二章

世界の理(ことわり)

6話 - 世界征服始めました -

 マッチョさんや周りの皆さんが変な顔で私を見ていた。


「魔王様、何か魔法マジック使うつもりなのでござりますか?使わなくとも、我々は貴方様に逆らうことはござりませぬ。無論、虚偽の報告も」

「……え?」


 私の機嫌を伺うように語りかけてくるマッチョさん、平伏す周りの達を見ていると、空にかざしていた手を見ているようだった。

 手を下し、何もやらないよとマッチョさんに視線を合わせると、咳とひとつ


「何の為に召喚したのか……それは前魔王様が突然消滅した所為せいでござります」

「前魔王は勇者に倒されたのかな?それとも寿命?」

「勇者はここ暫く噂を聞きませぬ。我々には寿命はござりませぬ。ましてや、光がこぼれるように消える……というのは初めての事でござります。その為、急いで召喚の手筈を整え、新たなる魔王様を御呼びした次第でござります」

「……なるほろなるほろ」


 私は手を顎に当てて、うつむくように思案……するように見せかけて、何も考えてないんだけど、どうしよう。

 これは、私が魔王になって世界征服すればいいのかな?それにはまず、世界を把握しないと手に入れられないよね。

 思考するスピードは遅くないが、自分の世界に入った苺桜は周りが見えていない。

 彼女の周りでは数秒俯いたまま動かない自分たちの魔王に熱い視線を向け、下される命令を今か今かと待ちわびる部下たちの熱気で室温が少し上昇している。

 そんな熱を打ち払うように、苺桜は両手の平を打ちざわついていた空間をめた。


「それじゃ、世界征服。しちゃおっか」


 悪戯いたずらっ子のような、悪魔的な笑みを浮かべ、打った手の平を頬に寄せ小首をかしげる。

 待ってましたと言わんばかりの完成が空間を埋め尽くす。


 * * *


「さて、この世界ってどんな形なのかな?そういう知識ないからガンガン教えてってね!」


 儀式をしていた場所は城から少し離れた場所にあり、苺桜はそこから魔牛ミノスにドナドナ――もとい、護送されていた。

 他の部下たちは徒歩などで各々の住処に帰って行くようだ。

 幌馬車ほろばしゃの中は意外と広く、6人乗っても大丈夫!とマッチョさんがムキムキの胸を張って教えてくれた。

 そんな幌馬車は私とマッチョさんと側近さんx2の4人乗り。

 側近さんは真っ黒な肌と真っ白な肌の魔人形リグドルという種族で、基本的に黒と白の2人ペアで発生し、どちらかが倒されるともう片方も死ぬという魔物だ。

 西洋人形のように金髪碧眼、ふりふりのレースをふんだんに使った可愛い服を着ている。

黒い肌の側近さんは白い服、白い側近さんは黒い服なのだが、これはマッチョさんの趣味らしい。


「さて、自己紹介がまだでござりました。私は前魔王の元で右腕と呼ばれておりました。イェレナでござります。こちらの魔人形、黒がネーロ、白がビャンコでござります。あとは10体ほどが名前持ちネームドモンスター、前魔王様から力を戴いた存在でござりまする」

「マッ……イェレナさん、ネーロちゃん、ビャンコちゃんね。私は苺桜マオ……マオ・アキノです。よろしくね」


 私はにっこり笑い、マッチョさん達の手を掴んで強引に握手していくとか細い声がネーロちゃんとビャンコちゃんから聞こえた。


「「……あの、まお様は女性の方なのですか?」」

「え、うん。そうだけど?」

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