第五回おまけ デモンベインとかニャル子さんとかTRPG動画の話をしよう
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とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。
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【最初に】
いきなりだがアズールレーンは良いぞ。特にロイヤルは良い。いや正直に言おうフッドさんは良い。うちの艦隊のフッドさんは過剰な調整で声と視力を失った強化人間のたぐいだがそこら辺の解釈は自由だ。
アズールレーンは良いぞ。
さて、当作品はクトゥルフおたくが時々間違ってたりあやふやになりながらも知識を語るだけのエッセイです。
クトゥルフ神話を語るという性質上、クトゥルフ神話を用いた作品を語らずにはいられません。
しかし、これまでのエッセイではどうしても語りきれない部分が有って、書きたいのに書けないという状況が続いていたので、良い機会ですからおまけという形でお話しようかと思います。
あくまでこれはおまけです。
いろいろな意見が有る作品についても取り扱いますが、まあ意見が合わなくてもそこら辺は適当に流してください。人にはそれぞれの意見があるものですから。
【デモンベインとタイタス・クロウ】
ところで皆さん。デモンベインシリーズがオマージュしている「タイタス・クロウシリーズ」はご存知でしょうか? ご存知ない? でも大丈夫この後簡単に説明します。
タイタス・クロウシリーズの日本語訳って最初の短編集「タイタス・クロウの事件簿 」が2001年に出ていて、かの傑作「斬魔大聖デモンベイン」が2003年に出ているんですよね。これだけ聞くと事件簿の影響でデモンベインが生まれたのかなあ、と思ってしまうんですが、こちら「斬魔大聖デモンベイン」の話の雰囲気と「タイタス・クロウの事件簿」の雰囲気って実は結構違うんです。
「斬魔大聖デモンベイン」がスーパーロボットによるヒロイック・ファンタジーであるに対して、「タイタス・クロウの事件簿」はあくまで主人公タイタス・クロウが豊富な知識と鋭い推理でクトゥルフ神話に関わる魔術師やカルト教団を追い詰める話です。
なんか変だなー? と思う方も居るかもしれませんが、最初にタイタス・クロウシリーズと言ったように、タイタス・クロウの事件簿には続きがあります。そこで我らが主人公たるタイタス・クロウは時を越え恐竜に追いかけられ美女とロマンスして空を飛びヨグ=ソトースを打ち破りヒロイック・アクションを開始します。専用機まで与えられるのでスパロボにも参戦可能となっております。こっちは概ねデモンベインのテンションなんですよね。
恐らく鋼屋ジン先生、日本語訳される前の英語版読んでいたんじゃないだろうかと思います。インタビュー記事とかでそこら辺聞いたものがあればいいなー……と思って探してきましたよ! マフィア梶田さんの書いてくださった4Gamerのインタビュー記事! 無許可でリンク張るのも良くないのでみんな検索して読んでみてね! すごいね! かの御仁も札幌住んでたんですね! しかもタイタス・クロウの事件簿と出会ったのが丸善! 俺もよく行く丸善! 札幌丸善! すごい! すごい偶然!
それにしてもこの書き方だともしかして……タイタス・クロウの事件簿から得た着想がデモンベインになったのか! 後の話は当時読んでなかったかもしれない! すげえ! 結果として同じようなヒロイッククトゥルフに至るなんて色々な神からささやかれているとしか思えない! ドリームランド系の話も読んだり、インスマウスの影やクトゥルフの呼び声の影響についても言及なさっているところは読んでてニヤニヤが止まりません! ひゃっほー!
