第五回 クトゥルフ神話の魔導書①

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 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【初めに】


 こんにちわ皆さん。

 邪神任侠の書籍化作業絶賛進行中で、偶に担当さんと卓ゲの話で盛り上がるsealです。

 近々担当さんに新しい芸名ペンネームもらうので、この名前で更新するのも恐らくこれが最後でしょう。

 名前が新しくなっても連載作品は続くので楽しみに待っていてください。


 はい、そういう訳で今回は魔導書についてのお話です。

 この前、書籍化作業中に「折角だし序盤に魔導書出しません? 名前だけチラッと!」という話の流れになりまして、読者サービス的に魔導書の名前をチラリと出すかということになったんです。

 なので、その作業にあたって、魔導書について簡単に調べなおそうと思ってこのような講座となりました。

 SAN値を燃やして力を得たり得られなかったりする素敵な魔導書達。今回はじっくりゆっくりお話して参りましょう。

 

【概要~魔導書ってなぁに?~】


 クトゥルフ神話で魔導書と言うと神話的真実が書いてあり、読むと呪文が覚えられたり覚えられなかったりして、なおかつSAN値が減るものというのがTRPGだと定番です。普段クトゥルフ神話の話題で魔導書と言う言葉を使うときにはそういう認識で問題ないのですが、実は原典たるラブクラフト先生の作品ですと古代ギリシャの天文学に関する著作、中世の錬金術、近代の悪魔学の本がサラッと出てきたりする事があります。そういった様々な本を並べていく中でネクロノミコンを配置して、を演出するという意図もあったことでしょう。

 ちなみにここでどんな本が並んでいたのか気になる方は原作を読んで是非ともチェックしてほしいです。一例ですが、チャールズ・ウォードの奇怪な事件ではユダヤ神秘主義の「光の書ゾハール」なんかの名前がチラッと出たりします。結構な割合で偽書をでっち上げてたりするので本当に全部調べようと思うとMPが尽きます。もしくはその前にSAN値ピンチです。


 前置きはここまで。

 今回お話するのはクトゥルフ神話について書いた本のことです。

 ネクロノミコン、ナコト写本、ルルイエ異本、セラエノ断章。

 今回はざーっとこの辺りについて紹介できればいいかなあと思います。これ以上沢山紹介しようと思うと体力が保たないので勘弁してください。

 それでは今度こそはじまりはじまり。


【各論~ネクロノミコン~】


 いきなりですが可愛いですよねアル・アジフちゃん。

 おっと、アル・アジフちゃんをご存じない? かの傑作クトゥルフロボットアドベンチャーゲーム「斬魔大聖デモンベイン」をご存じない!? スパロボで雰囲気に触れるだけでもPS2版でも良いので是非プレイしてみて欲しいところです。人類の持つ愛と勇気とロボットの物語です。ちなみにPC版がamazonで3482円程度でお求めやすい価格となっているので、是非いっぺん買ってみてください。ガチャを引くお金で買えちゃいます。

 

 さて此処からデモンベインと這いよれ!ニャル子さんとTRPG動画の話で5000文字は書けるのですが、それはこの後のおまけに取っておいて、ネクロノミコンのお話です。


 ネクロノミコンは死者を蘇らせる魔術書とも、あまねく宇宙に存在する神々についての全てを記した歴史書とも言われ、TRPG的には外なる神や旧支配者とのアクセスに加えて、殺意に満ち溢れた種々の攻撃呪文を学習できる最強の一冊となっております。拙作ケイオスハウルの主人公の佐々佐助君が好んでこの魔術書の呪文を用いています。ロボット物ですが、佐助君にはロボットの操縦技術も才能も殆ど無いので、どうしてもロボの装甲で凌いでいる間に魔術でぶちのめすしか無いんですよね。

 

 別名は『イスラムのカノーン』。これはそのものズバリ著者のアブドゥル・アルハザードがイスラム教徒であったことから名づけられたのではないでしょうかね。

 究極の魔術書と言われる割りには西暦を迎えてから作られたものであり、また人間が書いたものでもあります。なのになんでこんなに内容が充実しているのか、不思議になりますよね。


 分かっているだけでアラビア語、ギリシャ語、ラテン語、ドイツ語ゴチック体版(要するにフラクトゥール=めっちゃ格好いいアルファベットと思われます)、不完全な英語版、スペイン語版、と様々な言語で訳されています。TRPGですと、日本にも実は翻訳版が! とかなってます。KP曰く燃えよ比叡山! こと比叡山炎上で楽しめるかもしれません。そっちの内容はサプリメントの内容なのでまあ置いておきましょう。現存する本は少ない筈なのに、いろいろな作品で出て来るせいで多種多様な言語で翻訳されているのがなんだか受けますね。


 小説を書く時も、卓を囲む時も、これ一冊出しておくと雰囲気が出ます。大事なことは全部ネクロノミコンが教えてくれたと言い張れば、だいたいなんとかなります。ぜひ貴方の作品でも使ってみてください。 


【各論~ナコト写本~】


 可愛いですよねエセルドレーダ。

 おっとエセルドレーダちゃんをご存知ない? 良いでしょう斬魔大聖デモンベインをプレイなさい。

 余談ですが、ナコト断片群と呼ぶ場合もあります。

 

