10年後僕たちは… 【テスト公開】

かつお

第1話 中学編 【テスト公開】

期待と不安を胸に抱え僕は入学式を迎えた。

公立なので友達は大勢いたが、2校の小学校から進学してくる中学校なので、知らない人も割といた。

入学式が終わるとクラス分けだった。

僕たちの学校は3クラスで構成されていた。

僕は2組だった。仲が良かった友達もちらほらいて安心した。

担任の先生は教師歴5年程の若い先生だった。

と、言っても当時の僕は若干おっさんに感じてはいた。

担任からは今後の中学生活についてなど、色々話されたような気がする。

しかし、そんなことはどうでもよく、僕は他にどんな子がいるのかそっちに興味があった。

そして、僕の中学校生活が始まった。

英語の授業や算数と呼んでたものが数学になってるなど、僕は中学にあがったんだなぁ…

と、変なところで実感していた。

部活にも所属した。

ハンドボール部に所属した。

部活の顧問は僕の担任だった。そして先輩には小学校の頃みた上級生がいて、何か懐かしい感じがした。

先輩は成長期もあり身長や体型がすごい変化をしており、とても驚いた記憶がある。

あと、僕は小学生からサッカーを習っており、中学生になってもサッカーを習っていた。

なので、平日は部活、土日はサッカーというような生活が始まった。


1ヶ月くらいそんな生活が過ぎたところ、僕は見慣れぬ友達とも仲良くなり、それなりに中学生をやっていた。

そしてもう少し日が経ったある日、誰かと誰かが付き合い始めた、などの噂がちらほら出てきて、思春期の僕たちはそんな話で持ちきりだった。

しかし、僕はまだまだお子ちゃまでそんな話題には全然興味がなかった。


中学生になり、初めてのテスト期間がきた。

テスト前の1週間は部活も休みになるということを知り歓喜した。そして、放課後友達と遊びまくった。

土日はサッカーで遊べなかった僕はここで全力を尽くしていた。

まぁテストの結果は…秘密で…

そして、初めての夏休みがきた。

平日の午前は部活、土日はサッカーとまぁあまり変化のない生活をしていたのだが、部活が終わったあとなんかは予定がなければ、うだうだ過ごしていた。

家にいるのがあまり好きじゃない僕は予定がない日は図書館に行くようになった。

図書館は涼しいし、本読みながら寝落ちするのが心地よく、結構通うようになった。

そして、その日も図書館から帰った。

暑さと眠気のダルさで、ゆっくり自転車を漕いでいたら、坂の登り始めでよろけて思わず転びそうになりよろけて足をついた。

あぶねー…なんて一息ついていると正面から見た事ある女の子が坂を下ってきた。


うわ、かっこ悪いところ見られた…


これが彼女との初対面だった。

この時は、ん?なんか見た事ある子だな…

程度しかその時は思っていなかった。


相変わらず部活と野球とちょっと宿題の毎日をグダグダ過ごし、あっという間に夏は終わった。


新学期が始まり、また学校と部活とサッカーの毎日が始まった。

図書館の帰りにあったのが印象に残っていたのか、よく彼女を見るようになっていた。

今思うと目で追い始めていたのかもしれない。


ある日の事だった。

スクールランチと言って、同学年が一箇所の部屋に集まり昼食を食べるという習慣が僕の学校ではあったのだが、そこでクラスの女子と話してたらこんな話になった。


ねぇ、誰かかわいいと思う子とかいる?

いや、あまりそういうの興味ないんだよね。


やはりこの手の話だった。


私この学年で一番かわいい子知ってるよ?

へぇー、誰?

この子でーす!

