第九回 ユリイカ「クトゥルー神話の世界」は良いぞ
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拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。
とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。
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【初めに】
ルリム・シャイコースの記事を書くと言ったな。あれは嘘じゃないが次回にさせてくれ。ください。ごめんなさい。
さて、お正月ぶりですね。皆さんいかがお過ごしでしたか。1月はなんか忙しくて死にそうだったしぃるです。邪神任侠書籍版は現在順調に作業が進んでおり、僕の殺るべきは著者校正くらいではないかと思われます。多分ですけどね、ええ。
邪神任侠書籍版(三月発売予定)の収益は、クトゥルフ神話資料収集経費とかに当てられますので、この講座の内容の発展の為に良ければ一冊、できれば二冊、奇特な方は三冊でも買って下さい。
さて、何故此処でいきなりクトゥルフ神話の資料収集経費とか言い出したかというと、かの有名な芸術総合誌ユリイカでクトゥルフ神話の特集が組まれていたので、それを読んで「やはり僕ももっと勉強せねば!」と情熱の炎が燃え盛った訳ですよ。口ずさむ
という訳で今回はユリイカ2018年2月号「クトゥルー神話の世界」についてご紹介したいと思います。魅力的な記事は沢山あるのですが、ある程度数を絞って紹介させていただきたいと思います。全部書いてたら量が多くなりすぎますからね。それにしても普段クトゥルフと言ってるせいか「クトゥルー神話の世界」なんて打鍵すると何やら神妙な気持ちになりますね。
念のためここで再度記載しておきますが、僕はクトゥルフ神話TRPGやそれに関連する動画、そして何より敬愛してやまない森瀬先生の「図解クトゥルフ神話」からクトゥルフ神話の世界に入った現代っ子なので、そのスタンスを表明する意味で基本的にクトゥルフ神話と書きます。ご了承ください。
【おすすめ~クトゥルー神話のあとさき~】
まず今回のユリイカのクトゥルフ特集で推すべきはこの対談ですよ。森瀬繚先生と黒史郎先生の対談です。この対談は僕みたいに「昨今のクトゥルフブームで入ってきた人間」こそ読むべきだと思います。大体あれですから「すげー! そうなんだ!」と「はぁ……尊い」くらいしか言えなくなりますから。これ読んでしばらく語彙力が奪われた結果、一日経過しないと記事書けませんでしたから。
森瀬先生の研究にかける情熱や紹介される知見に感動・興奮して語彙力を失い、黒先生の創作の際の習慣や好きな作家の話に恐れ多くも共感してしまったり、読むほどに只のやかましい困ったファンになってしまいました。だって僕も水木しげる先生好きだし、ノート作ったり、本を付箋だらけにしたりするもの。
でも語彙力を奪われたポイントはそこじゃないんですよ。
森瀬先生がクトゥルフ神話入門のような本から知識を得たりwebの情報を使ったりして書いている人について触れてらしたんです。血を吐きそうになりました。最初はそういう手法で触れて、これまで書いてきた人間なので、怖くもなりますよ。何が始まるのだろう……と身構えて読みに入りましたが、今の時代はカジュアルにクトゥルフが扱われ、当たり前の知識となりつつあるからこそ、原典の雰囲気に触れて欲しいということでした。これは僕もそう有るべきだと思います。原典読むようになる前と後ではやっぱり扱う時の感覚が違いましたよ。カクヨムは書く人が多いので、多分クトゥルフ神話に関わる作品を趣味で書いてる人もこの記事を結構読んでいると思うんですよ。なので改めて大声で叫びたい。
星海社FICTIONSから発売されている「クトゥルーの呼び声」を買いましょう! 今ならたったの1620円! 森瀬先生の訳がこのお値段で楽しめる! お得!
