神々の扉

3話 - 知らない天井 -

 雪山で寝ると死ぬと聞いたことあるけど、ホントかな?

 凄いあったかいとか、お花のイイ匂いするとか、これ絶対目を開けたら天国ルートだよね。

 あーいやだなぁ……このまま二度寝とかしたいんだけど……なんかめっちゃ揺さぶられてるから無理だよね……


 上体だけ起こされるように、私の肩は強い力でガックンガックン揺さぶられ、脳内にはゆさぶられ症候群という言葉が浮かんでいた。

 揺さぶられながらも薄目を開けて見ると、ムキムキの腹筋が見える。


「ビキニアーマー……」


 思わずつぶやいてしまうほどの、ザ・ビキニアーマーを着た……


「……おっさんじゃない!」


 そう、胸が無いから男かと思っていたのだが、ベリーショートにボーイッシュな胸、六つに割れたお腹とこんがり焼けた肌。

 首から上がコラージュなんじゃないかなって思うレベルで違和感と絶望感。

 そんなマッチョさんが揺さぶるのを止めて心配そうな顔で見つめてくる。

 顔は可愛いのになぁ……


「あの……魔王さまでござります……よね?」


 そうそう。私は、まお……


「はぁ!?

 誰が魔王だって???」


 まだ肩に乗ったままのマッチョさんの両手を掴み、ズイッと顔を寄せると、マッチョさんは頬を少し染めて視線を明後日の方向へと向けた。


「えっと、魔王さまではござりませんの?

 我々はいにしえの呪法にのっとり、正々堂々と召喚したのでござりますが……

 漆黒の双眸と獣のような瞳孔、なによりも魔王さまより発せられましたるその魔力が何よりもの印でござりまする」


「……ごめんなさい、ちょっと待ってください」


 そっとマッチョさんの手を離し、ふっと顔を上げ、周りを見渡す。

 暗くなってて気付かなかったけど、色々な人(?)達がこっちを見守っている。

 あれって、良く言う魔族ってヤツなのかな?

 まぶたを閉じ、こめかみをマッサージしつつ状況を整理しよう。


 まず、

・雪山で遭難しかけてた

・気付いたら良く分からない場所(花畑?)に居た

・マッチョさんに私が魔王だと言われた

 これが今の状況だよね。


 それで、

・なぜ、召喚されたのか

・なぜ、私なのか

・総兄はどうしたのか

・なぜビキニアーマーなのか


 うーん……私は何をするために呼ばれたんだろうか……


「あの、すいません。私は何の為に召喚されたのでしょうか?」


 

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