13話 - 最初の晩餐 -
「ダンジョンクリエイト!!」
唱えた瞬間、神様がまた来たのかと思うくらいの光が目の前を埋め尽くした。そして数秒後には光の替わりに機械――横向きのタブレットPCにゲームのコントローラーを融合させた何か――が現れ、浮いてる
恐る恐る、Aと印字されているボタンを押すと表示が変わり【登録完了しました】と出て来た。何を登録したのだろうか、指紋?顔認証?
「さすが、魔王様!魔力登録をなどお茶の子さいさいでござりますね!」
登録されたのは魔力でした。
その後、インストールされているという仕様書を読み、大体の使い方を把握出来たので、晩御飯にする。というか、読み終わったタイミングで巨大で浮いてる
ちなみに、魔族の名前はイェレナさんが教えてくれている。あとは鑑定のスキルを持っていれば相手の名前とレベルが頭上に浮かんで見えるようになるんだって。勇者職は基本スキルで持っているみたい。
晩御飯もとい晩餐会場には白いテーブルクロスを掛けた長い大きなテーブルがあり、ゴテゴテした燭台――
私達4人が着席すると、コンソメみたいなスープとミモザっぽいサラダが運ばれてきた。
「意外と普通に美味しい……」
「「……まお様、何想像してたの?」」
「いや、もっと何の肉か分からないようなもので出来た変な色の何かが出てくると思ってたんだけど、私がもともと居た所と変わらない味と姿で出てきて、つい」
黒いパンとピラニア見たいな外見の魚のムニエルっぽい何か。魚には名前が付いて無くて、意思がないものはぜんぶ魚と呼んでるんだって。黒いパンはちょっと酸味のある固いパンだった。
「魔王様、これらの料理は前の魔王様の趣味でござります。お口に合うようで良うござりました」
固い黒パンをもぎゅもぎゅしてるとイェレナさんが嬉しそうな顔で私を見てた。パンを魚にかかってるソースに付けて食べると美味しいなぁと思っていた時だったので、ちょっとびっくりして喉に詰まりそうだったのはナイショだ。
そして、何故かゆずっぽい匂いのするシャーベットが出て来た。シトロエルという果実のシャーベットだ。味は完全に柚子。
デザートを食べて物足りないなぁと思っている所に、台車に乗った大きい塊肉が運び込まれた。
好きな部位を切ってくれると言われて直ぐ思いつかなかったから、柔らかくて美味しい所! とリクエストしてみたら、ヒレ肉を切り分けて岩塩を擂り下ろして掛けてくれた。イェレナさんと
食べ終わって幸せに浸ってるとチーズっぽい何かと小さいピッチャーに入った蜂蜜のようなものが出て来た。チーズはサテュロスの乳から作ったチーズで、蜂蜜と思ってたのはトレントの樹液からに詰めたシロップだった。チーズにシロップを掛けて食べるのは初めてだったんだけど、塩味に甘みというなんともいえない味でかなり好きになった。もし元の世界に帰れたらやってみよー!
最後に、
プリンはコカトリスの卵とサテュロスの乳を使っていて、トレントシロップとホイップクリームが掛けられていた。小さなチョコケーキはごくごく普通のケーキだった。チョコみたいな樹液を出す黒樫のシロップで作られていて、間に挟んでいるチョコホイップもサテュ乳のホイップに黒樫シロップを混ぜた物なんだって。
この世界の食べ物も悪くないなと思ったんだけど、魔族以外が食べると
「さて、この後は少し食休みして寝室へ御案内致しまする」
「はーい。あ、
「「……まお様優しいね」」
「そうでござりますね。嬉しい限りでござります」
出入り口の近くに立っていた料理人2人に声を掛け、手を振りながら部屋を後にする。明日の朝ごはんが楽しみだなぁ!
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