第20回 クァチル・ウタウスってなぁに?【一学期最終回】

【始めに】


 一体どうなるんでしょうね、エッセイコンテスト。個人的には開幕前からランキングに載っていた面白くて為になる某エッセイが大賞ではないかと睨んでいます。


 できればこのクトゥルフ講座もどっかに引っかかってくれたりすると嬉しいんですけどねー! というか挿絵欲しい! 萌え萌えきゅんきゅんの超キャッチーな挿絵欲しい! この講座にポップでキュートな挿絵が欲しい方、あるいはちょくちょく入る広告が邪魔くさい方は是非カクヨムにログインして☆とか下さい。有償版クトゥルフ講座では広告が消えて挿絵が付きます、多分。


 真面目な話をすると、こういった講座や紹介系の作品において挿絵の占める力は非常に大きなものです。今回取り上げるクァチル・ウタウスなんかも、最初に真面目な解説書で挿絵を見た人と某萌えるクトゥルフ本で挿絵を見た人では受ける印象がまったく違ってしまいます。だから知らない人に気軽に楽しんでもらえるような“軽い”挿絵が欲しいなあと思っている訳です。


 そろそろクァチル・ウタウスの紹介を始めていきましょう。非常にマイナーな旧支配者ですが、それだけに創作でもTRPGでもきっと使いでが有りますよ。


【概要~塵を踏むものThe Treader of the Dust~】


 クァチル・ウタウスは時間を司る旧支配者です。ヨグ=ソトースのように時間そのものを操るというよりも、時間の制約にとらわれず自由に動くことができるという特徴が強調されています。時間を操る旧支配者を出したいけれども、ヨグ=ソトースは大物過ぎてシナリオの傾向にそぐわない時には使ってみると良いでしょう。


 外見は人間の胎児によく似ておりますが、全身がひび割れており、口も目も毛髪も有りません。小さくしなびた足を全く動かさずに移動を行います。


 普段は時間と空間の隙間の辺獄とでも言うべき場所で大人しくしており、呼ばれないかぎりは特になにもしないそうです。


 クトゥルフ神話TRPGのクァチル・ウタウスは契約したものに不老不死と時間旅行の方法を与え、時には異次元に渡ることさえも可能としてくれます。契約さえできれば……ですがね。


【概要~僕と契約して闇に呑まれてよ!~】


 実はこのクァチル・ウタウス、契約が難しいのです。遥かに大きな力を持っているヨグ=ソトースよりも難しい。まずクァチル・ウタウスのことについて記載されている“カルナマゴスの遺言”を見つけるのが難しい。オリジナルは既に消失していますし、TRPGにおける設定上はギリシャ語版も殆ど欠損しており、クァチル・ウタウスを呼んで契約する為の呪文しか使えなくなっています。


 ですが、中世の頃はまだ作られたばかりのギリシャ語版はおろか原書も読むことができるようになっています。なのでTRPGや創作に使うなら中世にタイムスリップする話や古くから生き残っている魔術師が敵であるシナリオで使用するか、シナリオに出てくる魔術師の背景に中世から続く家門といった設定を付け加えるとスムーズに話が進みます。


 このカルナマゴスの遺言を読む場合、一つだけ気をつけなくてはいけないことが有ります。クァチル・ウタウスと契約する場合に唱えなくてはいけない禁じられた言葉、そしてクァチル・ウタウスに触れた一節を声に出して読んではいけません。もしもその一節を言葉に出してしまった場合、貴方の目の前にはクァチル・ウタウスが出現し、契約を結ぶ暇も無く異常に加速した時間流に巻き込まれてしまいます。するとまるで無限の時間を過ごしたかのように、貴方は朽ち果て塵と化し、風に吹かれて消えてしまうのです。

 

 この神が持つ“塵を踏むもの”という二つ名も、クァチル・ウタウスがこの塵に踏み跡を付けて消える習性を持つことに由来するのです。


 なお、TRPGにおけるカルナマゴスの遺言は読んだだけで十年の歳月を読者の肉体から奪います。それだけでなく、禁じられた言葉を声に出さなくても制御されていないクァチル・ウタウスが召喚されます。しかも契約に成功しても背骨がねじれて醜い姿になってしまうのです。


 また、原作の小説の方だと読んだ人間だけではなく、読んだ人間の周囲に居る人にも急速な老いをもたらします。


 百害あって一利しかなし。いくら魂を囚われると言ってもヨグ=ソトースと契約した方が余程確実で安全で有益でしょうね。言っておきますが私はヨグ=ソトースの回し者じゃありませんよ、念のため。


【概要~信者なんて居るの?~】


 居るかよそんなもの! 偶に「永遠の命欲しいけど魂囚われたくないな~」みたいなことを考えたのであろう魔術師が契約を結ぶ為に信仰なり契約なりを行うだけです!