ということです。良い、凄く良い。
こちらの対談、まだまだ面白いポイントが沢山有るのですが、それは読んでからのお楽しみです。何から何まで話してしまうのは良くないですからね。ぜひ買って読んで下さい。今回のユリイカは1400円です。
【おすすめ~クトゥルー神話導入の作法~】
デジモンとウルトラマンティガをリアルキッズとして見ていた人間としては、これは外せません。脚本の小中千昭先生が「何故あそこでクトゥルフ要素が入ったのか」について説明をしてくださいます。そして折角の機会です。『光を継ぐために ウルトラマンティガ』も買いましょう。僕も邪神任侠の印税で買いたいと思います。
小中先生!!!! あの時テレビの前で光になった子供です!!!! こんなに大きくなりました!!!!! って気分です、はい。
クトゥルフ神話の世界という一つの巨大な題材に、各自の切り込み方を行うことで、そこに生まれる独自性についても語られています。
クトゥルフ神話で創作をしたりそれを楽しむ人々は外せませんよ。
あとテレビの前で光になったみんなはこれを読む為だけに今回のユリイカ買っても損は無いと思います。そして『光を継ぐために ウルトラマンティガ』も買いましょう。
また語彙消失してて申し訳ないんですが、これは本当に良いんだよ……。
【おすすめ~幻影煉瓦~】
カクヨムでも有名な赤野工作先生の「契約の成立」も実験的で非常に面白かったのですが、小説に関してはやはりこれが好みでした。
webという世界に仕掛けられた神話的悪意。深みへと落ち込む人々。パンドラの箱は既に開けられてしまった。無限に広がる世界とその中で明日を奪われる人間たち。
自分たちが生きる場所を形作るものが、自分たち人間にとって有害なものでないと、果たして誰に言えるだろうか。全ては悪意に満ちた何かの掌の上で、愚かでちっぽけな人間は来るべき時まで踊り狂って枯れて死ぬばかりではないだろうか。そういう恐怖を電脳空間を舞台に語り直してくださる最高of最高な作品です。
昔からクトゥルフ神話の中で語られる人間のちっぽけさや科学の進む先に現れる狂気、あまりにも偉大なる存在との邂逅という王道テーマを現代の味に焼き直す見事な作品でした。読んだ後にも心に焼き付きますよ。
【おすすめ~クトゥルーの呼び声に応えよ~】
ラヴクラフト作品には人種差別的な趣がある。
というのはよく言われる話ですが、じゃあクトゥルフ神話を扱う上で、その事実にどう向き合えば良いのでしょうか。
正直な所、僕はそのスタンスを決めかねていました。アニメや漫画や小説やゲームで扱われるクールな創作神話が有るぜー知りたいぜー! みたいなノリで入ってきたのでそこら辺よく分かってなかったんですよね僕。
なのでこの作品は非常に参考になりました。自分が作品を作っていく上で、さあどうやってこの差別という問題に向き合うかは、この作品で展開された論を大いに勉強して決めたいと思います。
簡単な話ですよ。ラヴクラフト作品の主人公のように、恐れ怯え差別し逃げ惑っていてはいけません。逆に狂信者の如く自ら雑種化を受け入れ、共進化にたどり着くのは一つの答えとして美しいものです。とはいえ、その実践は簡単ではないので皆にお勧めできるかというと難しいのですが……まあそれについての議論は置いておくことにします。僕は思想家ではなくて只のクトゥルフ神話ファンですから。
ただ、それはそれとして、ラヴクラフト御大の作品そのものが差別的だから排斥しろ出版するな訳するなみたいな雰囲気になってきてしまう危険性は常に有ります。そうならないように、優れた文化を守るための手立ても考えなくてはいけない時代になりつつあります。僕もやれることを探します。貴方も一緒に探して下さい。
【最後に】
という訳でユリイカのクトゥルフ神話特集が如何に面白いかを勢いで語らせていただきました。
買おう。本体1400円(税別)だから買おう。僕も1月は(読む時間無い癖に)本買いすぎて生活費1/5近くふっ飛ばした挙句、これを買ってしまった。でも買う必要があったし、買って良かったと思っている。
我々は先達の遺産という巨人の肩の上に乗っかって、外なる宇宙を夢見る狂信者な訳ですから、やっぱりちゃんと過去の積み重ねを意識する機会は有ったほうが良いんです。そしてその上で未来について思いを馳せるべきだと思うんです。過去と未来を見て今を考える作業がこれ一冊でできる。なのにたったの1400円(税別)だなんてオトク過ぎる! とにかくユリイカを買いましょう!
それでは本日はここまで。
くれぐれも闇からの囁きに耳を傾けぬよう。
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