③安全運転義務違反

初夏の陽射しに汗をかき、

息を荒げながら

住宅街を走って戻る。


と、

見覚えのある車が

自分を追い抜いていった。


その白い車は

小さな交差点に進入する。


すると塀の陰から自転車が躍り出た。


「あっ」


急ブレーキを踏むも間に合わず

車は自転車を跳ね飛ばしてしまう。


三度目の事故。

厄日かよと悪態をつきながら

自転車に駆け寄る。


するとそこには。


最初に轢かれたはずの青年が

再び倒れていた。


デジャヴ?


混乱しながら携帯を取り出す。

ふと目に入った時刻は。


1997/6/27 15:16


「はぁっ?!」


思わず声を上げる。

時間が巻き戻っている。

それも一時間近く。


やっぱりこの携帯、

壊れてるんじゃ。


いや、でも。

さっき轢かれたはずの青年が

目の前でもう一度轢かれた。


これはもしかして本当に

時間が巻き戻っているんじゃ……。


無意識に悲鳴がほとばしり出る。

何から逃げるつもりなのか、

自分は無茶苦茶に駆け出していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る