この急展開についていけますか?

「お見合いってなんなの!?」

自宅に帰って早々、私は玄関で靴を整える谷城を待たずにリビングのドアを勢いよく開き、尋ねる


「あ、おかえり、メールに書いただろ(でしょ)?」

と声を揃わせ呑気のんきに返答をする両親の横には、ハリウッドスターの様な風体ふうていの男性とこれぞ大和撫子やまとなでしこと言わんばかりの着物の似合う凛とした顔の女性が座っていてこちらに軽く会釈えしゃくをしてきた。

「あっ、どうも…こんにちは」

相手の親らしき人が既に家に居た事に少し驚いたが挨拶をし、それと同時に谷城はリビングに入って

「あれが僕の父、谷城やしろ総一郎そういちろうと母の谷城やしろ莉緒りおです」

と紹介をした。

双方そうほう整った顔立ちでそういった仕事をしていると言われても納得できるレベルだと思い、ふと横の彼の顔を見る

さっきまで全然気が付かなかったがなかなかのイケメンということに気付き慌てて顔を逸らす

疑問符ぎもんふが顔に出ている親達を尻目に

「もしかして僕に惚れた?」

と彼はまた耳元で囁く

「か、顔が良くてもやっていい事と悪い事位 線引せんびきしなさいよ!」

と動揺を隠し切れないまま反論する私を見て彼は私にしか見えない角度で意地悪な笑みを浮かべる

「もう仲良くなったのね」

と上品に笑う彼のお母さんの声でハッと我に返る

「はい、母さん。

今日は僕の為に時間をもうけて頂いて申し訳ないのですがしばらく結衣さんと二人きりで話して来てもいいですか?」

といきなり猫を被る彼に私は戸惑ったが彼の母が頷き、指摘する暇もなく手を引かれ外に連れ出された




「で、何処どこに行きたい?」

外に出て五分程経ち、歩みを止めて彼が尋ねてきた

「えーっと、とりあえず手を離してもらっていい?」

と言うと彼はなんで?という顔をした

「ほら、だって友達とかに見られたら勘違いされちゃうし!」

「勘違いって?」

「こんなの付き合ってるみたいじゃん!」

私は少し力を込めて自分の意を伝えた

しかしその抵抗 むなしく彼はまた意地悪な笑みを浮かべ言葉を放った


「だって俺ら付き合ってるだろ?」


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