補講

補講 一講目 クトゥルフ神話の獣《フレンズ》達

【宣伝】


 拙作「邪神任侠」がノベルゼロ様から出版されました。ヤクザが邪神と戦うノワールな作品です。当講座で特集・解説もしておりますので、ぜひお読み下さい。

 とはいえ、この講座を読みに来ている人ならきっともう読んでくれていると思いますが、仮に読んでなかった場合でも書籍版だけ買っておいて下さい。印税はこちらの口座もとい講座を充実させる為の取材費に回りますので、その為の簡単な初期投資ということで。


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【初めに】

 

 もう第二回カクヨムコンテストも終わりですね。リアルの事情で参加できませんでしたが、皆さんいかがでしたか? エッセイコンテストでは東大生とパチンコ店員には勝てなかったクトゥルフ神話講座ですが、今後とも神の教えを広める為に頑張っていきたいですね。


 実はこの作品、布教効果は結構あるんですよ。実はこの作品、pv見るとえっぐいことになっているんです。その内アクセス解析機能で調べるつもりですが、おそらくグーグル検索などで来た方が読んでくださっているのでしょう。登録して星つけてって下さいね、無料なので。ケイオスハウルを読んでとはいいません。せめてカクヨム地方に住んで、クトゥルフフレンズになって欲しいものですね。DVD買わないとアニメに二期が来ないように、課金しないと死ぬソシャゲが有るように、星が無いと作者のモチベーションが下がって続きが来ないのです。このエッセイに限って言っても登録して、星三つ入れて、レビュー欄に「○○のエッセイ書いて」と書き込むだけで情報が次々更新されていくお買い得システムですので是非よろしくお願いします。

 ちなみに閲覧数一位はニャル、二位はアザトース、三位はアイホートとなっておりました。なんでアイホートなの……ああ! そうか! カクヨム発クトゥルフノベルの傑作「クトゥルフ神話 探索者たち ~鈴森君の場合~」で出てくるからだな! わかるとも! もし読んでないなどという方が居たら墨の凛先生の名著である「クトゥルフ神話 探索者たち ~鈴森君の場合~」をぜひ読んでください! 現在書籍化準備進行中です! 発売したら買って下さい! 


 はい、そんな感じで宣伝ノルマ達成です。久し振りの開講です。今回は補講ということで、普通の邪神の解説に加えてクトゥルフ世界の動物の扱いについて話していきましょう。

 世間では現在けも○フレンズなる作品が大人気ということで、私も唐突に動物の話をしたくなってしまいました。君はクトゥルフのフレンズなんだね!とか君は発狂させるのが得意なフレンズなんだね!とかふざけたこと言いたくなったのです。

 クトゥルフ世界では案外軽視されがちな動物達なのですが、上手く使えば恐怖を演出する良いツールになる筈なのでサクッと学んで上手に使ってみましょう。

 

【概要~君は犬のフレンズなんだね! 得意なことは何かな?~】

 

 クトゥルフで犬と言えばウィルバー・ウェイトリー。かの有名な神々の副王“ヨグ=ソトース”の息子でありながら、犬に噛み殺された悲しい生き物です。初期のクトゥルフではミ=ゴを相手に善戦する描写も有ります。意外と神話生物相手に善戦しているんですよね。


 とはいえ皆さん御存知の通りクトゥルフとは猫の世界。犬には厳しいのがお約束です。

 あの「パシフィック・リム」で有名なギレルモ・デル・トロ監督が映画化に挑戦した「狂気の山脈にて」はマイベスト犬厳いぬきび作品です。この作品の中の犬は被害者です。主人公たちに使い捨てられ、ショゴスに襲われて何時の間にか減り、ひたすら酷い目に遭い続けます。それもこれも“南極探検”という特殊な環境で、犬が人間にとって無くてはならない存在だからです。

 人間にとって欠かせない道具が少しずつ減っていく。暗がりの中で与えられたろうそくが短くなっていくように、犬の数も減っていく。犬が減れば減るほど、探検への不安が増大していく。家族のように扱っていた愛玩犬が死ぬのとは異なり、それはすぐさま恐怖と混乱は生むものではないでしょう。しかしそこには真綿で首を絞めるように、徐々に徐々に追い詰められていく恐怖が有ります。

 みなさんも家の中のお米や食器、あるいは下着が不自然に減っていたら、不安感を覚えませんか? それと同じです。「狂気の山脈にて」では犬という道具を用いて、そういった恐怖を描いている訳ですよ。

 ちなみに私の家では靴下が片方だけしょっちゅう無くなります。神話的恐怖が私の身にも差し迫っているのかもしれません。


 クトゥルフ神話において基本的に犬は恐怖や危険を表現する為の道具だと思います。勇気ある番犬の戦いとウィルバー・ウェイトリーの死の後に、そのおぞましき弟が姿を表したように。犬達の奮闘や戦死も虚しくある老民族学者がミ=ゴに拐われたように。あるロボット乗りの少年が神話生物との初遭遇を果たした時、目の前で愛犬を奪われたように。頑張った犬でもクトゥルフでは死ぬのです。次の大いなる恐怖の為に。

 ちなみにTRPGでは群れで出て来るので人間にとっては襲われると厄介だけど、神話生物相手にはさして効果がないという良い感じの原作再現感が出ております。皆もエンターブレインから出版中のマレウスモンストロルムを買って犬のデータを見てみよう!