 ナコト写本は人類誕生以前に存在したとされるウミウシ状の知的生命体が蓄えた神々の記録を、北極圏に存在したロマールという国の民が人間の言葉に翻訳したものです。イスの偉大なる種族、カダスについての記述、外なる神の印、ドリームランドに住まう神々の情報、後催眠による精神操作、時間遡行薬といったことについて書かれています。北極圏という地理的背景もあり、第八断片と呼ばれるパートでは、イタクァやラーン=テゴスといった北の地で猛威を振るう神々について詳しい記述が行われています。

 この本には守護者が存在しており、読む際にはそれ相応の対価を求められるとのことなので、気をつけてくださいね。

 

 英語版がミスカトニック大学に有るそうですが、こちらは不完全な写本だそうです。


【各論~ルルイエ異本~】


 チャイナ可愛いですよねルルイエ異本ちゃん。名前らしい名前が無いのが残念です。デモンベインをやってください。

 こちらもこれまではルルイエ異本と呼ばれてきたのですが、昨今はルルイエ文書と表現するのが正しいそうです。


 Fate/Zeroでもキャスター陣営が使用して、『可愛い海魔が、ざざーん、ざざーん。』の地獄を生み出していましたね。螺湮城本伝と呼ばれる古代中国の粘土板が元になっており、この写本・訳本である漢文の巻物やイタリア語訳などが世界に広がっています。元が中国のものであったとしても、クトゥルフの信仰自体は世界中に残っているので、同様の内容のものが何処に有ったとしてもおかしくはありません。

 クトゥルフの召喚、ダゴン・ハイドラの召喚、深きものとの接触、その他にもクトゥルフ教団に必要な呪文が数多く載っています。

 甲骨文字で書かれたオリジナルの粘土板のバージョンは破壊されてしまっているので、実はまだ明かされていない秘密が有ったりするかもしれませんね。

 

 ちなみにクトゥルフの信仰を学ぶならば、ポナペ経典と呼ばれる本を用いるのもおすすめです。ダゴン秘密教団でも使用されていた実績があり、内容がクトゥルフの信仰に関係するもので纏められています。ポナペ経典を入り口にして、ルルイエ異本へと進むのが良い感じですね。


【各論~セラエノ断章~】 


 ハヅキちゃん可愛いですよね。シュリュズベリィ教授への呼び方がダディなのも個人的なツボです。機神飛翔の方のデモンベインをやりましょう。

 これまではセラエノと呼ばれていましたが、ケレーノと呼ぶのが本来の発音に近いということで、現在は改められつつあります。今回は分かりやすくセラエノと呼びますが、今後いきなりケレーノ断章と言い出しても驚かないでくださいね。


 セラエノ断章は、対邪神活動の大家にして宇宙的神話の碩学ことラバン・シュリュズベリィ博士が執筆した探索者の為の覚書です。

 まず邪神から身を守る為の旧神の印の作り方、次に邪神の手から逃れる為のビヤーキーの呼び方、更にビヤーキーに乗る為に必要な黄金の蜂蜜酒の製造方法、そしていよいよ追い詰められた時に使う自爆まがいの最終手段としてクトゥグア召喚方法まで載っている。

 これ一本で探索者は大体なんとかなります。クトゥグアを呼んだらビヤーキーに乗って逃げるスタイルで全て焼け野原にしていきましょう。

 この本を書く際にシュリュズベリィ博士はセラエノ(ケレーノ)あるいはその周囲に有った惑星の大図書館に有った石版を参考にしたそうです。


 ところでこの本、内容がナコト写本やエルトダウン・シャーズにそっくりだという話があります。

 エルトダウン・シャーズはウミユリ型の知的生命体で、地球の先住民族である『古のもの』が残したとされる陶片による記録です。これも魔導書の類なのですが今回は記載を割愛します。

 もしかしたらナコト写本やエルトダウン・シャーズと大本は一緒なのかもしれません。そうなると『古のもの』のような地球の先住民族が書いたのでしょうか? あるいは彼らの祖となる存在が書いたのか……ロマンですね。


【最後に】


 わりとクトゥルフ講座の感想ツイートとか検索しているんですけれども、その度にお褒めの言葉を頂いていたりしてとてもうれしいです。やる気につながっています。お礼を言ったら「えっ、作者さん!?」とかなる事もあったりして、ネットは狭いものだと感じます。これまでの十年間と比べて、創作の世界は読者と作者の距離が近づいていると思います。少なくとも私は感想やお褒めの言葉を直接頂けるのがやり甲斐になっています。ですので、この作品を読んで参考になったり気に入ったらまずは来春発売予定の邪神任侠書籍化版を買って、面白かったら面白かったと呟いてくださると、講座も含めて作品が充実するのでどうぞ宜しくお願いします。


 それにしても魔導書ってやっぱりたくさんありますね。今回はあの国民的名作デモンベインで精霊が登場していたものを纏めてみましたが、次は個人的な好みに合わせてご紹介していきたいですね。これを調べて欲しいっていうのが有ったら取り入れますので是非リクエストください。

 この後はおまけとして今回の話でカットした好きなクトゥルフ作品についての語りが入りますので、苦手な方は飛ばしてください。


 それでは今回はここまで。

 くれぐれも次回まで闇からの囁きに耳を傾けぬよう。

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