 慣れた魔術師ならば厳密に儀式の手順を行っていくことはそこまで難しいことでもないし、契約によって生じるデメリット(肉体的な変異、急速な老化)もある程度補うことができるのでしょう。


 もしも魔術師がカルナマゴスの遺言を手に入れたのならばその内容を実行しようと考えてもおかしくは有りません。


 クトゥルフ神話TRPGだと、他の邪神との繋がりが殆ど無いので単発のセッションにおいて黒幕として出して退治して終わりという話がとてもやりやすい。後腐れの無く一発やるのに丁度良い邪神なんですよ。


 狂信者がカルトじゃなくて魔術師の個人的な信仰者ばかりというのも便利ですよ。ボスである狂信者さえ倒せば話が決着します。あとカルナマゴスの遺言に書いてあるのですが、契約者の不老不死を突破する簡単な方法も有りますから。


 また、初めてクトゥルフ神話やるよ! という方相手のセッションの場合は他の邪神についての予備知識を要求しない邪神なので「いや、クトゥルフ神話においてこの神は××だから……」と面倒くさいことを考えてしまう私みたいなGMとしては非常に楽です。設定リンクしまくっているのも考えものです。


【概要~塵を踏み歩く者?~】


 とまあこのように素敵な神格なクァチル・ウタウスなのですが、一つだけ気になることがあるんですよね。


 それはクァチル・ウタウスが出る小説のタイトルが「The Treader of the Dust」なのですが、これを直訳すると「塵を踏み歩くもの」なんですよ。ですが現在のクァチル・ウタウスは「塵を踏むもの」となっています。


 これはクァチル・ウタウスが作中で歩く描写が無いことに起因しています。まるで滑るように光の道を進んでくるんですよ。


 しかもこれが結構素早い。光の道をしなびた胎児のようなものがツィーっと滑ってくるなんてはたから見れば半ばギャグです。


 ここで私は思ったのですが、本当にクァチル・ウタウスは歩いていないのでしょうか?


 異常に加速した時間において人間がクァチル・ウタウスの歩みを認識できていない可能性は? クァチル・ウタウスは光の道によって映しだされる神の影に過ぎないという可能性は? 我々人間の前に姿を見せるクァチル・ウタウスが神の虚像に過ぎぬというならば、塵の中に二つだけ残される足あとのような痕跡は何?


 ああ、あの忌まわしき足跡のようなものが! 我々からは見ることも、触れることも、認識することのできない何かが! 直接犠牲者に触れた跡ではないと……貴方はなぜ言えるのでしょうか?


 だとすれば一体クァチル・ウタウスは何者なのか? 何故我々の手元にかの神について書かれた資料が少ないのか? 何故時空の狭間の辺獄に引きこもっているのか?


 それを決めるのは貴方の作品なのです。


 だってクトゥルフ神話は自由なんですから。


【最後に】


 という訳で突然ですがクトゥルフ講座は一旦ここで完結です。完結の理由ですが、ケイオスハウルで出す邪神はもう大体書き終わってしまったせいです。


 メジャーからマイナーまで此処に紹介された十九の邪神及び神話生物について把握していれば基本的にクトゥルフの雰囲気は分かります。


 後は貴方の好きな何かとクトゥルフをガシャーン!と合体させて素敵な作品を生み出して下さい。なにせクトゥルフは自由なんです。楽しまなくてはならないのです。


 ここらで一つ、何か素敵なクトゥルフものを書き、それをカクヨムに投稿して、週間ランキングを賑わせてみてください。なにせ今、ライバルは少ないですからチャンスが一つ有れば一気に駆け上ることも難しくは有りません。どうかカクヨムを盛り上げて下さい。


 それがこの講座を二十回やった人間として、皆さんに出す宿題です。なんかタグに「クトゥルフ講座宿題」とかつけてくれると読みに行くかもしれません。


 それでは皆さん、また会う日までくれぐれも闇からの囁きに飲まれぬよう。

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