抜かれるとはさすがです。はい、1人はあなたがいらっしゃるクラスにいました女子生徒です


いつくに:1人目のお名前と備考、死んだいきさつについて教えてください。


いつくに:本当のことをですよ。聞かれなかったから答えないと言うのもなしにしてください


草もち :名前は玉葛友菊、2年3組に所属しており、雅華乙音の監視係で、仲が良かったそうです。ただ、他の被害者2名にいじめを受けていたと。それを苦にして半年前の夜、校内と言いますかあの礼拝堂の天窓から飛び降りたそうです


いつくに:監視係? 何に対してですか?


草もち :家庭の事情、くらいにしかうかがっておりません


いつくに:彼女の件はどうしたんですか


草もち :元々孤児だったそうで、義父である雅華さんのお父様にうかがったところ、適当にしていいということでしたので、校内での死亡ということで処理しました。


いつくに:あの礼拝堂ではなく?


草もち:ええ。あそこに行くものが増えても困るので



「胸糞悪い」


 パソコンの光は月光のみが照らす部屋の中、つい罵声が漏れた。人間に対して処理とか。

 腐ってるとしか言いようがない。舌打ちを1つすると、左手においておいた紅茶を含んで気分を落ち着ける。砂糖のほのかな甘みが舌に広がって心地よかった。

 

 右手には情報を書き込む用のスマホ。パソコンごとのせた安っぽいアルミの机に、同じつくりの椅子がぎいと鳴いた。あとは簡易ベッドと、木のクローゼットがあるだけの無機質なぼくの部屋。



いつくに:最後に、魔女のうわさについて何かご存知ですか?


草もち :魔女? 何の話ですか?


いつくに:ありがとうございました、もう十分です。明後日には、全て終わらせます。

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