第5話 ギンブナの成長

私の通う保育園や小学校、中学校には、私の様に母子家庭やもっと複雑な家庭に育つ友達がたくさんいたので自分だけが特別普通とは違う家庭環境とは感じられずに育った。私と家族構成がほとんど同じつまり母子家庭で祖父母と同居という友達とは保育園時代からずっと親しく母親含めて四人でよく出かけたものだ。彼女と私はずっと同じクラスで仲が良かったが少し違うところもあった。小学2年の学校公開の日にママと彼女のママが教室に来て皆で話をしていた時、ある子が私と彼女に向って突然「そういえばパパがいないんだっけ」と言ったことがある。私は「それがなんなの」といいママもそんな顔をしていたが、彼女は母親の手をぎゅっと握り黙ってそのまま立ち去った。そういえば私のママは、他の家庭の話は一切しなかったし勿論生物学上の父親の話をしたことが無かった。だからか私は父親について聞こうと考えもつかなかったと言っていいかもしれない。このように情報不足の上私の心の成長が幼かったので事の重大さが分からなかったのかママの極端にリベラルな考えが影響していたのか両方だったのかというと、その時はママの影響が大きかったといえる。ギンブナのように父親の存在は無いように感じていたが実際に側にいなかったからそれによって私の心は救われていたのだと後に分かることになる。

母は、私の知るほかのお母さんとはまるで違う人だ。まず私には漫画を読めという。普通のお母さんは、漫画はだめというのが多いだろうが、母は自ら買って私に読ませようとする。私が文字嫌いで全く読書はしないからだそうだ。そして音楽が大好きで一緒にコンサートに連れていかれる。中学一年のときに生まれて始めて行ったのが埼玉アリーナのレディガガのライブで、アリーナ立ち見席だった。お腹が痛いのを我慢してずっと立って見て帰りにグッズを買うのに1時間並ばされたが、一流パフォーマンスが強烈に記憶に残った。それからはカラオケによく行き、採点機能で歌唱力を鍛えさせられている。ゲームも大好きでありとあらゆるゲームを一緒にやっている。花札、ウノ、トランプ、ボードゲーム、そのほか二人とも特に電子ゲームが大好きで育成やシュミレーション、アクションゲームを、やり出すと長くやるが体力もなくあきると全くやらなくなる。テレビドラマや映画も大好きで、よく一緒に観ながら話す。それから食べること。私はこれが一番大好きで、美味しいものを追求して妥協なく食べる。美味しいものというくくりも曖昧だが、その素材がシンプルなものというものである。例えば肉なら脂身がないササミや豚のヒレの部分、お菓子ならきな粉棒やカルメ焼きのような素朴な素材そのものを活かしたものなどであった。これが最近は進化して、シンプルなクッキーやケーキを自ら作ったり、肉を焼いたり野菜を焼いたりするようになった。


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ギンブナと皇帝ペンギン @naruyu77

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