第五十一回 The Chain of Aforgomonってなぁに?~英語小説で見るアフォーゴモン~
【初めに】
というわけで新しい会社に入りました拍手。これで今日からまた社会人です。やったぜ。
転職の隙間時間で積んでいた本を読みまくっていたんですが、もっと早く読んでおけば良かったなあって後悔しています。いや、時間がないから読めなかっただけなので、良かったなあもなにもないんですけどね。時間を作って読むしかない。
さて、今もうまくいくかは別として、執筆に関する色々なお仕事の準備も進めております。『魂を喰らうもの』みたいに良い作品になるように頑張ってます。楽しみに待っててね。
今回はやっと「The Chain of Aforgomon」を取り上げることが出来ます。今はなかなか手に入らないアトゥちゃんのお話のあらすじを紹介しようかと思ってたのですが、ツイッターのアンケートでこっち優先してやってほしいってことだったので、こっちからやっていこうとおもいます。よろしくお願いします。
【アフォーゴモンってなぁに?】
C.A.スミスの創造した神であり、TRPGではヨグ=ソトースの化身であるとされています。時間を支配する神として現れるので、ヨグ=ソトースの化身とした方が扱いやすいのは確かですね。
時間を操る神というよりも、時間を乱す存在を裁く神というべきでしょう。ティンダロスの猟犬と同様の働きをしているようにも見えますね。ただ、アフォーゴモンは曲がった時間(人間を含む多くの存在の居る清浄な時間)に存在し、ティンダロスの猟犬はとがった時間(不浄の存在が封じ込められた時間)に存在しています。ヨグ=ソトースの化身として設定されている以上、ティンダロスの猟犬やその支配者たるミゼーアとは対立することになります。自らの時間旅行や、周囲の時間を操作したせいで、アフォーゴモンとティンダロスの双方に追いかけられることもありうるかもしれませんね。
このアフォーゴモンの怒りを買うと、存在した事実ごと焼き払われてしまいます。これから紹介する「The Chain of Aforgomon」ではまさにそういった好例が出てきます。
存在した事実ごと、歴史から焼き払われ消え去るというのは、時間を操る神格の攻撃として非常に映えていて私も大好きです。しかも白熱する鎖に縛られて焼かれますからね。私の中の中学二年生が大喜び、仮面ライダー電王×アフォーゴモンの二次創作SSで、オリジナルライダーを出してしまいそうになりますよ。
それでは早速始めていきましょう。
【抄訳・あらすじ】
ジョン・ミルワープという名の作家が、その著書もろともに実在が疑われる事態となったのは、この数ヶ月のことである。それまで彼は東洋の生活についての作品で人気を博していたにもかかわらず、すっかり人々の話題にならなくなり、書店からも図書館からも消えてしまった。
更には彼の不可解な死すらも人々はすぐさま関心を喪ってしまった。
そして奇妙なことに、親しい友人であったはずの“私”すらもミルワープに関する記憶を失いつつあった。
ミルワープの遺言で、“私”は彼の遺作を出版社に売り込もうともした。だが取り合ってくれる会社は皆無だった。不審な死を遂げた人気作家の遺作に対して、出版社はもう時代遅れの作家だと取り合わなかった。そこで“私”はミルワープの存在を忘却させない為にここに彼の行動について記載する。
ミルワープは長く滞在したインドシナからサンフランシスコへと帰るところだった。インドシナでは東洋の神秘を取材し、それを題材にした原稿の校正を終わらせて戻ってきたのだ。そんなある日の朝、家政婦がミルワープの書斎から溢れた眩しい光を目撃する。部屋が燃えているかと思い、恐ろしくなった家政婦は、慌てて中を確認する。書斎ではミルワープがペンを握ったまま動かなくなっていた。彼女はミルワープに駆け寄ったが、その時、目を開けていられないほどの光が部屋を覆った。薄っすらと残っていた視界の向こう側では、石造りの椅子に白熱した鎖で縛り付けられた主人の姿があった。思わず両手で視界を覆った彼女だったが、光はすぐさま消える。光が消えれば見るワープがいつも通りに座っていた。しかし近づいて確認してみると、部屋の中には焼けた肉の匂いが漂い、苦悶の表情を浮かべたミルワープが死んでいた。この際、ミルワープの首と手首、腕、足、胴には螺旋状の火傷があったことがわかっている。
当然、家政婦の見た話しは信用されなかった。事の真相は結局わからず終いで、事件に関わっているのではないかとミルワープの常用していた不可思議な薬物についての調査も行われたが、この薬物も正体不明だった。そしてミルワープの死を目の当たりにした家政婦すらも、次第に証言が曖昧になっていって、頼りにはならなかった。
ミルワープの死の間際に書いていた原稿、おそらく日記だと思われる文章も主人公の手に渡った。彼はそれを急いで書き写した。理由は簡単だ。彼の手に渡った時点で、日記のインクは薄くなり、読めない場所まで出ていたからだ。