 ちなみに犬とは殆ど関係ありませんが、クトゥルフ神話の名作に「魔犬」という作品が有ります。犬のような魔物に追い掛け回され破滅する男達の物語ですね。これは創元推理文庫の「ラブクラフト全集 5」に掲載されているので是非読みましょう。ラブクラフト本人は駄作扱いしてますが、面白いですよ。


【概要~キャットルフはお好き?~】


 まあそんな貧乏クジ担当の犬と異なり、猫は無双しています。ラブクラフトが書いた一連の物語の中で、あの邪悪かつ凶暴なムーンビーストの軍勢と正面から激突し、主人公であるランドルフ・カーターの助けも借りて打ち勝ってしまうのです。

 知らない方に向けてランドルフ・カーターの説明もしましょう。ざっくり言うと「自分をモデルにして書いた異世界転生者です! チートは無いけど知恵と勇気と好奇心で神の奸計をくぐり抜け、最後は神の座に至ります!」みたいなアレです。そんな主人公補正作者の愛に恵まれた彼が味方するんだからそりゃ勝つわって感じですよね。

 でもね。猫もすごいんですよ。 ジャンプで月まで向かいますし、人間で言うところの軍隊を組織していますし、電撃戦を展開する戦術、大軍を鳴き声リレーのみで集める連絡網に、その大軍を維持する補給線の構築までこなします。素晴らしい知的能力の持ち主ですね。びっくりしたでしょう?

 でも殴り合いもできるんです。七匹一組でチームを組みながら、ムーンビーストを一方的に鉤爪の餌食にしています。肉弾戦に特化したPCでなければ倒せないムーンビーストを八つ裂きにしているんです。特に苦戦する描写もなく。びっくりしましたよ。マーシャルキッカーを殺すのに邪神は要りません。猫が七匹居れば良いのです。

 こんな猫のハチャメチャな活躍をもっと詳しく知りたい人は創元推理文庫の「ラブクラフト全集 6」を御覧ください。


 それにしても猫ってなんだろうね。タイプムーン作品におけるTSUBAMEみたいなものなんでしょうね。ラブクラフト作品ではNEKOなんですよきっと。もしくはドリームランドちほーのNEKOのフレンズです。何か計り知れない力を持っています。彼等を不用意にいじめると白骨化死体になるまで齧られるので気をつけましょう! ウルタール地方では猫嫌いの老夫婦が被害に遭っております! 気をつけて! なんか悪いことしたPCには猫の大群でもけしかければいいと思うよ!


 さてさて、そんな猫……もといNEKOをプレイできるTRPGが有ります。はい、クトゥルフ神話TRPGです。そのものずばりcathulhuと呼ばれるサプリメントを使うと、NEKOのPCが使えるようになります。ラブクラフト作品的なNEKOの超能力も勿論使えます。ちなみに、日本ではcathulhuの内容はクトゥルフ・フラグメントというサプリに入っているので是非買って下さい。2017/02/09現在、アマゾンで4104円となっております。そして猫卓立てて私を呼んでください。人間PCで普通に参加して「猫が喋ってやがる……」とか「畜生! 俺は犬派なんだ!」とかリアクションとる役目をやりたいので。

 あ、ちなみに幕末クトゥルフもできるみたいですよ! サプリメント“比叡山炎上”と合わせて、深きものどもに牙突とか決めてみてはいかがでしょうか!


【概要~ふぐうなフレンズ、具体的には熊~】


 クトゥルフ神話は基本的に神々の世界です。一般的な動物にそこまで大した出番は有りません。なのでTRPGでも同じく不遇なフレンズ達が一杯居ます。

 具体的に言うと熊です。

 現実に比べて熊の攻撃力が異常に低い。装甲と耐久力も若干低い。きっとこれを書いた人間は道民ではないのでしょう。ケイオシアムはアメリカなので、道民な訳は無い? そうですね、ならばさしずめアラスカ育ちではないのでしょう。

 奴らの圧倒的な腕力、そしてタフネス、スピードは人間が敵うものではありません。幾らなんでも鉤爪熊パンチがマーシャルキックと同程度というのは、ケイオシアムの人々がアラスカの野生リアルを知らなかったと言わざるを得ません。