……と、ここまで読んだところでインタビュー記事で面白い一文を見つけました。次はそのあたりについて語りましょう。
【ちょっと小話】
今話したインタビューの中で
『「ゆっくりクトゥルフ」やニャル子さんがクトゥルフへの入口になるのはかなり特殊だと思うんですけどね(笑)。』
という記述が有ったんですよね。
俺もそう思ってたんですけど、今やすっかりそれがメジャーになってしまった感じがありますね。自分が特殊だと思ったら特にそんなこともなかったぜという不思議な気分。
インタビューが2012年に行われたものですので、わずか五年の間にクトゥルフ神話をとりまくシーンが一気に様変わりしてしまったということでしょうか。
そしてその五年の間にゆっくりクトゥルフやニャル子さんで育った人間が、作り手側に回るようになるというレベルまで来ています。時代の流れを感じます。そしてありがとうございますカドカワ様、ノベルゼロ様、担当編集様。
今を生きる人間であるが故にしっかりとした考察はできませんが、クトゥルフ史的に今はとてもおもしろい状況に有る気がします。
私が聞いた話だと、クトゥルフはどうしてもこれまでマイナーというか、日本だと一部の分かっている人の間でほそぼそと伝えられてきたものであり、今のように華々しいものではなかったそうです。
自分の身の回りの年長の方に聞いてみても、クトゥルフなんでこんな流行ってんだ……って不思議だとか。
もう一度言いますが、今はクトゥルフ神話の業界がすごい面白い時期に有ると思われます。なにせ五年前からすれば、特殊だった筈の事例が今や一般化されている訳ですから。これまでにない形でクトゥルフに入った人間が、これまでにない形でのクトゥルフの発展を導く。そういうことが出来たりしたらいいですよね。
4Gamerのインタビュー記事を踏まえると、この記事や私の作品が「卓ゲ動画やニャル子さんやデモンベインでクトゥルフにはまりこんだ人間のサンプル」として後の人の考察材料になればいいなと思っております。
ここから更に新しい形の再生産が始まり、ジャンルが更に広がっていくのか。それともまたゆっくりと安定飛行に入るのか。
五年先、十年先、どうなっているのか。私には想像もつきません。
その時も生き生きとこのジャンルで書けていればいいですね。
目指せアニメ化! ニャル子さんみたいに!
【這いよれニャル子さんの話】
さて、そんな感じで這いよれニャル子さんの話をしましょう。好きなキャラはグタタンです。原作で出ないのが惜しい限りです。話にスーッと馴染み、出番を持って行き過ぎない良いオリキャラでした。出ないのが惜しいと言っているけど、アニオリだからね……惜しまれるくらいが丁度良い。
ともかくニャル子さんいいですよね。僕は大好きです。
アレの何が良いってクトゥルフネタ以上に特撮ネタを始めとする様々なネタが仕込まれていて、読む度読む度ニヤニヤしてしまうことです。あ、こんなところにあれが! む、こんなところにこんなネタが! もしかしてこのキャラの造形はアレが元ネタか! などとドッタンバッタン大騒ぎして楽しむことができる良い作品です。自分が分からないネタも当然有ったとは思われるのですが、それでもなお面白いのだから素晴らしい。
実際、大人気だったわけですが、ネタ分からない人もなんとなくで楽しめる作りというのは、書く側になって改めて偉大さを感じずには居られません。いや実際アレだけの密度のネタを、瞬時に大量にぶち込んでなおかつ読者に飽きさせないってすごいんです。パロネタって仕込むだけでテンポがずれて知らない人からは違和感を感じさせてしまう筈のものなのに、そうと感じさせない魔剣、あるいは魔筆です。邪神文豪七番勝負って感じです。
ストーリーそのものの話をするとですね。軸はやっぱマッヒロすゎんとニャル子さんの宇宙的ラブのクラフトになる訳ですが、これが実に美しい。このマッヒロすゎんとニャル子さんの関係性の構築が、実に好きなんですよ。
ほら、知らない世界からやってきた女の子と何処にでも居る普通の男の子のラブストーリーですよ。そりゃあもう王道中の王道ですよ。でもマッヒロすゎんからすれば、ニャル子さんなんて幾ら見た目が好みでも邪神のモデルです。そりゃあ迫られても素直に頷くことなんて出来ない。でも作中ではそんな彼が次第に次第にニャル子さんを理解していく過程がギャグ風味に見せかけて丁寧に描写されているし、ニャル子さんもマッヒロすゎんを時に理解し時にSAN値を削りなんやかんやで手篭めにしています。そうやってお互いの距離がジワジワ迫り、最後にはSAN値も距離も00になって見事イッツターイムナーウですよ。ずっと側にBe with youですよ。ハチャメチャなラブ(クラフト)コメディというだけでなく、異種との遭遇、そして相互理解に至る物語だったんですよ。
さあこれでもうニャル子さんを知らない人にはもうなんか良い話としか映らないに違いありません。是非買ってください。めっちゃ面白いです。
【ちょっと小話②】
唐突ですが、僕はロボット物の作品が大好きなんですよ。
リアル系もスーパー系も好きですが、どちらか選べと言われたらスーパー系、そんな子供でした。玩具アニメのロボのイメージが比較的スーパー系に近いものが多かったからでしょうね。幼児教育というのは重要です。
さて、クトゥルフの幼児教育って今どうなってるんでしょうね。ヘボットがさくっと一話ネタとして扱うデジモン枠だったとして、実は大きな枠組みでクトゥルフを使用しているウルトラマンティガ枠はあるのでしょうか?
