第十八回 ガタノソアってなぁに?

【初めに】


 担当さんが夏風邪にやられてしもうた。という訳でまるっと時間があいてしまったので、リクエストをもらったお題に早速手を付けていきたいとおもいます。今回取り上げるのは旧支配者ガタノソア! 旧支配者クトゥルーの子供という清く正しい血統の持ち主でございます。ウルトラマンティガにもよく似た名前の邪神が出てくるので、ご存知の方も多いかと思われます。でもティガに出てくるガタノゾーアはあれクトゥルーがモチーフになっているんですよね。いろいろなクトゥルーイラストを見た上で、デザイナーさんが一捻り加えてウルトラマンナイズドした結果だそうです。

 僕も丁度幼稚園児の頃にティガの最終回を見た口なんですが、あれ最高でしたよね。人は皆光になれるんだ。がんばれティガ。負けるなティガ。僕もティガだ。そういう思いを胸に抱いてテレビの前でテンション上がったものですよ。

 と、ここまで話して皆さんお気づきかも知れませんが、ガタノソアさんについての情報ってティガばかりに偏りがちだったりしません? そこで今回はガタノソアが最初に登場したとされるヘイズル・ヒールドの「永劫より」を題材にしてガタノソアへの理解を深めていきましょう。ちなみにこの作品はラヴクラフト御大がかなり手を入れているので実質御大の作品です。考察にはもってこい。クトゥルー界隈では御大がめちゃくちゃ手を入れたけど作者の名前だけ違う作品とかマジでよくあることなので知らない人はこれを気に覚えておいても良いかも知れません。代筆とか、編集とか、そういうあれのなかでね。すごいことになったんですって。


【石化の邪視】


 ウルトラマンティガも力を使い果たして肉体が石に変わったりしていましたが、奇遇にもガタノソアにも石化の能力が備わっています。これはかの神の姿を見た者を石(乃至はミイラ)に変えてしまうというものです。たちが悪いことにこの状態でも見た人間は生きており、この状態のままで過ごす悠久の時と邪神を目にしてしまったショックのダブルパンチで無事ご発狂と相成ってしまうことになっています。


【ガタノソアの祭祀】


 古代、ムー大陸のクナアと呼ばれる土地ではガタノソアを祀っていました。

 こんなやべえ奴が這い出てきたらクソぱねえしマジ終わるってことで、ガタノソアを慰撫する神官たちはそれはそれはもう高待遇で、めちゃくちゃでかい顔をして歩いていたそうです。彼らは法の裁きを受けず、二百人の奴隷と百人の綺麗なお姉さんと大理石の館を持っていたんだとか。インドの王族か貴様らは。いくら神官が居たところでガタノソアの恐怖は消えず、何時封印の奥から這い出してくるかと民たちは怯えながら暮らしていたとあります。こんだけカネ使っといて仕事してんのかてめーらはよー! とお思いになることでしょう。

 実際、ガタノソアの神官も多少は仕事をしていました。民衆に恐怖が広がるのを防ぐため、その姿を推測したり語ったりするのを禁止していたのです。神を神たらしめるのは人々の崇拝な訳ですが、信仰が歪むと神のありようも歪みます。ガタノソアへの恐怖から信仰の形が歪み、それが余計な刺激を与える可能性を防ぐという意味ではこれも大事なお仕事ですね。

 とはいえ、それくらいです。作中で描写されていない可能性もありますが、それ以外には既得権を守るためにろくでもないことしかやっていません。やっぱ邪神崇めているような奴はダメだな。そのあたりの話については次の項目でお話しましょう。