※勿論筆者も知りません


 そして悲しいことに日本を舞台にした“比叡山炎上”ですら、熊の性能は修正されていません。おそらくツキノワグマだから駄目なんでしょう。ゴールデンカムイなんかを読んだ後、熊最強脳になってから、ヒグマのデータを追加してもらえないでしょうかね。

 私がKPする卓で熊が出る時は、北海道仕様のHIGUMAになって皆さんをお出迎えすることでしょう。耐久力そのまま、攻撃力二倍くらいの奴で。

 言っていて気がついたんですけど、ゲーム中に滅茶苦茶出しづらくなりますね。この熊の理不尽な弱さはゲーム的な都合なのでしょう。

 せめて死ぬなら邪神で殺して……そういう探索者達の心の叫びが聞こえるようであります。だがだめだ。お前たちには熊で死んでもらう。それが試される大地の野生リアルだ。

 

※ちなみに前やった卓のボスは名状しがたいメ○ン熊でした。


【概要~意外と強い巨大イカ~】


 理不尽な弱体化を食らった熊とは異なり、巨大イカは強敵です。如何にもクトゥルフ的だったからなのでしょうか。こんなことやってるから、クトゥルフって基本的に触手と粘液の世界って扱いなんでしょうね。まあそれはそれとして深海に潜む巨大イカに生身で立ち向かう機会なんて無いですし、有るとしてもおそらく水中なので戦闘になったら詰みです。心配することは有りません。

 万が一に巨大イカが陸上に上がってきて、なおかつ「このイカは地上でも普通に戦える! 死ね!」となった場合は、やっぱり詰みです。素直に死にましょう。人間より早いし筋力有るし触手で対多人数楽勝だし、こんなの長距離(20~30m)から銃撃するしかありません。地上の移動距離は大したことないですし、水中で出くわせば詰んでいます。もしもの事態になったら遠距離から撃てるだけ撃って下さい。


 とまあバカな話ばかりしていますが、恐怖を演出する為には非常に良いクリーチャーです。潜水艦の窓の向こう側から迫ってくる影の正体とか、異常な場所であることを示す為に大量発生させるとか、使い道は沢山有ります。狭い潜水艦の中で漂流していく間に出くわす海の世界の狂気、異常、そして幻想。その最果てへと導く道先案内人として、あるいは哀れな逃亡者を駆り立てる存在として巨大イカを是非使ってみて下さい。


 こういった演出に役立つ作品としてラブクラフトの「神殿」(これも創元推理文庫の「ラブクラフト全集 5」に掲載)や、傑作ホラーアニメ「影鰐」の第一期Episode6は非常に役に立ちます。

 「神殿」では第二次大戦中の潜水艦とイルカの描写が、「影鰐」では最新鋭の小型潜水艦と南極のニンゲンの描写が、それぞれ貴方の恐怖描写に力を与えてくれること請け合いです。


 そう、深淵の風景は狂おしい程に美しい。


 皆さんにもその魅力が伝われば良いなと願いつつ、今日はこのあたりで講義を終えるといたしましょう。

 

【最後に】


 という訳で、クトゥルフ神話の愉快なけものフレンズ達を紹介してみました。

 今回は自分でもびっくりするくらい、邪神や神話生物について触れませんでした。神の話をしない神話講座だなんて奇妙に見えますが、何度も繰り返すようにクトゥルフは自由です。おおらかな気持ちで楽しんで勉強してくれれば幸いです。

 

 さて最後に宣伝タイムです。

 そのうちカクヨムで江戸時代風味ファンタジーを描く予定です。折角なのでクトゥルフ要素も増しながら、闇から闇へと働く必殺仕事人が大活躍します。運命の悪戯で仕事人稼業を強いられる主人公が、神々の掌から如何に脱するのか……あるいは潰れゆくのか。楽しみに見守ってくだされば幸いです。

 江戸時代の考証、クトゥルフ神話を始めとする世界中の神話・伝説の考証、そういったものを活かしつつ、知識を増やしながら楽しめるものに出来れば良いと思っています。

 第三回のカクヨムコンテストに出せればいいかなあと思っているので、どうぞゆるりとお待ち下さいませ。


 それでは皆さん。闇からの囁きにくれぐれも耳を傾けぬよう。


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 けもーたりぜーしょん / DEN助 http://seiga.nicovideo.jp/comic/28438


 今回イラストをプレゼントしてくださったDEN助様がニコニコ静画で書いてらっしゃるけものフレンズの二次創作です!

 見たことの有るフレンズ達が、車を作り上げている姿はキュンキュン来ます。モーターショーにきれいなお姉さんが付き物な理由もよくわかりますよ。

 個人的にはフェネックちゃんが色っぽすぎるので絶対にかれぴっぴが居るんじゃないかと不安になってますね。ともかくぜひ見て下さい。可愛い全開で全年齢対応です!

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