第八回 葛飾北斎体験クエストに出てくるクトゥルー固有名詞について

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 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【初めに】

 あけましておめでとうございます。良い年、良いガチャ、良い神話。本日も早速楽しいクトゥルフ講座を始めていきましょう。お相手はおなじみ(おそらく今年三月くらいに)自作の邪神任侠の書籍化を控えている海野しぃる君です。ちなみにガチャは爆死しました。でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない。今日もガチャっていこう(残金に気をつけて)。


 セイレムにつづいて花のお江戸も邪神祭りです。何が起きたのか全くわからなかったという方も多いかと思われます。ええ、ご安心下さい。今回もざっくりさっくり分かりやすく説明していきたいと思います。この講座でクトゥルフ神話に対する知識を深めていって、体験クエストを更に楽しんでくださいね。


 とりあえず用語が出てきた順番に纏めておきました。


【概要~呼んでいる~】

 最初に葛飾北斎が言っていた呼んでいるという話についてです。時空のおじさんことランドルフ・カーターと思しき男性が一生懸命止めておりましたが、それもその筈で、クトゥルフ神話において「夢の世界で芸術家に呼びかける神」などというものは旧支配者クトゥルフを置いて他にありません。

 そのものズバリ、クトゥルフ神話を題材にしたTRPGに「クトゥルフの呼び声」が有るくらいですから。

 クトゥルフの声をまともに聞き入れてしまうと、ルルイエの悍ましい光景や神々の教えを脳内に直接ぐるぐるとろとろインプリンティングされてしまうので、精神的にも肉体的にも人間では居られなくなってしまうことでしょう。


【概要~ふんぐるい~】

 ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん。

 訳は「死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり」といったところです。

 クトゥルフ神話に関わる作品でよく使われる言葉で、偉大なるクトゥルフ(クトゥルー)がまだ死なずにルルイエに残って再び目覚める時を待っているよ、という意味になります。

 呪文のようなものなので、それっぽい時はとりあえずで唱えたりします。


【概要~黄金の蜂蜜酒~】

 ノッブの用意した素敵なお酒です。クトゥルフ神話では、主にビヤーキーと呼ばれる生き物に乗って星と星との間を移動する時に使われます。ビヤーキーによる移動はクトゥルフの拠点を爆破して逃げる時なんかに便利だとされていますね。クトゥルフ神話の世界ではラバン・シュリュズベリィという研究者が好んで使った手口です。それ以外にも幽体離脱する時にも便利なんですよ。


【概要~織田信長~】

 かの有名な織田信長はニャルラトホテプの化身だったんだ!

 シークレッツオブジャパンというサプリで詳しいのですが、残念ながら入手は難しいのでご勘弁下さい。

 ニャルラトホテプというのは非常に人騒がせな神でして、クトゥルフ神話でも様々な騒動の元になる存在です。まさにノッブ。しかも様々な姿や能力を持っているので、本当に悪質です。

 今回お話したいのはその様々な姿というところでして、ニャルラトホテプって正しく様々な人間に化けるんですよ。

 今回夢の中で現れたノッブやダ・ヴィンチちゃんやアマデウスの演出で顔の部分が真っ黒になっていたと思うのですが、ニャルラトホテプってそのものズバリ無貌の神とも呼ばれておりまして、顔が無いような演出も行われたりするんですよね。

 更にクトゥルフ神話を形成する有名な作品にタイタス・クロウサーガと呼ばれるシリーズものがありまして、その中ではニャルラトホテプが今回北斎を呼んだクトゥルフ(を含む神々)の放つ念話そのものであるって描写されているんですよね。

 なのでワリとマジで今回の将軍ノッブも、下手したら黄金の蜂蜜酒を渡した通常ノッブもニャルだった可能性はありますね。人間に変な物渡す悪癖がありますし。

 歌川豊国もやたら説明がくどくありませんでした? ニャルって説明してからドヤ顔するの好きなんですよ。


【概要~星辰~】

 星の並びです。これが正しくなると先程お話したルルイエから発する毒電波が大量発生ダダ漏れです。アルミホイルのアンブレラは必需品です。


【概要~遠近の狂った絵~】

 北斎もといタコさんが一生懸命書いていた絵ですね。

 あれは別にタコの身体が扱いにくいとかじゃなくて、先程から話しているルルイエがそういう場所なんですよ。

 見ているだけで具合が悪くなるような非ユークリッド幾何学的図形ですとか、遠近感の狂った光景ですとか、そういうものがあって、クトゥルフの眷属がいっぱい眠っている愉快な神殿都市です。


【概要~螺湮らいんの城について書かれた魔導書~】

 あれです。例のプレラーティーズ・スペルブックです。詳しいことは型月wikiでも読みましょう。もう既に説明されています。おそらく北斎が手に入れたのは中国語版でしょう。プレラーティーが翻訳する前のバージョンではないかと推測しています。


【概要~海の龍神、星のタコ神~】

 クトゥルフの姿がタコと似た頭、人と似た身体、コウモリと似た翼が有るというものなので、タコ呼ばわりされるんですよね。しかもタコの頭に生えている触手はイカなんだそうです。

 そんなクトゥルフ、九頭竜と名前の語感が似ているので、こんな表現がされたのではないかと考えられます。


【概要~北斎の宝具~】

 この話をする時はまず「おん・そじりしゅた・そわか」という真言について話さなくてはいけません。これは北極星を司る妙見菩薩の真言で、TRPG「クトゥルフの呼び声」の「比叡山炎上」というサプリ(同じゲームで違う時代を遊ぶ為の本)においては妙見菩薩は旧支配者ハスターの化身であり、風魔忍者に信仰されています。

 で、このハスター、クトゥルフとは対立する神なんですよ。別に正義の味方とかいう訳じゃないのですが、クトゥルフの活動を邪魔する為なら人間にまで味方します。

 案外、北斎やその娘が取り憑いたクトゥルフの力を抑える為に唱えているのかもしれませんね?


【概要~第三再臨以降~】

 葛飾北斎、第三再臨以降は着物の柄が魚の鱗みたいになるんですよね。これはタコタコしてしまった北斎と娘が合体してしまったからだと考えられるんですけど、これはもう明らかにクトゥルフの影響を強く受けています。

 ですが同時に胸にハスターの紋章と思しきものも刻まれてまして、これで上手く抑えているんじゃないかとも感じられました。

 どのみち邪悪な神々である旧支配者達と深い縁を結びすぎているのでやばいのですが、その中で己を貫き通す狂気を感じさせてくれる素敵なデザインですよこいつは。


【最後に】

 という訳で簡単に纏めてみました。この記事、楽しんでもらえましたか? 僕はとっても楽しかったです。

 それでこれだけ頑張ったんだし後一回くらいはと侘び石でガチャ引いたんですが駄目でした。皆さん、ガチャは家賃までですよ。

 もしこれを読んで北斎が引けたという方やこの解説が役に立ったという方はカクヨムに登録してぜひツイッターでこの作品について呟いたりフォローしたり☆評価したりしてください。

 ついでにおそらく三月発売予定の邪神任侠も買って下さい。面白いですよ。web版以上にクトゥルフ神話を知らない人の為に配慮を増やしていますので、知らなかったとしてもとっても面白い! お勧め!

 あとこういう江戸クトゥルフだと伴天連XXとかもお勧め!

 それでは今回はここまでです。次回は旧支配者ルリム・シャイコースについて離せたら良いかなあと思っています。


 くれぐれも次回まで闇からの囁きに耳を傾けぬよう。

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