9話 - その手に見えたものは -

「それでは、簡単に魔王様のお仕事の説明や世界の仕組みなどを……」


 マッチョさんから聞いた【魔王の仕事ルーチンワーク】はとても簡単。ダンジョンを作成して勇者や冒険者たちを倒す事と、魔物の数を増やす+強化する事の2つだった。それ以外は自由にしてOK

 【世界の仕組み】というのは、この世界が神によって作られ、生まれ持って決められた職業ジョブに沿って生活をしているという事だけだった。これだけは重要だから、と教わった物は自分の状態ステータスを確認出来るこの呪文ことばだ。


「ステータスオープン」


 左手の平を自分に向けその呪文を言うと、手の平に<ステータスウィンド>というA4サイズの紙を横にしたくらいの大きさで透明度低めのプラスチックの様な物が表示される。私のステータスはこんな感じだった。


――― マオ・アキノ ―――

レベル:1  名声:100

HP/4 MP/20


【かけだし魔王】


グレード:Uアンノウン  種族:???

職業ジョブ:魔王

属性:闇(MAX)・水(1)・火(2)


――― 1/3 ―――


 ステータスの<名声>は100で最高値で、魔王や勇者みたいな職業は特殊なアイテム<預言の聖書クレアボヤンスバイブル>で顔が見えるようになっていて、私が召喚された瞬間にその書物に顔がじゅわっと浮かび上がるみたい。その後、それを写して全世界に手配書が回るから数値がMAXなんだって。

 でも、ちょっとホラーじゃない?浮かぶ瞬間って。


 【かけだし魔王】っていうのは称号で、レベルがある程度上がるたびに変わったり、特殊な行動をすると変わったりするみたい。次は何になるのか少しだけ楽しみ。


 <グレードUアンノウン>っていうのはどこかで聞いたような気がするんだけど、まぁ魔王や勇者みたいな特殊な職業ジョブの人たちの分類だって。低いグレードから順に、D・C・B・A・S・Uって分類で、一次職ファーストから二次職セカンド三次職サードに上がるとグレードも上がるとされている。上級職になるには最低でもレベル100まで上げないとダメだし、上がったら上がったでレベルが1に戻るし、ステータスが半分になるしであまり目指す人は少ない。私はレベルをどんなに上げても職業ジョブは変えられない<グレードUアンノウン>だからね。


 <属性>っていうのは【光・水・闇・炎・樹】の五大属性のどれが得意かという事で、かっこの数字はその属性のレベルで、1~5(MAX)まであるのだがMAXまで上がるとその属性の攻撃は100%通らなく、逆に回復してしまうらしい。やったね闇属性の攻撃ならフレンドリィファイアで回復するよ!

 ちなみに弱点の属性は通常存在しないんだけど、MAXまで行くと弱点が急に生えてきて、5割増のダメージが通っちゃうんだって。私だと<光>と<樹>のダメージが5割増しになっちゃうから、その辺りは御守りアミュレットでカバーするってマッチョさんにいかつい髑髏が付いた指輪を渡されている。


「「……その指輪、手作りだから」」

「え、すごいね!ありがとう、ぴったりだよ!」


 なんとこの指輪はネーロちゃん、ビャンコちゃんのお手製でした。

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