と、後ろの机で食べていた女の子をおもむろに紹介しだした。

そう、彼女だった。彼女は急に呼ばれすごく焦っていた。

訳分からずなになに?といった感じで戸惑っていた。

しかしその話していた女の子は御構い無しな感じで、

一番かわいいゆうなちゃんでーす。

と、元気よく答えた。

僕はどうしていいか分からず、どうも…

なんて答えたが、この時初めてちゃんと見た彼女はとても可愛く、興味がないと寸前まで言っいた僕の胸は正直高まっていた。

向こうは気まずそうにどーもなんて感じの返事をしてその場は終わった。


中学入りそろそろ後半に差し掛かった時、委員会の入れ替えがあった。

僕は面倒くさがり屋でとりあえず楽そうなものを勘で選択した。

委員会のメンバー入れ替えがあったので顔合わせで集まりがあった。

男子は全然仲良くない奴が来てがっかりしてボーッとしていたら他クラスの女子もやってきた。

彼女がいた…


あの初めて顔合わせた日から2ヶ月くらい経っており、あれ以来ぶりだった。

まだこの時は可愛い子だなと思う程度で恋心なんて物は抱いてなかった。

いや、もう可愛い子って思ってる時点であれなのか…

委員会もあっという間に終わり、特に話す機会もなく終わった。


そんなある日、いつものように部活を終え帰ると、携帯に知らない人からメールが着ていた。

誰かなと思って見てみると、クラスの女子からだった。その子はたくさん話すわけではないが、まぁ普通な距離の感じの子だった。

僕は素っ気なく何?みたいな返事をした。

ちょっと話がしたいなぁー、なんて感じのことを言ってきた。

僕は面倒いなぁ…と思った。ましてや、アドレス教えてないのにどうやって僕のアドレスを知ったのかちょっと不快感すらあった。

その日からその子からちょくちょくメール来るようになった。


ある日だった。メールで女子から

好きな子とかいるの?と、聞かれた。

その時はまだ彼女のことが気になっている程度でそこまでの気持ちもなかった。

だから、いないよ、と普通に返した。

すると、その女子から付き合ってみない?

と、言われた。正直うすうす何かを感じていた。生まれて初めて女性にそういう事を言われ思春期の男子は嬉しくないわけがない。

しかし、付き合うという事がはっきりとわからなかった僕は、正直に付き合って何するの?など色々屁理屈を述べた気がする。

結局僕はわからないまま、その女子から、お試しでいいから付き合おうよといわれ、まぁお試しなら…みたいな感じで付き合い始めた。


年が明けた


雨でサッカーが休みだった祝日の日、一応付き合ってる僕は彼女と会うことになった。

僕はあまり乗り気ではなかったが、やはり家の近くまで行くと緊張した…

着いたよ、とメール。

女の子が出てきた。

学校以外で会うのは初めてで、私服を見た時何か新鮮な感じだった。

入ってと言われ、僕は言われるがまま移動した。

そして相手の親にちょっと気まずく会釈をし、女の子の部屋へと行った。

人生初めて女の子の部屋に入った。

座って、とベッドを差され言われるがままに座った。

その女の子は僕とは小学校が別だったので卒業アルバムなんかを見た。

僕は何気に彼女の写真を探してた。

なんか緊張がほぐれて一応会話のような会話ができていた時、急に女の子は僕の隣に座り手を握ってきた。

いや?とか言われたが、いや別に…

と僕はどもった。緊張した。そして肩に女の子は寄りかかってきた。

僕は完全に硬直し手汗がヤバかった。そこから僕は会話を一つもすることができなくなった。ただ時間が過ぎるのを待った。長かった…

17時頃になり僕は、そろそろ帰る・・・と、金縛りのように緊張した体からなんとか声を絞り出した。

そっか〜、女の子は普通の感じで僕を見送ってくれた。

久しぶりに外に出れた気がした。それくらいにガチガチに緊張していた。

僕はそこからなぜかその女の子への興味が一段と薄れていった…

メールも相変わらず着てたが徐々に返さなくなっていった。


委員会の仕事が本格的になってきた。

今月は同学年メンバーが集まり、資料をまとめる、というものだった。

うわぁ、メンド!と思うばかりだった。

僕たちは色々相談している中他のクラスの男子2人が遊び始めた。

僕は気になる子がいる手前、真面目に資料作成に励んだ。

後々知ったが、理由はともかく、ここでの僕は印象良く映ったらしい。


2月に入ったところで恒例行事がやってきた。

バレンタインデーだ。

この時僕は完全に面倒くさいと思っている状態で、当日に会いたいと言われたが行きたくもなかった。

しかし、しぶしぶ部活が終わった夜8時頃にその子の家の近くの公園まで行った。

約束の時間が着てもなかなか来なかった。

10分くらいたっても来ない。

だんだん苛立って来て、メールした。

ついたんだけど、まだ来ないの?帰るよ?