ところどころに、読めない文字が存在するため、読むものは文章が欠落している。これは文章そのものが古代の人間の人格に乗っ取られつつあったミルワープが残した文字だ。
以下に、彼の日記の内容を記述する。
*
私がスヴァラという薬物について誤解していなければ、この日記は失われた時代における私の前世の記憶だ。私は知識を求め、この薬を入手したが、これまで使うのを躊躇っていた。だがこれまでも自らを襲っていた知識への切望が強迫観念めいて私を突き動かし、この東洋の神秘ともいうべき前世を見る薬を使ってしまった。
薬を使った神秘体験によって、私は部屋の内装が見たこともないような色合いに変化する様を見た。物体は伸び縮みを始め、今度は半透明になり、鋳型に流し込まれているかのように変化していった。
ギリシャで暮らしていた頃、中世の城塞都市で過ごしていた頃、カルタゴの民だった頃、ローマの民だった頃、熱帯に暮らし、北方で暮らし、それらの姿のどれもがかつて存在した自分であるということがわかった。そうやって意識が遠のいていくうちに、私はアトランティスの首都にたどり着いていたのである。
私は全能の時間神アフォーゴモンの司祭からスパとなっていた。を呪っていた。私は最愛の婚約者べルトリスを失い、その悲しみを神は救わなかったからだ。私は、ベルトリスの影と語らうことや、死体を動かすだけで満足はしない。闇の魔導師から禁断の呪術に関わる本を借りて、私は季節を巻き戻し、死の直前の彼女に出会うことに決めた。
果たして、彼女はあの秋の日の姿のままで私の前に現れた。彼女と私は失われてしまった幸福な時間を過ごした。だが些細なことから仲違いをして、その誤解をとく前に、世界は終りを迎える。暗闇が巻き戻された世界を包み、私の意識はジョン・ミルワープへと帰っていった。
幻覚が消えた後も、スヴァラとその幻視は私の心を捉えた。なにより、カラスパの胸の悲しみは、己の悲しみとなっていたのだ。だから私はあの続きを知らなければならないのだ。
*
ここからは“私”にも分からない異国の言葉で日付が始まっている。
最初の数行は異国の言葉で、それからミルワープが無意識にそれらを英語に戻して、日記を書き続けていた。
*
世界は秋に逆戻りしていた。魔術によって一時的に身を守ったものの、私に儀式を教えた闇の魔導師は震えながらその身の破滅を予言した。アフォーゴモンは怒っていた。時間流に起きた混乱により、狂気と混沌が街に広がっていた。すぐに闇の魔導師の死の報せが私の耳に入った。時空の裂け目が生まれ、魔法による防護をすり抜け、肉を引き裂き、脳をペーストにして塗りつけられてしまった。私は震えて待っていたが、アフォーゴモンの司祭がその日の晩には私の下を訪れた。彼らは私を連行し、アフォーゴモンをその身に降ろした司祭長のヘルペナーによって、私は罪を宣告されることとなった。アフォーゴモンは私に「この先に続くすべての人生において、本来なら再会できた筈のベルトリスとの再会について、時間を一時間だけずらすことで、永遠に会えないようにする。さらにすべての転生においてこの罪を思い出しながら死ぬこととする。そして周囲の人々が私を忘れるようにする」と告げた。
もはや私はスヴァラを飲んでいなかったが、アフォーゴモンの神殿の中にあるカラスパが閉じ込められた小屋に二度戻ってきた。そしてついに、アフォーゴモンの潜む深淵へと引かれていくこととなった。ヘルペナーと三人の司祭が、私を神殿の地下にある秘密の空間を通り抜けて、切り立った淵まで連れてきた。そしてその深淵のふちにある石造りの座に、座らされた。私は裸のままで、ゴツゴツした石の座に座らされていた。鎖に繋がれ、反省を促す為の時間が過ぎていった。しばらくすると、深淵の億から光が差し、全身に巻き付いた鎖へと燃え盛る稲妻が浴びせられた。鎖は瞬時に白熱し、全身が切り刻まれるような苦痛があった。いくら苦しんでも、意識は消えることがなかった。時間は永遠のようだった。その永遠の中で、別の世界に追放された私のようなものが、この有様を書き残す幻を見た。
この私、カラスパは、その幻の男がなんという名前だったか、もうわからなくなっていた……。
【最後に】
最後まで訳して気が付きました。ウィキペディアに同じような記事が載っていたんですよ。
俺は一体なんのためにという気もしますが、そこはそれ、自分で調べて書き記すことに意味があるということで一つお願いします。
どこかでこういった抄訳・あらすじをしっかりと細かく正確に訳したものも発表したいところです。
その為にも色々やらなきゃいけないのですが……今は忙しい……! 仕事が落ち着いてきたらそこらへんも頑張ってみようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日はここまで。
くれぐれも次回まで闇からの囁きに耳を傾けぬように。
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