今の子供達にも神への信仰に目覚める為の最初の切っ掛けが何かあることを祈るばかりです。
【TRPG動画について】
ま、そんな訳で今のキッズ達だとテレビよりもむしろユーチューブ。動画サイトで邪神に触れる方が手っ取り早いかもしれません。今の小学生、普通につべ見ますからね。そんな中にクトゥルフ神話TRPG動画を見る子が居るかもしれません。そしてそんな中に邪神の解説を求めてここまで来る子も居るかもしれません。流石に中高生くらいですかね。私がクトゥルフ神話について知ったのも中学生の頃でした。その時はまださして興味があった訳ではなかったのですが、しばらくしてから卓ゲつながりで動画を見て嵌ってしまいましたね。
ジャズエイジとかさ、間違いだらけな渡鬼卓とかさ、闇をゆく者達の宴とかさ、跳躍卓とかさ、フリーダムってレベルじゃねえぞとかさ、超人高校生とかさ、ゆっくり妖夢も好きだったよ! 文豪ストレイドッグス面白いから皆アマゾンプライムでチェックな! それはそれとしてまあ他にも色々有るのですが今回は省略です。
やはりアクセスというのが重要なんですよね。自分で探して、手の届く範囲に有ることです。あとは素養の有る人間ならば勝手に学びますよ。これを読んでいるあなたがこうしてクトゥルフ神話についてのエッセイを読んでいるみたいに!
いきなり話が横に逸れますけど、TRPGは強い技能が有るんじゃなくて、各環境ごとに強いプレイヤーが居るってだけですよ。どの技能が求められるかを把握する力と、一つの技能で何ができるかを考える力が有るだけです。跳躍とか軽々しく真似しようとすると痛い目に遭うのです。遭ったのです。
少し考察もしておきましょう。というか俺自身が動画に嵌った経緯です。クトゥルフの動画における隆盛は、新しいメディアの勃興と若い世代にも刺さる話・雰囲気作りの為せる業だと考えています。更に、先人たちが積み上げてきたものを自分が調べて学んだという感覚が得られることや、馴染みのあるキャラによる二次創作要素でホイホイされ、更にその過程で得た知識を飛び越えていくトンデモ展開や知識が前提になるからこそ生まれた巧みなストーリーに引き込まれ、どんどん沼に入っていったんじゃないですかね。俺はそうでした。
歴史がありながらもカウンターカルチャー的であるってのが中々面白いですよね。
パルプで広まって、時間をかけて熟成され、今度は動画サイトで広まって、また時間をかけて熟成されていくのでしょうか。
そもそもクトゥルフ神話は作家同士のお遊びの一人歩きです。
故に設定の齟齬も、描写の矛盾も、唐突な新キャラも、いくらでもありえます。
日本人ってそういうのが歴史的にも大好きで、江戸時代に妖怪が流行ったのも結局そういう遊びの結果だったりしますしね。
歴史は繰り返すなどといいますが、クトゥルフは
【最後に】
そんなわけでおまけに当たる好きな作品のお話でした。
普段のエッセイでやる与太話の拡大版ですね。
こんなのに付き合ってくれた皆様に限りない感謝を!
それはそうとルルイエ鯖が浮上したアズールレーンもよろしくな!
ルルイエ鯖って名前ついているけど、実際見てみると別にクトゥルフにドップリな人が多いとかそんなこた無いし、ネタにして遊んでることが多いだけだから気軽に崇拝していこうぜ!
それでは今回はここまで。
くれぐれも次回まで闇からの囁きに耳を傾けぬよう。
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