すると、体調が悪くなり行けない、とメールが来た。

本当に最低だと思うが、大丈夫の言葉すら言わず僕はじゃぁ帰るわと言った。

そして家についても収まらず、そのまま別れ話をした。

こうして僕は初めての彼女を失った。

ちょっと気が楽になった…のと同時に少しの罪悪感があった。

僕はお試しで付き合った程度だからと自分を擁護して蓋をした。


4月になり、僕は中学2年生となった。


いままで使用していた廊下や階段は見慣れないものとなり、2年生になったんだと実感が湧いていた。

席に座り、後ろの男子と喋っていたら・・・

なんと…彼女が自分の左斜め前に座っていた…

思えばココでもう完全に好きになっていた・・・と思う。

いわゆる運命みたいなのを感じてしまい。


僕はなんとか隣の席にならないか願った。

席替え早くしろ!!と思っていたが、だいたい2ヶ月に1度あるかないか程度だったので、半分諦めていた・・・。

すると、後ろの方の女の子が目が悪く黒板が見えないので前へ行きたいと言った。

はい、ありがとうございます。完全にありがとうございます。

そうすることにより、全員が1個ずつ席が後ろにずれ僕は彼女の隣になるのだ!!内心のガッポーズは凄かっただろう。

こうして僕はとうとう彼女と隣の席になれた。

本当に嬉しかった…

たどたどしく頑張って話かける努力をしたが、中2男子には難易度が高すぎた。

しかし、僕の中の気持ちは高まっていき、とてもバカだが、手紙を書いてしまった。まだ新学期始まり2週間程度のことだった。

ある日の月曜日だった。月曜日はいつも全校集会があった。いつと通り校長先生の話を聞き流し集会が終わる頃、僕は心臓の音が高まっていた。

やるぞ…やるぞ…

この日ほど話を聞いてない時はなかっただろう。厳密にはいつも聞いてないのだが…まぁいい。

そして、話も終わり全員が体育館を出る時、いつもなら友達と喋りながらゆっくり教室へ戻るところだが、僕は一目散に教室へ戻った。

バレないように小走りで焦らないように急いだけど多分焦ってた。

教室に入り僕は隣の彼女の席へ小さく畳んだ手紙を忍ばせた。その瞬間すごい達成感だった。

2週間だけだったがずっとモヤモヤしていた。ようやくそれから解放されると思ったからだ。

しかし、そう思った束の間、体育館から戻ってくるみんなの声が聞こえ、一瞬にして後悔が始まりだしだ。まだ、すぐに動けば手紙を取り出す時間は悠にあったが、胸がバクバクし、とてもじゃないが動けなかった。

僕はもうどうしようもなく机にうつ伏せ寝たふりをした。

みんなが続々と教室へ戻ってくる。椅子に座る音が近くから聞こえた。もうただただ寝たふりするしかなかった。横でいつ気づくのかうつ伏せながら全力で聞き耳を立てた。



どうやら、手紙に気付かないで教科書などを机の中から用意できたようだ。

僕は半分くらい…いや、7割くらい安心していた。そのまま1時間目が始まった。

だんだんと落ち着きを取り戻し、授業が終わった。

その瞬間隣から、

なにこれ?

と、独り言のような声が聞こえた。

僕はすぐに寝たふりをした。

横で何かガサガサ音がしている、これは完全に見ている!一気に鼓動が高鳴り自分でも耳まで真っ赤になっているのがわかる感覚だった。必死に寝たふりを続けていると30秒程して隣が慌てたような感じで席を離れた。

僕はそーっと顔を上げると、隣の席には誰もいなくなっていた。そこから僕は周りに悟られぬよう後ろの席の友達と喋り始めた。

数分したところで彼女が帰ってきた。

僕は知らないふりをして友達話していた。



結局その日は何もなかった…

返事がなかった…


僕は、バカなことを書いていた。

手紙の内容ははっきり覚えてないが、最後の一文に、

もし、okなら返事をください

と、書いていたのだ。

その内容通り、返事が何もなかった。僕は直接的に断られなかったのもあり、ダメージは少なく。あれは自分じゃないと、自己暗示をかけて逃げ出した。


そこから1カ月程は気まずく、話さえもできなかったが、次第にいつも通りの感じへと僕は戻っていった。

しかし、気持ちはまだあったため、ちょくちょくとちょっかいを出していた。

ある日体育の授業が終わった後、体調が悪いみたいで彼女は保健室へ行った。

僕は横目で大丈夫かな?

