7話 - 夢の国《ゆうえんち》 -

「「……あの、まお様は女性の方なのですか?」」

「え、うん。そうだけど?」


 唐突に何を聞いてくるのかと思えば、私の性別が気になるという事で……私は女を捨てた覚えはないので、戸惑いながらも答えた。


「「「え?」」」

「……え?」

「申し訳ござりませぬ。外見は凛々しい……というか、人族の男性に近い容姿をしていらっしゃるように思うのでござりますが……その、少々御言葉の端々が女性の様な……とは思ってござりましたが……まさか……」


 絞るような声で、額に汗をにじませながらマッチョさんが信じられないという顔をしている。

 ん……?あれ?この世界は私みたいな外見の男性が基本なのかな?

 確か、元の世界だと平均的な女子高生スタイルで群衆に紛れる事を得意としてきたのだが、マッチョさんの言い方だとオネェ系だと疑っているような空気が読み取れる。


「あのー……鏡とかってありますか?私の姿が見えるような……」

「「……城に行けばあります」」

「ありがとう、ネーロちゃん、ビャンコちゃん」

「「……いえ、そんな」」


 魔人形リグドル2人の頭を両手で同時になでなでしたら、耳が赤くなってた。

 う~ん、癒されるぅ~!


 程なくして、魔牛ミノスが牽くドナドナ号が城に着いた。

 城は琵琶湖みたいな湖の真ん中に建っていて、湖の上は一本の橋で繋がっていた。

 湖は真っ赤で、所々ボコボコと沸き立っているように見えて、地獄谷温泉を思い出したよ。島の大きさは、某夢の国ゆうえんちくらいある気がする。

 肝心要の我らが魔王城はというと、赤い月の光に照らされ、禍々しい装飾が施されていて、ダークサイドに堕ちた真っ黒なノイシュバンシュタイン城のような見た目だった。

 装飾に使用されているガーゴイルやリビングアーマーなどの魔物は侵入者を察知すると迎撃するようになっているらしい。 城壁内に城勤めの魔物達が住んでいるのと、勇者迎撃用のダンジョンがあるので敷地を広く取っているってマッチョさんがポーズ付きで教えてくれた。


「「……橋を渡るとダンジョンがあって……そこを抜けるとまお様のお城が。……城を挟んで反対側には魔物の居住区があるのです」」

「我々は専用通路を通るのでダンジョンは入りませぬ。ダンジョンを通ると最短でも3日は掛ります故」

「そっかー、ちょっとダンジョンに興味あったんだけど……残念」

「後ほど視察も兼ねて行く予定でござりますので、今暫く我慢してくださりませ」


 橋を渡ってすぐ掘立小屋セーフゾーン――魔物が入れない場所――があって、馬車はそこに突っ込んで行った。私はセーフゾーンが何か知らなかったから事故る! と思ったんだけど、なぜかすり抜けてお城の前に到着した。

 この建物は人里にもあるらしくて、許可されている馬車や魔物しか通れなくて、人は建物の結界にぶつかって消滅したって思っているんだって。

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