第十四回 グールってなぁに? モルディギアンってなぁに?【100万PV記念】

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 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。


 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【初めに】


 という訳で久しぶりの更新となります。海野しぃるの初めてでも良く分かるクトゥルフ講座、第十四回目です。

 今回は記念すべき100万PVということで、普段から親交の有るDEN助様から記念表紙イラストをいただきました!

 何時か、全ての神格を原典から読み込んで改めて纏めた解説を書く日が来たら、かの御仁に表紙をお願いしたいものです……キュートでポップで誰もが楽しむことができる素敵な挿絵を書いてくださるに違いありません!!!!

 

 まさかまだこの素晴らしい表紙絵を見ていないという方はいらっしゃらないと思いますが、しばらく100万PV記念イラストを僕のアカウントの固定ツイートにしている筈なので、どうぞ御覧ください。

 そして皆様、DEN助様のけもフレ同人などお買い上げ下さい!!!! めっちゃかわいいよ!!!!


 さて今回はグール&モルディギアンに関して教えて教えてよその仕組をとリクエスト頂きましたので、調べてまいりました。100万PVの節目にこそ積極的にリクエストに乗っていく! そういうスタンスでこの講座は続けていきたいですね!

 それにしてもクトゥルフ神話におけるグールについては資料がたっぷり有るのですが、対するモルディギアンの資料が無い! マジで無い! だが今回は無事に手に入れました! 印税とamazonの力で! これが漲る知力だ! 皆様に知識をお届けするんだよ! 話の面白さは僕一人で楽しみますが平にご容赦下さい。皆様もこれを機会に是非ともC.A.スミスの「呪われしロキ」を読んでみて下さい。


【概要~グールってどんな姿?~】


 まずはグールについて簡単に説明していきましょう。

 グールは食屍鬼とも呼ばれ、主に人間の死体を食べて暮らしています。

 犬の顔を持った人型の姿をしており、カビの生えたあるいはカビ臭いゴム質の皮膚、突き立った耳、血走った目、平らな鼻などが特徴です。

 手は骨ばっているということで人間のものに近いことが推測できます。ただし鱗に覆われていて鈎のようになっているそうです。また、脚には蹄があるということで様々な動物のキメラのような姿になっています。


【概要~グールって何処に住んでいるの?~】


 グールは我々の住む世界と幻夢境ドリームランドと呼ばれる二つの世界に住んでいます。我々の住む世界では墓地の地下トンネルや地下鉄に住んでいる事が多いです。グールを取り上げた作品として有名な「ピックマンのモデル」では、魔女の棲家や海岸などにも通じるトンネルを掘っていたので、かなりのガテン系神話生物ですね。マッチョです。またこのトンネルを通じて我々の世界と幻夢境ドリームランドを行き来しています。食事の後の骨とかを、幻夢境ドリームランドに捨ててるんですよ。

 勿論ですがどちらの世界でも人間や他の神話生物の死体を主食としているので、墓場の近辺が主な居住地です。


【概要~グールってどんな性格?~】


 これだけ聞くとまるでグールが恐ろしい獣のように思われますが、その実、彼らは(比較的)親しみやすい存在なのです。

 勿論人間の死体は食べますが、あくまで食べるのは死体だけ。通常は生きている人間を襲いません。

 しかも、人間と同じくらいには理性的で、友好的な人間や盟約を結んだ人間を相手にすれば、友として苦難から守ってくれることもあります。ランドルフ・カーターという探索者の原点にして頂点みたいなお方も、このグールと手を取り合って邪悪なるニャルラトホテプの陰謀に立ち向かったとか立ち向かわなかったとか。ちなみにそんなグールの皆様ですが、ノーデンス配下の夜鬼ナイトゴーントとは良好な関係を築いているそうです。仲良くなるチャンスが有ったら逃さないでくださいね。SAN値が保てばの話ですけど。

 ただあんまり仲良くなりすぎると、いつの間にか自身もグールになってしまうらしいので、交友は計画的に!


【概要~グールの信仰~】


 と、ここまでグールが結構仲良くできそうだよーという話をしましたが、別にそういうグールばかりな訳ではありません。人間だって信じる宗教で色々あるように、グールも信仰によって行動が違ってきます。

 メジャーなのはこれまで紹介した古典的なグールの生活を重視するモルディギアン信仰と、ヒャッハーモヒカンなニャルラトホテプ信仰の二つのグループです。ニャル信仰のグールたちは自らの欲望を満たす為ならば殺しも誘拐もサクサクです。恐ろしいですね。彼らに近づけば人間などまたたく間にご飯にされてしまうので気をつけましょう。

 はい、ここで聞き慣れない名前が出てきましたね。そう、モルディギアンです。今度はこの神様について解説していきたいと思います。


【概要~モルディギアンってなぁに?~】


 納骨堂の神、すなわちモルディギアンはグールたちに崇められる神です。竜のように巨大なイモ虫様の円柱形の巨大な影になったかと思えば、黒い渦巻きを伴って姿を変え、目のない顔と手足のない胴体を持つ巨人に似た姿になったりもします。不定形の影のように考えた方が良いでしょう。旧支配者たるに相応しい力を持っており、TRPGでは安心と信頼の即死攻撃持ちです。

 その行動原理はグールの行動と同じで、主に捧げられた死体を食します。勿論、無礼な輩に対しては自ら死を与えることもありますが、基本的に穏やかな神であり、食事を妨害されない限りは自らの前に現れた存在を見逃してくれるようです。

 とはいえ、一度敵対してしまうと魔術による拘束から即死確定の飲み込みが入るので、くれぐれも注意して下さい。

 巨体を持ち、問答無用で死者を飲み込み溶解・吸収してしまう性質から、ゾンビなどが大量に現れた場合は非常に強力です。生きている存在と死んでいる存在をより分け、死者のみを飲み込むその力は、ほとんどのゾンビものを瞬時に解決してしまうこと請け合いです。