と、思うくらいしかできなかった。

そのあとの授業が始まっても、彼女は戻ってこず、始まってから20分程してようやく戻ってきた。僕はチャンス!と思い、

ノート…これ写していいよ…

と、どもりながら言った。彼女は

あ、ありがとう

と言い、ノートを写し始めたら、先生がやってきて、

それ貸したら、君がノート書けないから、黒板の内容書いてあるからこれ見て書いて。と、先生は彼女にプリントを渡した。

僕の優しさアピール作戦は撃沈した…

しかし、負けなかった!!ありとあらゆるチャンスを伺い必死にアピールを続けた。

そんな事をしているとやはり、一度収まった気持ちがまた高まってきてしまった。

ちゃんと返事を聞こう!そう思った。

僕はどうにか相手のアドレスを知りたいと考えた。

まずは、そもそも携帯を持ってるかの確認からだ。これは彼女の席が近いのもあり、周囲とダベりながら難なく確認ができた。

さて、ここからだ。どうやったら相手のアドレスをゲットできるのか。

いや直接聞けばいいだけなのだが、中2男子にはそんな度胸はなかった。手紙なんか書いたくせに…

僕はここで、当時異様に女子と交流があるやつがいる事を思い出した。

僕はそいつに素直に相談した。

彼女が気になっている、アドレスを知りたいのだがどうにかならないか?

しかし、その子もアドレスを知らなかった。

どうしたものか…


それ以上手段がないと悩んでいたら、ある日の深夜12時頃そいつからメールが来た。

アドレス教えてもいいみたい

と…

は?ええ?えー?