【ガタノソアに対抗する神々】


 いける。

 俺、ガタノソアに勝てる。

 俺には神がついている。

 シュブ=ニグラスも、ナグもイェブも、イグ様だって居る。

 時にはおこせよムーブメント。

 そんなイカれたことをマジでやりかけた男が居ました。名前はトゥヨグ、シュブ=ニグラスの神官です。

 ガタノソアの専横には他の神々も腹が立っていたんでしょうね。あくまで個人の感想とはいえ、高位の神官が受け取った電波なので真実味が有る。当時の人々は熱烈にトゥヨグを支持して、彼の挑戦はついに実現することになります。

 ところがここで横槍を入れたのがガタノソアの神官たち。なんと彼らは自らの特権の為にトゥヨグの作った守りの護符をすり替えてしまうのです。結果、トゥヨグの試みは失敗。ガタノソアの神官たちはガタノソアから身を守る護符を手に入れたものの、結局活かせずに超古代文明と共に滅びています。

 少し落ち着いて考えていただければ分かるのですが、トゥヨグの為に神々から与えられた電波に基づいて作成された護符がトゥヨグ以外を守るのに役に立つ訳ないじゃないですか。それを言えばトゥヨグも少し考えればガタノソアの神官たちに警戒したって良いだろうって話にもなるかもしれないですけど。なんか全体的にガバが目についてしまう気がしますね。結果だけを見ているせいでしょう、きっと。その時代の人々は一瞬一瞬を必死で生きていたから、後の時代の人間がとやかく言ってはいけない。皆も見よう「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer」。


【神々の時代】


 ところで、現代クトゥルー神話に慣れた人々からすると、今の話は少し奇妙だったかもしれません。シュブ=ニグラスも、ナグもイェブもイグも、人間を守る神々だなんてとても思えないかもしれないですね。

 私はこれを時代の有り様と関連付けて考えています。今って雑にくくると人間が大地を覆っているじゃないですか。でもこのムーの時代って高度な科学と強固な信仰が同時に存在している神々の時代なんですよね。人間が神の従属者であることをやめていないんですよ。だから現代人からすればおぞましい信仰と思えるものですら、当時の人間からすれば神社にお参りする程度の感覚で行っていたのではないかと思います。主観だよ、あくまで全て主観なんだ。自分の価値観で神々のありかたを断じているにすぎない。美少女かもしれないし、邪悪かも知れないし、人類の庇護者かもしれないし、超えるべき存在かもしれないし、決してかなわない理不尽の象徴かもしれないけど、そんなの全部人間の主観なんだ。そこにあるのはただただ巨大な力、現実を自在に塗り替えることのできる力でしかないんだ。まあ力という見方も僕の主観なのですが、それでも共通項をくくろうとするとそれくらいしか言い方が無い。マジで無い。

 

【最後に】


 仕事が辛い。マジで辛い。覚える仕事より早く新しい仕事と覚えた仕事の応用が増えて、覚えた仕事もやる余裕がなくなる。辛い。良い子のみんな、社会は辛いぞ。でも休憩時間は先輩方優しいので、まあ無理って訳でもないんですよね。もう辛い無理やだー!!!やだやだー!!!!って休憩室で叫べる程度には余裕がある。まだある。でも良い子の皆には社会が辛いって覚えておいてほしい。

 いやあまあ、それでも辛いことばかりじゃないんですよ。自分の給料で食う飯は美味いし、TRPGのサプリはいっぱい買えるし、小説だってこうしてなんとか書ける生活態勢ができつつあるし。最近はこっそりBL小説書いてました。ネットの海の中に放流しているので探してみましょう。来週は我が友うさぎやすぽん先生がお家まで遊びに来るし、良いことはいっぱいです。それに職場の先輩方も休憩時間中は優しいしね。勤務時間中はまあ給料もらってるししゃあねえよなあ~! きっついけどさぁ! あと人命に関わるしさぁ~!

 という訳で社会人をナントカ頑張りつつ新作の準備は着々と進んでおります。

 皆様どうぞお楽しみに。次は可愛い女の子がいっぱい出てくるお話です。


 それでは次回また会う時までにくれぐれも闇からの囁きに耳を傾けないように。


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