第2話 嘘つき

 あれから何日か経ちました。今日もいいお天気です。


 ノスリさんはいつものように爽やかな若草色の短いドレスを着て、街に行きました。


 彼女はいつもと変わらず貸本屋さんに行って、本の感想と一緒にその本を返し、また新しい本を借りて行くのです。


 そしておばさんの所へ行って、牛乳を瓶に詰めて貰い、卵を買って帰ります。

 途中あちこちでいろんな人に声を掛けられて、その都度楽しくお喋りをして、みんなを笑顔にして通り過ぎて行きます。


 ところが、一通りの用が済んで家に帰ろうとするノスリさんの前に、またあの少年が現れました。『今日こそお話してみよう』と心に決めて、彼女は少年に話しかけました。


「こんにちは。また会ったわね」

「この前の嘘つき」

「ちょっと待って。私がいつ嘘をついたの?」

「今も」


 それだけ言うと少年はノスリさんを無視して行ってしまいました。


 ノスリさんは不思議な気分になりました。悲しい気分でもなく、腹立たしい気分でもなく、自分でもよくわからない気持ちでした。

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