バックヤードでそいつは動いていたようだ。

完全に眠気が飛んだ。

僕は焦ってるのを悟られぬよう冷静に、え?ホント?ありがとう

と返信した。

しかし、なんか恥ずかしく、向こうにアドレスをつたえてもらうようにお願いした。


待つ事10分程…知らないアドレスからメールが来た。

もちろん彼女からだった。

夜遅くごめんね、みたいな内容だった。

僕は聞かれた。

あの手紙って書いたのホント?僕は周囲にそういうのが興味ないって言ってたのもあり彼女はイタズラだと思ったようだった。

しかし僕は降られた事が恥ずかしく、あの手紙は僕じゃないと嘘をついてしまった…

情けない…


まぁいいや、ところで私は好きなんだけど…どうかな…

と、きた。

僕は夢かと思った…

なぜ僕の事が好きになっているのか。しかし、嬉しい、しかし何故だ!と、2つの感情が入り混じり、すごい興奮状態になっていた。

僕は、実は俺も好きなんだけど、付き合ってほしいな。と、返信した。

僕は初めて好きな人と付き合った。初恋ってやつが成就した。

僕たちはその日、朝4時頃までメールをした。


その日の朝、全然寝てないのに学校へ行くのがすごく軽快だった。

中学生の男子は単純だった。

部活の朝練が終わり、友達と教室へ向かった。彼女も部活の朝練があり、まだいなかった。

僕はいつも通りを装っていたが、待てば待つほど胸の鼓動が速くなり、緊張していた。

すると彼女が教室にやって来た。僕は頭が真っ白になり只々恥ずかしかった。

とてもじゃないけど話なんてかけられなかった。ただ彼女が僕の事を好きになってくれているんだという事実だけで本当に満足だった。

あっという間に学校は終わり、一瞬でさえ話しをかけることはできなかった。そしてそれはこれからも僕は出来なかった…

学校が終わってからメールを沢山するようになった、メールの内容は本当に他愛も無い会話ばかりだった。僕たちは会話できない分を沢山メールをした。

平日は部活、土日はサッカーで全然学校以外で会うことが出来なかったが僕はメールだけで満足していた。

次第に他愛もない会話からいつしか、会いたいね、という会話にばかりなっていた。


7月に入り、最初のイベントがきた。

彼女の誕生日だ。

僕は何をあげていいのか分からなかった。

しかも、初めて会うという状況を目の前に、最高に緊張していた。

必死に必死に考えた結果…普通のノートだった…

いま思えば本当に謎だし何をあげているんだって感じだ。

しかも家の近所の文房具屋で買ったため可愛いラッピングなど皆無。

しかし、僕の経験値はほぼ0…


近所で夏祭りがあった。僕たちはその日の夜会うことにした。

会うといっても異性の友達とお祭りに行くなんて絶対に許しが出ないので、友達も祭りに行くその前に一瞬だけ会うことにした。


ついたよ、とメールした。

出てきた彼女は浴衣姿だった。

天使かと思った、いや正しくは天使だった…

可愛すぎた、反動で全ての言葉飛び、

お誕生日おめでとうと

とだけ発して、プレゼントのような物を渡して呆気なくさよならをした…



いきなりだがこの時僕は、土日のサッカーを辞めようとしていた。監督と次第に合わなくなっていたからだ…

部活の顧問からもサッカーはどうするんだなど言われており、僕は先輩が引退する8月で共にサッカーを辞めることにした。


9月に入った。

突然だが、僕はこの頃に野球をやめた。監督と次第に合わなくなっていたからだ…

部活の顧問からも野球はどうするんだなど言われており、僕は先輩が引退するところで野球を辞めることにしていた。

そうすることにより、今まで土日は野球だったのがなくなった。最初に思ったこと、それは

デートがしたい!だった。

前々からメールでお互い会いたいねと言い合ってはいたが全然予定が付かず会う事が出来なかった。

付き合い始めてから3カ月…ようやく僕達はデートをすることになった。

待ち合わせは近くの公園の噴水で、時間は14時くらいだった気がする。

なぜ14時なのかというと、午前中部活があったのと、会うのに緊張し過ぎて、会いたくなかったからだ。

会いたいけど会いたくないと言う、最高の矛盾だが、本当にそんな気持ちだった。


そして当日…

僕は予定より20分も早く着いた。

家の近所の公園なのに時間配分ガバガバで超早く着くという、まぁ遅刻するよりはマシだがあまりに早すぎた。

そして、待てば待つほど会いたくなくなっていくこの気持ち。いや、本当は会いたいのだが、本当に会いたくなかったのだ。今書いていてもちょっと意味不明ですね。

もう極限まで緊張していると、遠くから彼女らしき人影が見えた。

会いたいという気持ちが先行し過ぎて、何を話すかなど作戦を完全に立て忘れており、ましてや超緊張…

やぁ、やっと会えたね

うん…

どっか座ろっか

うん…

微妙な距離をあけ歩き始めた。

心臓が爆発しかけていた。

景色もよくない、近くのお店の音楽がただだだうるさいベンチへなぜか座った。

そして始まった。サイレントタイム…

本当に何も書く事がないくらいただただ沈黙、ただただ緊張…

今思えば本当にすいませんでした。しかし当時の僕はそこのベンチへ座り、呼吸をするだけで本当に精一杯で、早くその緊張から逃れたかったのです…

当時、彼女の門限は17時だった。

ただ沈黙が2時間ほど過ぎたあたりで、

そろそろ帰る…

と、彼女が言った。

しかしここからも僕は最低で、緊張から早く逃げ出したかった僕は、

用事があるからちょっと先行くわ

と、嘘をついた。

別々に帰ることになり、こうして僕達の初デートは終わった…


しかし、このおかげで僕達は今まで気恥ずかしくいたがだいぶ慣れて部活終わりなど一緒に帰るようになった。

僕達は朝練みんなより少し早く行って、一緒に登校するようになった。楽しかった。

少しずつ友達以上から恋人へと仲を深めていった。

デートも増えた。

やる事もなかったので図書館行って、本を読んでうたた寝をしたり、近くの公園のベンチに座ったり。やる事はないけど2人でいた。そうしているうちに沈黙も気にならないようになっていった。


初めてのクリスマスがきた。

昼からお出かけしてその日は特別に門限は19時だった。

駅のイルミネーションを見ようと約束した。

しかし、昼から夜のライトアップまで時間があり2人で駅をブラブラしたが一向に時間が進まない…

次第にちょっと険悪な空気になってきてしまい彼女はその空気に耐えきれずあと1時間くらいのところで泣き出してしまった。

上手くいかない葛藤や楽しみたい気持ちなどが入り混じってパンクしてしまったようだった。

僕も似たような気持ちでいたが、とりあえず取り繕うと必死になった。

そんな中やっとライトアップの時間が来た。

その瞬間2人で初めて見るイルミネーションはとても綺麗に感じた。ただの光のトンネルさえもキラキラ輝いて2人は一気に楽しくなった。

本当に何もないクリスマスだったが、最高なクリスマスになった。

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