 何故私が拙作「邪神任侠」の「限界集落オブ・ザ・デッド」とのコラボレーションでグールやモルディギアンの話をやらなかったのかというと、ちょっとこれだけ強いと話に収拾つける自信が持てなかったからです。ごめんなさい。


【概要~モルディギアンの信仰~】


 そんなモルディギアンですが、現在はグールの中でのみまとまった信仰が確認されています。人間の中でも食人嗜好を持つ手合はこの神の加護を願って信仰することがあり、かの神に捧げる儀式を行うそうです。

 しかしながら、遥か未来に存在するゾティーク大陸のズル=バー=サイールという都市を中心に、モルディギアンを信仰するカルト……というより都市国家のようなものが発生しています。王もモルディギアンを畏れ敬っているのです。

 このカルトの主要な構成員はズル=バー=サイールの人々です。ですが、その中でも神官にあたる存在は皆グールです。彼らグールはどのように神に仕えているのか、次はそれについて語ってみましょう。


【概要~ノーカラテ・ノーグール~】


 この項目を見て皆さんは何を思ったでしょうか。

 「おっ、筆者こいつなんかSAN値減ってきたな」と皆さん思ったことでしょう。

 ですが違うのです。ズル=バー=サイールのグールモンク=サンたちは、グールカラテを使いこなすアデプト神話生物なのです。

 そこそこ危険な旅をくぐり抜けてきた成人男性がナイフを持って襲いかかっても、瞬時にナイフを叩き落としてから一方的にボコボコにしてしまいます。カラテです。ノーカラテ・ノーグール。手も鉤爪になってますし、実質カンフー映画に良く出てくる武僧の類ですよこいつら。

 武僧なんて言いましたが生臭坊主も居るもので、悪い呪術師から賄賂を受け取って死体を一時的に貸出とかしている個体も居ます。どうやら皆が皆高潔という訳ではないです。とはいえ、たとえ聖域を踏み荒らされても悪気が無かったり生者だったりすれば寛容に見逃してくれるので、比較的話ができる相手と言えます。

 もしも卓でモルディギアンを出す時はこのタツジングールも一緒に出してみるといいかもしれません。もっとも、ズル=バー=サイールのグールにしかグールカラテは伝わっていない可能性もありますが。


【概要~ところでゾティーク大陸って?~】


 ゾティーク大陸とは、超未来において、最後に残された人間の住む大陸で、文化・文明は後退し、魔法や神に対する信仰が復活しています。神々の復活に伴って浮上してきたという設定があります。これはC.A.スミス先生が好んで取り扱ったファンタジー世界の一つでもあります。人理ピンチです。引き換えに魔術は極まっているので、人類史最強の魔術師が何人も存在しているようです。佐々総介も王とか貴族とか大寺院の主として平然とのさばっていそうですね。ケイオスハウルで殴らねば……。


 実は僕もこの大陸に関する設定は自分の作品に取り入れています。

 僕の作品世界では、人間の支配を保証している今の世界卵が崩壊するとこの大陸が浮上し、人類の黄昏とも言うべき未来へと到達するという裏設定があります。佐助君はドリームランドの住人だから、今の世界の問題のことなんてほとんど気にしてません。若さですね。本当に困ったら佐助君が異世界侵略して人類文明を再興してくれることでしょう。

 

 それにしても文化・文明の後退した未来って限界集落オブ・ザ・デッドありますね。ここらへんもコラボで語りたかった……。直接的にクトゥルフ神話じゃないのに、絡むことができるポイントが多くてありがたいなあ……。

 邪神任侠、コラボ作品まだまだ募集中です。ちなみに3rdシーズンが終わったら、今度はナイアルオブパラダイスとコラボさせていただく予定です。


【最後に】


 ところでついに来ましたね、森瀬先生の新訳クトゥルーシリーズ第二巻「『ネクロノミコン』の物語」! いやあ楽しみだ! これは買わねば! 道民なので発売当日には読めないだろうけど! 皆で語ろうね! 表紙のラヴィニアが超美人! やはりラヴィニア萌えは正しかった……。どうもツイートを追いかける限り、ラヴクラフト御大以外の作家様の作品も今後は出てくるらしいので、待てしかして希望せよって感じでクリティカルスター増えますね!


 ……じゃなくて、という訳で今回はグールとモルディギアンについて紹介させていただきました。

 いかがでしたか? 結構マイナーどころの神格を題材にしたので、調査に苦労した分、読み応えのある内容になっていれば幸いです。


 ところで、今回は100万PV記念回でしたが、内容は比較的普通だなあと思ったりしてませんか?

 ええ、そんな声もあるかもしれないと思い、もう一つ、ここで重大発表です!

 初めてでも良く分かるクトゥルフ講座番外編として、BOOTHにおいて電子書籍を頒布してみたいと思います!

 その名も「読める 分かる クトゥルフ神話」です!

 これは個人的にオススメのラヴクラフト作品を勝手に纏めて勝手に語り続けるというまあ素敵な趣味的作品となっております! この講座だと字数取りすぎて話せない語りたいこととかあるんですよ! 作品ごとに!

 「普段この講座使ってるし、少しくらいカンパしてやるかー」

 「普段講座では聞けない話!? くわしく!」

 みたいな方は是非ダウンロード下さい。ひとまず一冊500円から初めてみようかと考えております。こちらから購入可能になったので一度ご覧になってくださいね。


https://seal-cthulhu.booth.pm/


 それでは次回までくれぐれも闇からの囁きに耳を傾けぬように。

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